履く機会の少ないフォーマルシューズや登山靴などは、奥の方に眠ったままになっていることが多いでのではないでしょうか。
そんな風に、靴箱の奥の空気が通わない場所にしまってあった靴を久しぶりに出したら、ボロボロだったというケースも。
家の中でも湿気がこもりやすい場所のひとつである、靴箱。
湿気対策をきちんとしていないと、トラブルの原因になってしまいます。
大切な靴を守るため、靴箱の湿気対策についてまとめてみました。

※こちらの記事も参考にしてみてください。

「使用済みの除湿剤の捨て方は?」

「お部屋で使える除湿剤は?」

「夏の湿気は除湿剤で効果的に対策!」

「繰り返し使える除湿剤でお得に除湿!」

靴箱はこんなに湿気がこもりやすい

靴箱は湿気がこもりやすい場所です。

そもそも靴箱がある玄関が通気の良い空間とはいえず、湿気がこもりやすい環境です。
特に、マンションなど窓のない玄関はなおさらです。

さらに、靴箱は締め切られていることが多く、通気口などもありません。
その締め切られた空間に、汗や雨などの水分をたっぷり含んだ靴を収納しているので、ますます内部の湿度が高くなってしまうのです。

靴箱は湿気がこもりやすい条件をそなえているのです。

靴には湿気がいっぱい

足は、身体の中でも特に汗をかきやすい部位です。
汗をかきやすい足をつつむ靴には、当然のことながら汗がこもります。

ある企業が、猛暑日に男性対象者の革靴の湿度調査をしました。
朝8時から夜24時まで16時間のうち、3時間は革靴を脱いで過ごし、それ以外は革靴を履き続けて生活。
その結果、革靴の中の湿度は、ほとんどの時間で湿度90%を超えており、最高湿度はなんと99%以上を記録したのです。

同じ調査によると、革靴の中の気温は30℃。
湿度が90%オーバー、さらに気温が30℃という環境は換気のよくないバスルームに近い状態なんだそうです。

靴がいかにむしむしして湿気がこもりやすい物であるか、わかるかと思います。
その靴をたくさん収納する靴箱の内部ときたらどれほど湿度が高いか・・・というわけです。

湿気が靴に与える影響

靴箱を湿気まみれにしておくと、内部に収納されている靴に、どんな影響があるのでしょうか。

まずは、なんといってもカビの問題です。
カビは水分と栄養でどんどん増殖します。
靴には汗の汚れで雑菌がたっぷり。
湿度の高い靴箱の中に、雑菌や靴の素材である革などの栄養分がいっぱいの靴をしまっておいたら、カビが繁殖しないわけがありません。

雑菌と湿度は、カビだけでなくにおいの原因にもなります。
靴にたまった汗の雑菌が、湿度によって増殖。
するとにおいの元となる物質が発生し、靴にしみこみ、臭くなるのです。

さらに、湿度は靴を破壊してしまうこともあります。
ブーツ、スニーカーのソールには、ポリウレタンが使用されていることが多くあります。
ところが、ポリウレタンには水分に反応して物質が分解してしまう加水分解がおこります。
湿度の高い環境では、加水分解による経年劣化をはやめることになってしまいます。

靴のソールとアッパーを張り付けるために使われる接着剤も経年劣化します。
そして接着剤の経年劣化も湿度の影響を受けるので、湿気によりソールがはがれやすくなってしまいます。

靴にとって、湿気だらけの靴箱は、百害あって一利なしですね。

靴箱に向いている除湿剤とは?

靴を湿気から守り、長持ちさせるためには、靴箱の湿気対策をすることが大切。
では、靴箱の湿気対策のための除湿剤は、どんなタイプが良いでしょうか。
除湿方法や形状についてチェックしましょう。

どのタイプの除湿方法が靴箱向き?

除湿剤には、除湿の方法によって大きく二つに分けられます。
化学反応による除湿と、多孔質構造による物理的な除湿です。

前者には塩化カルシウムを使用したタイプタイプの除湿剤があてはまります。
塩化カルシウムは、空気中の水分をとりこみ水溶液となる潮解性という性質を持ち、これを利用して除湿に使います。
除湿量が多く、ゆっくりと徐々に除湿していきます。
そのため、新たな湿気を次々吸湿するよりも、密閉空間にむいています。

後者は、多孔質構造をもつB型シリカゲルや竹炭、備長炭がその表面に持つ毛細孔に水分を吸着させる性質を利用した除湿剤で、シートタイプに加工されたり、そのまま使用したりします。
湿度が高くなると急激に吸湿をはじめるので、扉の開閉のある場所にむいています。

靴箱は、靴を取り出すたびに開閉されます。
つまり、外出前と外出後には扉が開き、通気があるということです。
家族が多ければそれだけ回数が増えます。
ということは、物理的除湿であるB型シリカゲルや炭がむいているということになります。
これらの多孔質構造は、においも吸着してくれるので、ますます靴箱向きです。

一方、塩化カルシウムのタンクタイプは、密閉空間にむいているので、シーズンオフの靴をしまいっぱなしにしておくようなシューズクロゼットに使うには良いかもしれません。
しかし、塩化カルシウムは吸湿すると水溶液の廃液がでてしまいます。
この廃液は革製品に害のあるものなので、直接、廃液が靴にふれないように気をつける必要があります。

どんな形状が靴箱向き?

コンパクトな据え置きタイプのもの、扉の内側にかけられるハンガータイプなど、場所をとらない形状がおすすめです。

靴に入れて使うシューキーパータイプなら、靴の型くずれも防げるので一石二鳥です。

コストパフォーマンスは?

単価なら、タンクタイプのコストパフォーマンスが良いでしょう。

しかし、B型シリカゲルの除湿剤には、天日に干すことで一年間は再利用して使えるものもありますので、ランニングコストに優れていて、お手軽です。

炭も繰り返し使えますが、値段の高い物もあり、抵抗があるかもしれません。

靴箱の除湿のコツ

除湿のために、こんな靴箱の使い方をおすすめします。

天気の良い日に、扉を開けて、靴箱内部を良く乾燥させましょう。
一日履いた靴を収納するには、陰干しをして、拭いてから。
湿気を靴箱に持ち込まないように気をつけて。

収納する靴はぎゅうぎゅうと詰めすぎないように。
靴と靴の隙間に、空気の通り道を作ることで、湿気を逃がしてこもらないようにします。

スポンサーリンク

除湿剤プラスアルファの湿気対策

除湿剤の他に、こんな身近なものをプラスアルファする方法もあります。

それは、新聞紙。
新聞紙を靴箱の棚部分に敷いたり、丸めてシューキーパーのように靴に入れて使います。

新聞紙は表面に凹凸があり、多孔質構造物質には遠く及びませんが、それでも表面積が広いために吸湿性があります。
その性質を除湿に利用するのです。
そのため、棚に敷くときでも、一度くしゃくしゃにまるめて広げてから使ったほうが、表面積が広くなり吸湿性がアップします。

新聞紙ならすぐ手に入り、処理も簡単ですね。

靴は出してしまう?箱でしまう?

靴の収納で迷うのが、箱。
箱から出してしまう?箱でしまう?どちらが良いのでしょう。

これは、箱から出してしまうのが正解。
箱のままだと内部に湿気がこもる上に、箱がボール紙だと箱自体が湿気を集めることになってしまいます。

何かに入れてしまっておきたいなら、通気性の良い不織布の袋がおすすめです。

箱に除湿剤、そのまま入れて大丈夫?

それでも長期間の保管ということで、箱ごと靴を収納することもあるでしょう。
そんな時は、箱に通気用の穴をいくつかあけておくと、湿気がこもってしまうのを防げます。
除湿剤を箱へ一緒に入れるなら、革素材に影響の無いB型シリカゲルや色が移らないようにしてある炭を加工したタイプのものを。

靴箱の除湿を見直そう!

一日履いた靴がバスルームと同じくらい湿ってたなんて。
靴箱の湿度は場所のせいかと思っていましたが、それだけではないようです。
靴箱向きの除湿剤もわかったことですし、今後はしっかり湿気対策をしたいと思います。


 

関連記事