小学校から使ってきたはずの原稿用紙、実は「縦書き」「横書き」の2種類があり、使い方にも違いがあるんです!
「句読点」に「かっこ」、「数字」や「記号」。
正しいルール、分かりますか?
原稿用紙の正しい使い方、縦書きと横書きのルールの違いをまとめてみました!
他にも、原稿用紙の書き方|横書きと縦書きに関する記事はいろいろあります!
まずは、しっかりと情報収集してみてはいかがでしょうか?
※ 「原稿用紙の書き方|横書きと縦書き」の記事一覧はこちらから
Contents
原稿用紙と言えば「縦書き」じゃないの?!
学校の作文や読書感想文といえば、「400字詰め縦書き原稿用紙」だったという人がほとんどなのでは?
しかし原稿用紙には実は「縦書き」だけでなく「横書き」というものも。
入試や就活で論文などの課題が出たとき、横書き原稿用紙を指定されたり、配布された用紙が横書き原稿用紙だった・・・!という状況に遭遇することがあります。
原稿用紙は原稿用紙、縦書きでも横書きでもルールは一緒じゃないの?!
・・・と思ったら、実際のところは「だいたい一緒」。
そう、「だいたい」なんです。
細かいところで微妙に違う、原稿用紙の正しい使い方。
縦書きと横書きではどこが違うのでしょうか?!
原稿用紙の使い方、縦と横ではココが違う!
知っているようで知らない・覚えていない原稿用紙の使い方。
代表的なルールごとに、縦書きと横書きでのルールの違いを見てみましょう。
縦書き横書き共通ルール
特徴的な「かっこ」のルール
カギカッコを始めとした「括弧(かっこ)」、2つで1セットの記号ですが、はじめに書く方を「開きかっこ」終わりに書く方を「閉じかっこ」と呼びます。
「かっこ」に関する基本的なルールは
- 原稿用紙の行末に「開きかっこ」がきてはいけない
- 原稿用紙の行末に「開きかっこ」がくるときは、開きかっこの前で改行する
- 原稿用紙の行頭に「閉じかっこ」がきてはいけない
- 原稿用紙の行頭に「閉じかっこ」がくるときは、欄外に書く
といったものがあります。
また「カギカッコ」に関しては、句点(。)と閉じかっこ(」)は1マスに収めるというルールもありますが、これらは縦書きでも横書きでも共通です。
実際に原稿用紙に正しく書いた状態を見てみると、こんな感じになります。
この項目のはじめでも出てきたような「括弧(かっこ)」のような使い方をしているぶんには、さほど困ることもありませんよね。
ただ問題は、カギカッコを使う場所でもっとも多いと思われる「会話文」として出てくるとき。
行頭から始まる会話文であれば、カギカッコの始まりである開きかっこは単純に1文字で扱うだけです。
段落の始まりに来る場合には、かっこで始まらない文章との違いは「行頭の1マスを空けない」ということだけ。
しかしこのカギカッコ、文章中の会話文として登場することってありますよね。
特に支障のない位置に来てくれれば良いのですが、
- 開きかっこが行末に来る場合
- 閉じかっこが行頭に来る場合
というパターンが登場することがあります。
これは原稿用紙のルールとしては、縦書き・横書きを問わずどちらもNG。
前後の文字数を調整して回避するか、会話文は会話文として独立させて改行してしまうことで解消するという方法があります。
文章としての読みやすさや、流れのなかでの読みやすさから、どちらの方法で調整するのが良いかを選ぶと良いですね。
またかっこのルールとしてある、句点(。)と閉じかっこは1マスに収めるというルール。
縦書きでも横書きでも共通であるとはいえ、意外といざとなると「どっちが正解だっけ?」となりやすいポイントでもあるので注意したいですね。
英語(アルファベット)の扱い
縦書きでも横書きでも共通する、英語表記に関するルール。
日本語の文字と違い、アルファベットが来ると特に単語などどう扱ってよいのか、ちょっと首をひねってしまいますよね。
基本的なルールは、1マスに2文字ずつ入れる、ということ。
これは経験している職種などにもよりますが、パソコンに詳しい人などは「全角と半角」のイメージで考えると覚えやすいかもしれませんね。
ひらがな・カタカナ・漢字は、英数字の2文字ぶんですから、考え方としては「まさに」というところです。
では英語や英単語をアルファベットで書き入れようというときに、なんでも1マスに2文字ずつ入れれば良いのかというと、そこにはもうひとつルールがあります。
それは、大文字の扱い。
単語の1文字目や、略称としてのアルファベット表記。
こうしたときにでてくる大文字に関しては、1マスあたり1文字を入れることになります。
このあたりは縦書きでも横書きでもルールは変わりませんが、縦書きの場合は文字を横に寝かせて書くことになる、というのが縦書きと横書きで変わる唯一の違いです。
また、これは横書き・縦書きを問わない、英語に絡んだちょっとおもしろい点。
作文や論文などでは英語が出てくることもありますが、あえてアルファベット表記するまでもない外来語というのもありますよね。
例えば「コンピューター」。
英語で書けば「Computer」ですから、最初のCを1マスに、その後は2文字ずつ1マスに入るように記述すれば良いだけです。
しかしこれ、そうそうアルファベット表記でなんか書きませんよね(笑)。
それで実際にはカタカナ表記をするんですが、特に情報処理系、3文字以上の表記になる長音記号(ー)で終わる単語を、最後の「ー」を省略して記述するという慣習があります。
だから例えばコンピューターであれば「コンピュータ」が正解、ということになるんですね。
横書きの原稿用紙の基本的なルールについては、こちらの記事で詳しく紹介してますので参考にしてください。
※ 意外と知らない横書き原稿用紙ルール!記号や数字の書き方は?
要注意!縦横で違いがあるルール
句読点と記号のルール
いわゆる「小さいつ」である促音(っ)、「ゃゅょ」の拗音に中点(・)などの記号。
これらは1マスに1文字であったり行頭に持ってこないなど、基本的には同じである、句読点と記号のルール。
縦書きと横書きで違いが出る唯一のポイントは「行末」。
どちらも「行頭に句読点や記号がきてはいけない」というルールがあるのですが、この解決方法に違いが。
縦書きの場合は、収まりきらずに行頭に句読点や記号が来てしまう場合には欄外に書く方法と、最後のマスに含めてしまうという2つの方法どちらでも許容されています。
実はこの2つの解決方法には、小学校の授業などでも教え方が違うところで、厳密にどちらが正しいと言い切れないという事情で許容されているという話もあります。
そんなちょっとグレーな要素を持っているルールですが、慣習的には欄外に書く方法が取られることの方が多いようです。
一方、横書きではこの解決方法、2択ではなく1択が基本。
横書きの場合は最後のマスに含めるというのが基本ルールです。
小学校の授業などを想定すると、「その先生が教えた通りに」というのが正解になるところ。
これが社会人になっていたり学生でも大学入試や入学後の小論文で原稿用紙を使うなんていう場合であれば、縦書き・横書き両方使う可能性があります。
そう考えると、いっそのこと「収まりきらない句読点や記号は最後のマスに収める」と覚えてしまった方が、効率が良いかもしれませんね。
ただし縦書きでも横書きでも、共通する「例外」があります。
入試や就活での論述など、字数制限ありきの場合に欄外や含めるといったルールを適用することで字数オーバーとみなされてしまうことも。
字数制限のあるケースでは、事前に確認しておいた方が良さそうです。
題名と氏名の書き方、段落のはじめ
作文などではかならずつく「題名」。
実際に原稿用紙に書き始めるとき、誰しもが最初に書くであろうこの題名の時点で既に縦書きと横書きの違いが。
縦書きの場合、題名は1行目に行頭2~3マス空けて題名を書くのが一般的。
しかし横書きの場合は2行目に行頭2~3マス空けて書き始めます。
とはいえ、これはバランスの問題に考慮した結果そうなった、というルール。
題名の字数が少ない場合には、縦書きと同じように1行目に書いてもOK。
次の行に書く氏名と、さらにそれ以降につづく本文の段落のはじめの決まりごとは縦でも横でも変わりません。
氏名のうち、姓と名の間。
そして、名前のあと。
いずれも1マス空けるのが縦書きでも横書きでも共通する、氏名の書き方のルールです。
もちろん、縦書きの場合には下詰め、横書きの場合には右寄せになります。
そしてその次の3行目から始まる本文、この段落のはじめは1マス空けるというのも、縦書きと横書きに共通しています。
数字の書き方のルール
縦書きと横書きでは、数字の書き方に関してのルールというより、その優先順位に違いがあります。
縦書きでは数字は漢数字での表記が基本となり、「2017年」など数字が長くなる場合には算用数字を寝かせて1マスに2文字ずつ入れることができます。
しかし横書きの場合は、書き方そのものは一緒でもルールの優先順位が違い、基本は1マスに2文字ずつ入れる算用数字(アラビア数字)。
「八重洲」の「八」など地名に入っている数字であれば必然的に漢数字での表記ですし、考え方としては原稿用紙以外に書いたり入力したりするときと同じなんですね。
パソコンでの文書作成が多い仕事をしている人などは、「横書きは半角英数、縦書きは全角」と覚えるとなじみやすいかもしれませんね。
ここでいったん縦書きの原稿用紙のルールを再度確認しておくのもいいでしょう。こちらの記事で詳しく説明してます。
※ 意外と知らない・忘れてる、縦書き原稿用紙の基本ルール
これっていいの?用途で変わるルール
「原稿用紙に書く」といっても、作文や論文など内容には種類がありますね。
その違いによって、原稿用紙の使い方のルールとしては存在しているけれども使わない方が良いものもあります。
特殊な記号と感嘆符
縦書きと横書きで共通するルールとして、
3点リーダー(…)やダッシュ(―)は必ず2つずつ使う
感嘆符(!)や疑問符(?)の後ろは1マス空ける
というものがあります。
3点リーダーであれば「…」ではなく「……」として使いますし、ダッシュなら「―」ではなく「――」として使用します。
感嘆符や疑問符のあとにも言葉が続くときには、
×「えっ!そうなんだ」
○「えっ! そうなんだ」
というように、1マス空けて続けます。
ちょっと混乱してしまいそうですが、まとめると感嘆符と疑問符については縦書きでも横書きでも
- その後に文章が続く場合は1マス空ける
- その後に閉じかっこが続く場合は空けない
というルールになっています。
と、ルールとしては同じなのですが、気をつけるべきはその作文などの原稿用紙に書こうとしているもの。
引用文に使われている場合には原文にある限り問題ありませんが、入試や就活・昇進試験といった状況の小論文などで感嘆符などが安易にでてくるのは考えものです。
「箇条書き」は論文なら使っていこう!
作文と違い、「読みやすさが重要」とされる論文。
主語・述語のねじれや誤字脱字がないか、1行当たりの文字数は・・・と「読みやすさ」について共通したチェックポイントもありますが、論文の読みやすさを作るテクニックのひとつにあるのが「箇条書き」です。
この問題に対しては、Aという選択肢、Bという選択肢、Cという選択肢の3つの選択肢があり・・・
と書かれるよりは、
この問題に対しては3つの選択肢がある。
(1)Aという選択肢
(2)Bという選択肢
(3)Cという選択肢
というほうが、論文としては読みやすさ(=理解しやすさ)が上がります。
箇条書きの頭に使う記号や数字の扱いについては縦書き・横書きそれぞれのルールを守っていればOK。
この例でいえば、「(1)」だけで3マス使うことになりますね。
ただし論文で箇条書きを使うときには
- 箇条書きを説明する文で「何についての箇条書きなのか」を明確にすること
- 箇条書きする項目の性質を同じレベルで揃えること
- 箇条書きにした内容に漏れや重複がないこと
といったことに、よく注意する必要があります。
原稿用紙の書き方は、組版のルールから来ている
組版は印刷用語
今までに、こういう書き方が望ましいけれど、こういう書き方もできる、というように、書き方の「ゆれ」があるのを紹介してきました。今更ですが、原稿用紙の絶対的には正しい書き方というのはなく、指導する学校や協会、出版社などによって、ルールが微妙に変わってくるのです。
原稿用紙の書き方のルールは、元々組版(くみはん)のルールから来ています。組版とは、印刷の一工程として、文字や図版などの要素を配置して紙面を構成することを指します。その中の、文字だけに特化した、文字をどうやって配置するかを決めるルールが、「文字組み」と呼ばれています。この文字組みルールが、原稿用紙の書き方の元になっています。
文字組みにはJIS規格がある
JISは日本工業規格の略で、日本の工業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のことです。工業製品生産に関するものだけでなく、文字コードやプログラムコード、そして文字組みといった情報処理に関する規格などもあります。
文字組みに関する規格は、JIS X 4051、規格名称「日本語文書の組版方法」です。この規格は「JIS X 4051:2004 日本語文書の組版方法 – 日本工業規格の簡易閲覧(http://kikakurui.com/x4/X4051-2004-02.html)」で読むことができます。
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JIS X 4051に精通して、その通りに書けば、原稿用紙の横書きであろうと縦書きであろうと、それは正しい書き方になります。何しろ、日本国が定めた規格なのですから。
とは言え、規格文書は非常に長いし、専門用語だらけ。専門家でなければ手が出せません。また実際の現場では、この規格に準じた多様な変形ルールが、自校、自社専用の文字組みとして各所で使われています。
この記事では、JIS X 4051の重要なポイントだけを、今まで述べてきた事柄と考え合わせながら紹介していきましょう。
JIS規格を踏まえた、原稿用紙の書き方に関する補足
「かっこ」のルールの補足
括弧に関するルールを最初に紹介しましたが、そもそも括弧に属する文字にはどんなものがあるのでしょうか。これはJIS規格で、横書き、縦書きのそれぞれが定められています。
これらのすべてに対して、行頭・行末に来たときのルールが適用されます。ところで、ここまで「開きかっこ」「閉じかっこ」という表記をしてきましたが、これからは国家に従って、「始め括弧」「終わり括弧」と表記します。
さて、これだけ沢山の種類があると、当然始めや終わりの括弧類が2つ続いてしまうことがあります。例えば「組版(くみはん)」と書く場合、終わり括弧類が2つ続いています。この際にはどう書くのが正しいのでしょうか。
JIS X 4051ではこの場合、それぞれ1マスに書くことになっています。しかし実際の出版物では、ほぼすべてが、2つの括弧を1マスに入れる形になっています。さて、国家が正しいのか民衆が正しいのか!?
これは、句点と終わり括弧類が続いた場合のルールに準じると考えましょう。句点と終わり括弧は1マスに書くと先に書きましたが、実はそれぞれに1マスを使うルールを採用しているところもあり、JIS規格ではそちらが正しいのです。つまり、基本的にどちらでもいいのですが、句点と終わり括弧類が続いたときと同じ処理にするのが望ましいといえます。
英語(アルファベット)のルールの補足
縦書きの際、英語などの欧文は横にして、2文字を1マスにします。これはすでに書いた通りですが、これ以外の処理も実はあります。JIS X 4051には備考として、「縦書きの欧字又は数字を和字として扱う場合は,ベタ組とし,次のように配置する」と書いてあります。しかし、簡易閲覧では画像が表示されないので、「次のように配置」が具体的にどうなのかを見ることができません。ただ、これは実際の書籍類を見ればすぐに分かります。
パソコンで使う英数字には全角と半角がそれぞれデザインされています。全角は原稿用紙のマス目の半分より大きい字幅、半角はマス目の半分以内の字幅となります。この、全角の英数字が、JIS規格で言うところの「和字として扱う場合」に相当するのです。
固有名詞化している言葉や慣用表現のアルファベット表記の場合には、通常この表記の仕方になります。
句読点と記号のルールの補足
「行頭に句読点や記号がきてはいけない」というルールを述べましたが、JIS規格でももっと厳密に述べられています。行頭に来てはいけないのは、JIS X 4051では「終わり括弧類,行頭禁則和字,ハイフン類,区切り約物,中点類及び句点類」としています。これらがどんな文字なのかは、この画像を見てください。
ところで、こうした行頭のルールを覆す、また今までのほとんどが当てはまらない原稿用紙の書き方もあります。それは、小論文などで、要約を短い字数で要求されたときです。
【要約の場合】 要約の場合のマス目は,字数を数えるための便宜的なものです。原稿用紙とは違うので,書き方に注意しましょう。
○ 書き出し
1字あけずに,最初のマス目から書き始めましょう。○ 改行
200字程度の要約であれば,途中で改行する必要はありません。最後まで続けて書きましょう。○ 句読点
行頭,行末にかかわらず,句読点・かぎかっこも必ず1マス使って書きます。引用元: 原稿用紙に書く際の注意点
「ほぼ同じ」の「ほぼ」が問題、原稿用紙ルール
原稿用紙の使い方の基本ルールは、縦書きでも横書きでも「ほぼ」同じ。
と、ひとくちに言ってしまうことは簡単なのですが、「ほぼ」はあくまでも「ほぼ」。
ちょっとしたところに違いがあるので、ただでさえ少ない原稿用紙に向かう機会という場合には特に注意が必要です。
特に縦書きの原稿用紙なら自信がある!という人。
油断していると横書き原稿用紙を指定されたときに慌てるハメになりかねませんよ?!
他にも、原稿用紙の書き方|横書きと縦書きに関する記事はいろいろあります!
まずは、しっかりと情報収集してみてはいかがでしょうか?
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