はじめに

ひんやりジェルマットは冷却ジェルマット、冷感ジェルマットなどとも呼ばれ、暑い夏の夜を寝やすくするアイテムです。ところが、効果を感じている人たちが多数いる中で、かなりきつい苦情を述べている方もそれなりにいます。同じ製品なのになぜ、こんなに体感が違うのでしょうか。いろいろなひんやりジェルマット製品に対する苦情をいくつか紹介しながら考えてみましょう。

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最近の苦情

毎晩の熱帯夜に耐え切れず買いましたが、ひんやりしたのは使い始めた日だけでした。
ビニールの面は当然汗を吸い取らないので、体が痒く汗疹ができます。
寝返りをして熱を逃がさないと部分的にかなり熱くなります。
取扱説明書には使用前に冷蔵庫に入れると良いと書いてありましたが、あの重さと大きさをどうやっていれるのでしょうか?
かなり悔しいので、上に麻の薄いシーツを被せて使っていますが、夏が終わったら捨てます(泣)

この商品は直接寝るのではなく、シーツ等をかけた上に寝る。
しかしシーツを敷くとあまりひんやりしない。
箱に書いてあることによると、室温が30℃を超えると冷却効果が薄れるらしい。そういう場合はあらかじめ扇風機やクーラーの風に当てて冷やしておく必要がある。
自分の部屋にはエアコンはなく、扇風機で熱を取っていたのだが、酷暑の夜は寝付く前に温まる。
まあつまり、すごく暑いと効果が薄いってこと。涼しい部屋だと効果があるが、それだと意味はないよね。
だから期待しすぎるとがっかりする。
それでも、扇風機でそれなりに熱を取っておけば、ふとんに入った瞬間に熱くてうんざりってことはない。
個人的には全く無駄ってわけでもないと思いました。おまけで星三つかな。
でも部屋が暑くて暑くて耐えられない、冷房も扇風機もない、という人にはお奨めできない。

こんな感じでボツボツ苦情はあるものの、最近は圧倒的に、効果があったというクチコミが多くなっています。これはおそらく、商品説明がしっかりしてきて、消費者も使い方が分かってきたからではないかと思われます。実際、日付の古いクチコミだと、かなり辛辣なものがあります。そうした苦情から2009年に国民生活センターが、ひんやりジェルマットとはどういうものなのかを調べた資料が公表されています。その内容を参考に、ひんやりジェルマットを使う上での注意点を書いてみましょう。

国民生活センターの調査

この項は、国民生活センターの報道資料「睡眠時の冷却効果をうたったジェル入りマット-その効果と持続性を調べる-」を元にしています。資料PDFは下記URLからダウンロードできます。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20090709_1.html

資料では最初に苦情事例として「冷えるどころか暖かい。苦情を言って返品を求めたが、『保健衛生品なので一度使われたものは返品は受け付けられない』と 言われた」「冷房を入れていると最初は冷たいが、後から暑くなってくる」「ヒンヤリ効果を期待して購入したが、2 日使用して全く冷たさを感じないし、 蒸れて余計暑さを感じるほどである。解約を申し出ると使用した商品は返品できないというが納得できない」などが載っています。

これを受けて、実際のいくつかの商品でモニターテストをしたところ、就寝中の室温が28℃以上で約3 割、30℃以上で約半数の人が途中で目を覚まし、暑いと感じ始める人の割合は28℃以上で約5 割、30℃以上で約8 割になりました。ジェル入りマットを室温 30℃で使用すると、最初は冷たく感じるものの、30 分を過ぎると冷たさを感じなくなる人がほとんどだったのです。

こうしたテスト結果を受けて、国民生活センターは消費者に「蒸し暑い室温30℃の環境下では、冷たく感じるのは最初の30 分程度であり、長時間の効果は期待できない」とアドバイスしています。要は、エアコンと併用しないとならないということです。また、事業者への要望として、「冷却効果が朝まで続く旨の表示が見られるものもあるので、表示を改善するよう要望する」と書かれています。

寝返りの必要性

最近のジェルマットは、部屋があまり暑いと効果がないとか、寝返りが必要とか、正確な製品情報が書かれています。そのため苦情が減ってきたのだと思われます。ここで、寝返りがなぜ必要かと言うと、それはひんやりジェルマットの構造に関わっています。こうした冷却用のジェルマットには熱伝導の良いジェルが入っていて、それが身体の熱を奪っていきます。そのため、自分の真下になっている分のジェルはすぐに体温まで上がってくるのです。

そこで寝返りを打つと、再び室温程度に冷たくなった部分に身体が行き、その部分が今度は温まり始めます。同時に、今まで身体の下になっていたところは、急激に熱を放出するのです。

もしエアコンで室温を若干下げた状態でもジェルマットが冷たくないと感じたら、それはもしかしたらあなたが寝返りをしていないからかもしれません。自分にあった寝具を使い、ゆったりした服装でリラックスして寝るなどして、寝返りを正常にする身体に持っていきましょう。

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塩入りジェルマット

従来のジェルマットの欠点を克服したのが、各社から最近売り出されている、塩の入ったジェルマットです。このジェルマットには、30℃で個体から液体になる塩が入っています。それで冷え方が良くなる原理を説明しましょう。

身体の下になった部分のジェルは、身体の熱を吸ってだんだんと温まってきます。従来製品だとこのまま体温まで暖かくなって「全然冷えない」という苦情になるところが、塩入ジェルマットでは30℃以上で、中の塩が液化します。個体は液体になるときに周りから熱を奪うため、完全に液体になるまで冷えが続きます。そして完全に液体になると、それは体重に押し出されて他の箇所に移動し、今度は放熱しながら固体に戻っていきます。一方、液体化した塩の移動とともに、固体の塩が身体の下に入り込んで、再び身体の熱を奪ってくれます。

このような原理なので、従来のジェルマットに比べて格段に冷えるわけです。それでも、表面の感触が悪いなどと苦情を言う人もいますが、エアコンなし、ジェルマットだけで過ごしたい方は、このタイプでなければダメでしょう。

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まとめ

ひんやりジェルマットは、最大限、室温程度までしか冷えないことを知っておきましょう。そのため、エアコンの併用が必須です。また、塩の入ったジェルマットでない限り、身体の下になっている部分は体温まで温度が上がり続けるので、寝返りしないと快適に寝られないことも注意です。

それと、紹介しませんでしたが、しばしば「重たい」「洗い方が分からない」「ジェルが固まる」という苦情も見られます。重さに関しては事前にスペックで確認すればよいし、後の2つは商品の説明書を読めば解決する話です。しかしときには、説明書が不親切すぎて、本当に分からないという苦情もあります。そういったことを避けるには、事前にクチコミをチェック、メーカーに質問するということが必要でしょう。

以上を注意して購入すれば、あなたにも快適なひんやりジェルマット生活が訪れるでしょう!

余談ですが、赤ちゃん用にジェルマットの購入を考えている方には、もっと冷え方の優しい、ジェルタイプではないひんやり敷きパッドをおすすめします。最近はいろいろな素材が出ていて、特にニトリの「Nクール寝具」シリーズがとても売れているようです。


 

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