離職後の失業保険の受給中に早期再就職するとハローワークから就職祝い金として「再就職手当」がもらえることはご存知ですか?この再就職手当を受け取るのには条件があり、また、もらえる金額にも計算方法があります。ではどの場合に受け取れて、いつ、いくらもらえるのかをシミュレーションしてみましょう。

 

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再就職手当とは?

再就職手当とは、失業保険の給付日数を1/3以上残して、安定した職業(1年以上の雇用期間がある仕事)に就き、後述する条件をすべて満たしている場合に、残りの失業保険の一部を一括で支給してもらえる制度です。離職者の早期再就職を促進するために国が設けた制度で、簡単にいうと、失業保険の受給資格がある人で「早めに再就職をした人には就職祝い金として再就職手当を支給するから積極的に就活をしてください」といった制度になります。
失業保険の給付日数は年齢や雇用保険の加入期間によっても変わりますが、給付日数が90日の方の場合、30日以上の給付日数を残して再就職するのが望ましいということです。

再就職手当を受け取るための条件

就職日の前日までの失業保険の支給残日数が、所定給付日数の1/3以上あること

就職が決まった日の段階ではなく、就職日の前日までの給付日数が1/3以上あることが条件です。
例えば3月の頭に就職が決まったとしても、4月1日からの雇用であるならば、3月31日の時点での給付残日数が1/3以上ないと受け取ることはできません。

1年を超えて勤務することが確実であると認められること

契約社員などの再就職で雇用契約が1年以下の条件になっていて、契約の更新の前に監査が入りますよといった場合では、この条件を満たせないので対象外ということになります。
派遣社員での再就職なので、最初から1年以上での契約は難しい場合などでは、3ヶ月の試用期間が過ぎれば1年単位での契約更新になるといった場合に再就職手当の条件を満たす可能性もあります。このあたりはハローワークによって対応が変わることもありますので、事前に確認しておくと間違いないでしょう。

待機満了日後の就職であること

退職後、ハローワークに離職票などの提出をして失業の申請をした日から7日間を待機期間と呼ばれます。この7日間に働かないことで「失業者」として認定されることになっています。そのため、待機期間を満了する前に勤務を開始すれば失業と認定される前に再就職を行ったことになり、再就職手当は支給されないということになります。ただし、待機期間に就職活動をしてはいけないということではなく、待機期間の7日の間に内定をもらい、待機期間満了後に勤務開始の場合には何の問題もありません。

自己都合退職など給付制限がある場合、待機期間終了後の1ヶ月間はハローワークから紹介された企業への就職であること

自己都合での退職だと、7日の待機期間満了後に3ヶ月間の給付制限期間がありますが、その給付制限期間の最初の1ヶ月以内に就職する場合はハローワーク、または許可を受けた職業紹介業者の紹介での就職をする必要があります。一概に紹介を受けたといっても、ハローワークの求人からの応募であっても、自分で検索して応募した場合には対象にならず、職員さんに「紹介状」を書いてもらった上での応募でなければなりません。
また、許可のある職業紹介業者とは、厚生労働省の認可を受けた職業紹介業者となります。
この職業紹介業者は大手の「リクナビ」や「マイナビ」の転職サイトも認可を受けており、職探しの際に再就職先が限られてしまうといったことはありません。しかしここでも「紹介状」の有無が重要になります。
厚生労働省の認可を受けている転職サイトから就職したとしても、その転職サイトが紹介状を発行してくれなければ再就職手当の対象にはなりません。中には転職サイトを使って就職したのに、証明書を発行してもらえなくて再就職手当が受給できなかった方もいるようですので、初めに証明書を発行してもらえるかどうかを確認しておくようにしましょう。
また、これらは給付制限の1ヶ月以内での就職の場合ですので、そもそも給付制限がない方、給付制限の1ヶ月間を過ぎての就職なら証明書の必要はありません。

退職前の雇用主に再び雇用されていないこと

退職した同じ会社にもう一度就職をした方や、同じ社長の別の会社に就職をした場合には再就職手当の対象にはなりません。

過去3年以内に再就職手当の受給がないこと

再就職日から3年以内に再就職手当・常用就職支度手当の支給を受けたことのある方は、条件を満たしていても再就職手当の対象にはなりません。
常用就職支度手当とは、障害がある方などが安定した職業に就き、1/3以上の失業保険の給付残日数がなかった場合に支給される手当です。

受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していないこと

受給資格決定日とは、離職票を持ってハローワークに申込みをした日のことをいいます。
これより以前に内定をもらっている企業に就職した場合には再就職手当が支給されないので、退職前に再就職が決まっている方は対象になりません。

原則、雇用保険の被保険者要件を満たす条件での雇用であること

雇用保険の被保険者要件とは以下のとおりです。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

就職したあとすぐに離職しないこと

再就職手当を受給した後に退職した場合には、もらった再就職手当を返還する義務はないのですが、再就職手当でもらった分の金額に相当する日数が、退職後の失業保険の給付日数から差し引かれることになります。

 

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再就職手当の計算方法

計算式は、「支給残日数(日)×基本手当日額(円)×給付率(%)=再就職手当(円)」となります。それぞれを詳しくみていきましょう。

支給残日数の確認

雇用保険受給資格者証の裏面の「残日数」です。
(※離職日より経過している場合はその分を引いた日数が支給残日数になります。)

基本手当日額の確認

雇用保険受給資格者証の表面にある「19. 基本手当日額」の欄を見ます。また、再就職手当の基本手当日額には上限が設けられています。
離職時の年齢が60歳未満の人であれば、6,070円。離職時の年齢が60歳以上~65歳未満の人であれば4,914円です。(平成30年7月31日までの金額です。)

給付率の確認

給付率は、基本手当の支給残日数によって変わってきます。残日数が所定給付日数の3分の2以上残して早期に再就職した場合は70%、残日数が所定給付日数の3分の1以上残して早期に再就職した場合には60%となります。

ここまでを踏まえて、仮に支給残日数が35日、基本手当日額が1日5,000円として計算してみます。
支給残日数が35日の場合、3分の1以上を残しての再就職となりますので、給付率は60%となります。そうすると、「35日×5,000円×60%=105,000円」となり、105,000円が受け取れる金額となります。

いつ受け取れるのか?

再就職手当の申請をしてから、約1ヶ月後にハローワークが就職した会社に問い合わせ、在籍の確認をします。それから支給手続きに入りますので、実際に指定の口座に振り込まれるのは支給手続きから約1週間~10日前後となります。また、再就職手当は一時金で全額入金されます。
中には、申請日から15日後に支給手続きに入った所もありますし、逆に3か月以上かかったという所もあるようですので、再就職先の雇用形態がはっきりしているとか、今までの実績、ハローワークからの紹介かどうかなどでも若干期間は違うかもしれません。
再就職手当が支給されると決定したら、指定口座へ振り込まれるまでの期間は比較的早いようですので、決定とほぼ同時に送られてくる「支給決定通知書」という封書をしっかり確かめてみるようにしましょう。
ただし、問い合わせた調査結果次第では、逆に時間がかかる場合もあるようです。全体としては、申請してから振り込みまでの期間は平均して、1~2か月ほどを見越しておけば良いかもしれません。

その他にも再就職に関する手当がある

失業保険では、再就職手当の他にもいくつかの就業促進に関する手当がもうけられています。

  • 就業促進定着手当(前職より賃金が低い場合に6か月以上雇用でもらえる)
  • 就業手当(再就職手当と似ているが、一年以上の雇用が見込めない場合にもらえる)
  • 高年齢者雇用継続給付金(60歳以上の方向け)
  • 受給資格者創業支援助成金(自ら雇用保険の適用となる会社を創業し、労働者を雇い入れた場合)

などがそうなのですが、それぞれに異なり、もっと細かな条件がありますので注意が必要です。

再就職手当について詳細を知りたいなら

計算方法や条件に関しては、こちらで説明している通りなのですが、なかなか一度にすんなり理解できるほど単純でもありませんし、条件も多いです。
失業をした場合、ハローワークで失業保険を受け取るために、まず離職票を提出するなどして失業申請をするのですが、この時、7日間の待機期間がある事が説明され、ハローワークを利用する方法についての説明書などをもらいます。そして、指定された日に同様の人を集め、再就職手当を含む、失業保険を受け取るためのすべての詳しい内容を説明してくれます。こちらで書いてあるような内容なども、より詳しく書かれた冊子を渡されます。
金額については、簡単に条件を入れるだけで計算してくれるサイトもあります。

それでも、個々で辞めた時の状況や次の雇用先の状況、年齢などによって様々なパターンがあり、今一つ、じゃあ自分はどのパターンに当てはまるのかがわからない、という人も出てくると思います。
その場合には、近くのハローワークに問い合わせをすると、的確に教えてくれます。
電話でも良いでしょうし、相談窓口や、勉強会なども開いているハローワークもあるようですので、迷ったら一度は近くのハローワークへ行ってみると良いかもしれません。ただし、混雑している時間帯は避けるようにしましょう。以前ほどではありませんが、よほど困っているのでない限りは、自分でできるだけ調べてから行く方が応対もやさしく、スムーズです。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?人によって所定給付日数や基本手当日額に違いはありますが、再就職手当は一種のボーナスのようなものですね。離職をしたものの、都合があってすぐに再就職ができないという場合にはぜひこちらの制度を利用してみることを検討してもいいかもしれませんね。ただ、再就職して一ヶ月たつまでに行う申請から受け取りまでの実際の日数には、人によってかなりの幅があるようですので、安易に計画を立てて借金したり使い込んでピンチになったりしないようには気を付けてくださいね!

 

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