今年ももうすぐ桜の季節ですね。

南北に長い日本は、桜前線が北上する各地で桜の花が楽しめます。

桜は九州南部では3月頃に開花し、次第に北へと向かい、東京を通過して東北で咲き誇り、やがて津軽海峡を渡って北海道まで到達します。

こうして、桜前線は日本列島を南から北へ、ゆっくりと旅をするのです。

途中、福島県に桜前線が到達するのは例年ですと、4月上旬頃から咲きはじめ5月のゴールデンウイークくらいまでその美しさを楽しむことが出来ます。

 

福島の桜の名所

 

福島県には桜の名所がたくさんあります。

東北は緑が豊かな土地柄で、福島もその例にもれず、森の中の桜や城址公園の桜など様々なお花見スポットがあります。

いくつかご紹介しましょう。

 

花見山公園:山一面を覆う想いのこもった桜

 

福島市内にある桜の名所です。元々、養蚕農家の畑に植えられていたものをもっとたくさんの人に福島の桜を楽しんでもらおうと、昭和34年(1959)に一般開放したのがはじまりです。

桜以外にも梅、トウカイザクラ、ヒガンザクラ、ソメイヨシノ、レンギョウなど70種類もの木々が植えられ「東北の桃源郷」に相応しい華やかさを誇ります。

これが個人の努力によって保たれているとは!なんとも驚きですし、感謝の気持ちが湧き起こらずにはいられません。

桜の開花は、例年4月上旬から4月下旬にかけて見頃を迎えます

 

 

 

越代の桜:歴史を見つめてきた古木

 

石川郡に咲く樹齢400年を超える古木で、林野庁が定めた「森の巨人たち百選」や福島県天然記念物に選ばれています。

福島県内で最も遅く咲く桜で、見頃は4月下旬~5月上旬となり、東京や関東圏で桜を見逃した人もここでもう一度桜を観る事が出来ます

 

越代の桜 福島県
参照:古殿町HPより

 

 

三春の滝桜:日本三大桜のひとつ

 

田村郡三春町にある 国の天然記念物にも指定された名木です。

桜の種類は一般的なソメイヨシノではなく、「ベニシダレザクラ」という品種になります。

樹齢1000年を超え 国の天然記念物でもあり、「日本三大桜」の一つとして有名です

その名の通り、滝のように枝が四方に下がる様は近くでみると迫って見えるほど圧巻の一言です。

 

 

 

合戦場のしだれ桜:2本の樹が寄り添って魅せる

 

合戦場と書いて、「かっせんば」と呼びます。

二本松市に咲く2本の桜で、かつて前九年の役において八幡太郎義家と安倍貞任・宗任が互いに戦った古戦場であったことに由来します。

「三春の滝桜」の孫桜とも言われており、2本の桜が寄り添うように立つ様は別名「夫婦桜」とも呼ばれています。

 

福島の桜:合戦場の桜
福島の桜:合戦場の桜

 

 

福島の桜の特徴

 

ここまでご紹介した福島の桜にはいくつか特徴があります。

ひとつは大きな桜の木が多いという事です。数百年や中には1,000年を超える樹齢の巨木が福島県にあります。

たくさんの桜の木々が咲き乱れるのもきれいですが、風雪に耐えた一本の古木が咲かせる花には、時空を超えた強さと美しさがあります

是非、その花の強さを目の当たりにして頂きたいと思います。

次の特徴として、逸話や謂れを持つ桜がある、という事です。

今回ご紹介した、「合戦場のしだれ桜」には前九年の役という平安時代後期の史実が、「三春の滝桜」には江戸は言うに及ばず京の都までその咲くさまが評判になり歌にまで詠まれていたという逸話があります。

その時に前内大臣大炊御紋経久が「三春の滝桜」を詠んだとされる和歌です。

 

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都まで音に聞こえし滝桜いろ香を誘へ 花の春風

 

歌に詠まれるほどの銘木の桜。福島が誇る郷土の宝です。

福島の桜の特徴の最後は、やはりその開花時期でしょう。

東北という土地柄、春の訪れは遅く、また遅いぶん待ち遠しいものです。そこに咲く桜の花の美しさは格別のものがあると言えます。

4月上旬から開花を始める福島の桜は、日本の南の地域に住む人たちがもう一度桜の花を見たいとツアーで訪れるほど魅力があります。

 

 

さいごに

 

今年の春も桜の花が福島にやって来ます。

それは遅い春の訪れを告げる、うれしい知らせなのです。
福島の桜で、日本の春と歴史をしみじみと感じてみたいと思います。

 

 

 


 

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