紫外線は、肌の老化だけでなく、皮膚がんを引き起こすということが広く知られるようになり、日焼け止めに対する関心が高くなってきました。
日焼け止めは、大きく2つに分けられます。
1つは、「紫外線吸収剤」を使用したもの。
もう1つは、「紫外線収剤」は不使用で、「紫外線散乱剤」を使用したもの。
「吸収」と「散乱」。
言葉だけ見ると、逆の意味ですね。
どういう違いがあるのでしょうか。
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Contents
紫外線吸収剤とはどんなもの?
紫外線吸収剤は、文字通り、「紫外線を吸収する薬剤」です。
皮膚の表面に塗られた紫外線吸収剤は、肌に降り注ぐ紫外線を、それ自身の中に取り込んでいきます。
「吸収」というのは、肌が吸収するのではなく、紫外線吸収剤がその中に吸収するのです。
そして、吸収した紫外線を、熱エネルギーに変えて放出します。
そのため、肌は紫外線の影響を受けなくて済むのです。
紫外線吸収剤として開発された物質は、「メトキシケイヒ酸オクチル」「オキシベンゾン-3」など、数十種類もあります。それらが、油脂に溶けた状態になっています。
メリット
紫外線吸収剤の最大のメリットは、紫外線を防ぐ効果が高い、ということです。SPF50の日焼け止めの多くには、紫外線吸収剤が使われています。
また、無色透明ですから、塗ったときに白浮きしません。
肌に塗りやすく、なめらかなつけ心地が特長です。
水をはじくシリコン油との相性が良く、ウォータープルーフ効果を持たせやすいという利点もあります。
- 紫外線を防ぐ効果(SPF値)が高い
- 白浮きしない
- ウォータープルーフ効果を持たせやすい
デメリット
紫外線吸収剤の悪いところは、肌への負担が大きいということです。
成分が肌に浸透・侵入しやすいため、それ自体に刺激を受ける人もいます。
しかも、紫外線を吸収し、熱に変えて放出するという化学変化を肌の上で行うのですから、熱刺激も受けて、肌には負担が大きいわけです。
化学変化を起こす過程で、紫外線吸収剤の分子は壊されていきますが、その際にも肌を刺激します。
紫外線吸収剤は、時間の経過とともに、紫外線を防ぎながら壊れていきます。そのため、時々塗り直さなくてはなりません。
- 肌への負担が大きい
- 時々塗り直さなくてはならない
紫外線散乱剤とは?
紫外線散乱剤とは、紫外線を物理的に散乱させて、肌が紫外線の影響を受けないようにする薬剤です。
紫外線散乱剤として使われている成分は、主に、酸化チタンと酸化亜鉛です。
メリット
紫外線吸収剤は、肌の上で化学変化を起こさせて紫外線を防ぎますが、紫外線散乱剤は、そうではなく、肌の表面に塗られた粒子が、紫外線を跳ね返すことで紫外線を防ぎます。
そのため、化学変化で肌に与える刺激がなく、より肌に優しいのです。
紫外線吸収剤を使用していない日焼け止めを「ノンケミカル」と呼ぶのは、「化学変化を利用していない」ことを評価しているわけです。
- 肌に優しい
デメリット
紫外線散乱剤の主成分は、酸化チタンや酸化亜鉛の白い粒子ですから、白浮きしやすく、こってりした感触で、塗り心地が良くありません。
粒子を小さくナノ粒子化することで、その欠点を補おうとする商品も出ています。しかし、小さくなった粒子が、肌の中に入って、どういう作用を及ぼすかということは、よく分かっていません。体内に蓄積されてしまうのではないか、とナノ粒子化された製品を危険視する人もいます。
肌についた粒子は、紫外線を跳ね返しても変化せず働きは長持ちするのですが、汗などによって、はがれやすく取れやすいのが欠点です。
- 白浮きしやすい
- べたっとしやすい
- 汗などではがれやすく取れやすい
紫外線吸収剤の入った日焼け止めも改良されつつある
最近、紫外線吸収剤をマイクロカプセルに入れて肌に直接触れないように工夫された製品も開発されています。
油脂に溶けている紫外線吸収剤をカプセルに入れると、さらさらした感触になり、つけ心地がより良くなります。
肌への浸透も少なくなり、シリコンのカプセルに入れることで、スプレーにすることも可能になりました。
マイクロカプセルに入れるという技術のおかげで、肌への浸透という問題点は改善されました。しかし、紫外線吸収剤が紫外線を熱エネルギーに変えて紫外線を防ぐという基本的な仕組みは、変化していませんので、熱による肌への刺激は、まだ解決されていません。
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紫外線吸収剤 or 紫外線散乱剤 どちらを選ぶか?
これまで見てきたそれぞれの特徴である、
- 紫外線吸収剤を使った日焼け止めは、日焼けを予防する効果が高く、汗や水に強い。
- 紫外線散乱剤が配合された日焼け止めは、肌への負担が少ない。
ということを押さえたうえで、改めて考えましょう。
どちらを選べばいいのでしょうか。
使い分けよう
一長一短があり、どちらがよい、とは断言できません。
使用する場所や目的、肌の状態によって、使い分けるのが一番です。
日常生活では、SPFが低くてもよいですから、紫外線散乱剤が使われた日焼け止めを使用し、炎天下に長時間いるときは、紫外線吸収剤を使った日焼け止めで、きっちり紫外線を防御する、というような使い分けがおすすめです。
また、肌が敏感になっているとき、ニキビや湿疹ができているときは、紫外線吸収剤の日焼け止めの使用は控えましょう。
日焼け止め成分の違いはどうやって見分けるの?
購入するとき、「これは吸収剤!」「こっちは散乱剤!」と、見分ける方法はあるのでしょうか。
はい、あります。
それは、あまりにも当然ですが、「商品のパッケージをよく読む」ということに尽きます。
実は、現在、紫外線吸収剤を使った製品の方が多く売られています。
しかし、肌の敏感な人を中心に、紫外線散乱剤だけの日焼け止めを求める声も多く、最近はメーカーでも、紫外線吸収剤を使っていないということを積極的にアピールするようになってきました。
ですから、紫外線散乱剤を使った製品のパッケージには、「紫外線吸収剤無配合」「ノンケミカル」などと書いてあることが多いのです。
これを目安に購入するのが確実です。
それ以外の指標は、確実とは言い切れません。
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たとえば……
- 両方を組み合わせた商品もあるので、紫外線散乱剤の「酸化チタン」「酸化亜鉛」という表示が上位に書いてあっても、紫外線吸収剤を使っていることもある。
- 「子ども用」の商品でも、紫外線吸収剤を使用したものもある。
- SPF50の日焼け止めでも、ノンケミカルのものもあり、紫外線のブロック力だけで判断することは難しい。
- 「汗や水に強い」「ウォータープルーフ」などの表示があるものは、紫外線吸収剤を使用していることが多いが、逆に、表示してないから紫外線吸収剤が使われていない、とは言えない。
つまり、繰り返しになりますが、紫外線吸収剤を避けたいのであれば、製品をよく見て、「紫外線吸収剤を使っていない」または「ノンケミカル」という表示を確かめて買うことが必要です。
何を基準に選ぶのか
さて、日焼け止めを買いたくて、商品を手に取った、またはネットショップで商品情報を読んでいる、というとき、たくさんの商品を前にして「どれを選ぼうか?」と悩みが生まれます。
刺激が少ないはずの紫外線散乱剤が肌に合わない人もいますし、ノンケミカルでなくても、何の異常も起きない人も多いわけですから、「紫外線吸収剤を使用しているか、否か」の一点で日焼け止めを選ぶ必要はありません。
日焼け止めに求めるものは、人それぞれですよね。
野外に出る機会の多い人と、室内にいることの多い人では、適切なSPFの数値は異なります。
汗で落ちにくい日焼け止めが良い人もいれば、簡単に洗い落とせるものを欲している人もいます。
化粧下地として使いたい人もいれば、メークはしたくない人もいます。
「肌に合っていてかぶれない」ということは大前提ですが、自分が、日焼け止めに求めるものは何かと考え、自分のライフスタイルに合っているか、使い心地や価格はどうか、など総合的に判断して選べばいいのです。
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まとめ
紫外線吸収剤を使った日焼け止めは、塗り心地が良く、紫外線防止効果が高いが、肌への刺激が強いのです。
一方、紫外線散乱剤を使った日焼け止めは、肌への負担が少ないが、白浮きしやすく、つけ心
地も良くないのです。
日常生活では紫外線散乱剤、炎天下では紫外線吸収剤、と使い分け、夏の肌を上手に守っていきたいものです。