春の代名詞とも言える花、「桜」。
「日本三大桜」はご存じでしょうか。
日本各地にある数多くの有名な桜の中から、特徴のある三本の桜を指すもので、その三本の桜はいずれも国の特別天然記念物にも指定される銘木です。
日本三大桜
- 山梨県の「神代桜」
- 岐阜県の「淡墨桜」
- 福島県の「三春滝桜」
日本三大桜にまつわる伝説
「日本三大桜」と称される桜には長い歴史が刻まれ、伝説や言い伝えもあり地元をはじめ全国的に愛されてきました。
例えば、以下のような伝説があります。
日本最古の「神代桜」
山梨県の「神代桜」は日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が植えたとされ、その後、日蓮大聖人がこの桜が衰えたのをあわれに思い、回復を祈ったところ再生したため、妙法桜」の別名を持ちます。
高さ約10.3m、根回り約11.8mは日本で最古・最大級のエドヒガンザクラです。
継体天皇がお植えになったかも!?
岐阜県の「淡墨桜」はその名の通り、淡い墨のような色が特徴ですが、花の咲き具合によって色が変化する珍しい桜です。
つぼみのときは薄い色、満開は白色、散り際には独特の淡い墨を引いたよう色になります。
高さ約16m、幹囲約10mのヒガンザクラの一種で、高さ約16m、幹囲約10mもあります。
一説には、継体天皇が自らお植えになったとも言われています。
福島の銘木:三春滝桜
今日は特に、福島の三春滝桜を紹介します。
福島県三春町にある「三春滝桜」は滝に例えられるような桜の名木です。
樹齢は、なんと1000年以上とも言われ、樹高は13.5m、根回りは11.3mもある堂々たる巨木です。
その枝張は幹から北に5.5m、東へ11m、南に14.5m、西へ14mも延び、見頃を迎える季節になると、その花は壮麗な滝のように見る者を圧倒します。
三春町に咲くシダレザクラはこの「三春滝桜」の子孫(枝分かれ)とされ、見頃を迎えると街中至るところで華麗な花を見る事が出来ます。
また、福島県の三春町はもうひとつ「三春駒」という特産品があります。
坂上田村麻呂東征の伝説に由来する「子育木馬」に由来する民芸品です。
子育てのお守りとされており、仙台の「木ノ下駒」、青森の「八幡馬」とともに日本3大駒に数えられる木工の名品です。
東北の中の福島
こうした桜を始め旅情溢れる福島県には桜前線とともにたくさんの観光客が訪れます。
東北近郊、関東、遠く関西地方からツアーで福島の桜の名所を巡るのです。
特に、東北新幹線が2010年に八戸 – 新青森間まで延伸されると北方から福島へ花見に訪れるようになり日本の桜を各地で何度も楽しむ人たちまで現れました。
東北地方の中でも南に位置する福島県とはいえ、やはり春の訪れは遅く、桜の開花は例年で4月上旬とされています。
見頃は5月中旬まで楽しめる桜もあり、毎年多くの人がお花見に出かけて行きます。
福島県をはじめ東北の桜には、伝説を持つものが多くあり、花見だけでなくその由来や言い伝えにより目と耳で春を感じる事が出来るのです。
坂上田村麻呂の東征伝説に由来する「堂山王子神社」は室町中期の建立で本殿が国の重要文化財に指定されています。
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この神社の入口正面の石段脇にある桜もお花見スポットとして有名でシダレザクラが道路に覆いかぶさるように見事に咲きます。
坂上田村麻呂は平安時代(797年)に時の桓武天皇により征夷大将軍を任ぜられ、京の朝廷に従わない地方勢力の討伐のため東北(当時の蝦夷)に向かいます。
彼の地での活躍により坂上田村麻呂の名は後世まで語られる事になるのですが、その過程で福島県を始めとする東北各地に名所名跡を残しています。
福島県田村市の「堂山王子神社」や田村郡小野町の「諏訪神社」、青森ねぶたも坂上田村麻呂がルーツの祭りと言われています。
こうした伝承とともに福島の桜や名所を訪ねるのも新しい観光の在り方ではないでしょうか。
今年の春は昔話を探しに福島へ行ってみませんか。