栗は冷凍保存できます。
生でも、茹で栗でも、渋皮付でもむき栗でも、鬼皮付でも大丈夫です。
でも、美味しくて長期保存しようと思えば、それなりの手順が必要になってきます。
一番面倒ではないものはなんでしょう?
保存手順はいろいろ紹介されていても、なぜその方法が有効なのでしょう?
長期間保存するには?
など、少しだけ気になる部分をまとめてみました。
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Contents
栗の処理あれこれ、何のために行う?
栗の美味しい季節になってくると、どこからか大量にもらう機会もあったりしますよね。
ごはんやおかずにも、おこわにも、スイーツにも幅広く使い道のある美味しい栗ですが、大量にあったら茹でるのも一苦労。
また、茹でたあとに長期間保存したい場合もありますよね。
もともと栗の産地では、上手な保存をすれば甘みが増すことが知られています。
どのような処理を何のために行うのかを知り、ご家庭で行いやすい、そして目的に合った処理方法はどんなものがあるのか、考えてみましょう。
1.水に浸ける処理
栗といえば、虫が中にいるかもしれないことは誰でも知っていると思います。
小さい穴から侵入した小さな虫が、中で食べながら増えていたとしても、硬い鬼皮に守られ、見た目によくわかりません。
そのため、時間はさまざまですが、皮付のまま水に浸ける下処理は必要とされています。
一晩漬けておけば、まずはおおかたの虫を退治できます。
また、水に漬けることで、調理をしたときにふっくらと美味しく仕上がるともいわれています。
2.軽めに茹でる処理
軽めに、つまり短い時間茹でる処理は、「生栗に近い状態で長期保存したいとき用の下処理」として行われます。
また、単純に、調理の前に鬼皮を簡単に剥くための下処理として行われます。
いずれも、水で1〜2分沸騰したお湯で皮付きのまま茹でるだけです。
ただし、生栗に近い状態で長期保存したいとき用の処理としては、80度の温度を保って1分ほど茹でるだけにします。(水から茹でてはいけません)
このあと、水気をとり、表面が乾く程度になるまで陰干しすることが必要になってきます。
簡単に剥くための下処理の場合は、水から茹でて沸騰させた後、1〜2分後に止めるだけでかまいません。
3.しっかり茹でる処理
調理で茹でる工程が必要な場合にはもちろんしっかり茹でますが、それ以外にも、やはり皮を綺麗に簡単に剥きたい場合などに、切込みを入れて20〜30分茹でる処理をします。
ちなみに、塩を加えると味がよくなり、皮が剥きやすくなるといわれており、水に対して1%程度の塩を加えると良いとされています。
4.砂糖をまぶす処理
クックパッドで好評な方法のようですが、皮をむいたあとに主に冷蔵、冷凍保存するときに砂糖をまぶしてコーティングしておくと、栗同士がくっつかず、冷凍ヤケも防止できて、調理時の仕上がりもふっくらしておいしく、砂糖の味もほとんど気にならないようです。
出典:クックパッド
どの処理方法を選ぶかは目的次第ということになりますが、最低限行っておきたいのは、1の水に浸ける処理ですね。
冷凍保存にすれば、虫は死ぬか、活動停止をするとはいえ、できれば今のうちに追い出しておきたいものです。
水に浸けることで、浮いてくる場合もありますし、できるだけ早く窒息死させることで、栗の甘い実を、それだけたくさん残すことにもつながります。
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それぞれの保存期間ってどのくらい?
劣化にかかる期間などは、以下の情報を参考にしてみてください。
5.常温での保存方法の場合
生栗の場合
何も下処理をせず常温保存した場合は2〜3日です。
水に漬けた場合なら1週間ほどは持ちます。
茹で栗の場合
常温保存にはむきません。
すぐに腐ったり、劣化してしまいます。
できるだけ早くに食べきるか、他の保存方法へ切り替えましょう。
6.冷蔵での保存方法の場合
生栗の場合
水に漬ける下処理をして表面が乾く程度に陰干しした場合なら1週間〜1ヶ月程度は持ちます。
乾燥しすぎず、結露しない状態を保てるならば長めの保存がききます。
下処理をしなかった場合でもそのくらいは持ちますが、虫の活動が完全には防げませんので、なんらかの処理をしたあとで冷蔵保存する事をおすすめします。
茹で栗の場合
軽めに栗を茹でる処理をした場合は、1〜2週間は持ち、その間に甘みが増します。
その後は冷凍保存に切り替えることで長期間保存がききます。
しっかり茹でる処理をした場合は、味の劣化が始まってしまいますので、塩や砂糖が入っているかどうかでも違いますが、一週間ほどが目安です。
できるだけ早く、2〜3日くらいで食べきる方が良いでしょう。
7.冷凍での保存方法の場合
生栗の場合
半年ほどは持ちます。
茹で栗の場合
皮がついた状態で保存したのか、むいた状態なのかでも変わりますが、味の劣化や冷凍臭がつくなどでまずくなってしまいますので、皮付きでもしっかり茹でた場合と、皮をむいた状態のものはどちらにせよ1〜2か月が目安です。
軽めに茹でた皮付きの場合は、長期保存が可能になりますので、生栗同様、半年は持ちます。
解凍するならどこに気を付ける?
冷凍した栗を解凍する方法としては、自然解凍、そのまま調理の二種類のパターンがあります。
皮付きで冷凍したものなら、自然解凍すれば皮を剥くとき、渋皮まで綺麗に簡単に剥けます。
皮をむいた状態で冷凍したものの場合は、自然解凍すると、やわらかくなってしまいます。
栗は、ピーナッツ同様、硬いナッツの仲間です。
とはいえ、水分もそれなりに含んでいます。
冷凍時に起こる水分の結晶化のせいで、周りの細胞が壊され、解凍するときに柔らかくなってしまったり、物によっては崩れてしまうのは、ご存知の通りです。
パーシャル冷蔵庫などに代表される、瞬間冷凍のできるものや、過冷却ができるタイプの高機能冷蔵庫をお持ちなら、解凍にはそれほど気を遣わなくても美味しく食べられるかもしれません。
ただ、家庭の冷凍庫は頻繁に開け閉めされる傾向がありますので、やはり温度管理の面では業務用にはかないません。
解凍時には、それなりに気を使い、できるだけそのまま調理する方向で考えてみましょう。
茹でた剥き栗の場合は、調理の目的に合わせて、ペーストにしたい場合は自然解凍し、少し硬い触感も残したい栗ご飯などにしたい場合は、そのまま圧力鍋や炊飯器でふっくらほくほくに仕上げます。
皮付きの生に近い茹で栗や生栗の場合は、圧力鍋で茹でたあと、10分ほど置いておき、自然に圧が抜けてから皮をむき、調理に使うと美味しさを保ったまま仕上げることができます。
面倒くさがりな貴方のための手間のかからない順、お勧め保存方法
ここまで読むのにお付き合いいただいてありがとうございます。
でも、正直、いろんなパターンがあって面倒!と思われている方も多いのでは。
では、栗を保存したいシーンごとに、適した保存方法ってなんだろう?ということで、整理してみました。
参考にしてみてください。
手間順1位
<たくさんの栗をとにかく長い間おいておきたい場合>
味の劣化も多少は気にならない、何をするのも面倒なくらい大量にもらった!というのであれば、なにもせず鬼皮付きのものをそのままポリ袋に入れて冷凍保存しても良いです。
手間順2位
<生の皮付き栗を大量にもらってしばらく料理する予定もない場合>
『1.水に付ける処理』をした後、『2.軽めに茹でる処理』を行い、冷蔵保存で1〜2週間寝かせておき、その間に使うもよし、使わないのであれば甘みが増すので少しだけその状態を保ち、その後、冷凍保存に切り替えます。
手間順3位
<茹でて一部は料理に使うが、調理しやすい状態で残りを長期間保存したい場合>
『1.水に付ける処理』をした後、『3.しっかり茹でる処理』をし、『4.砂糖をまぶす処理』を行ってから冷凍保存します。
既に茹でているのですから、甘みを増す処理をする必要はありません。
冷凍保存するときは、臭い移りや冷凍ヤケを防ぐためにも、ジップロックなどのしっかり密封できる袋に入れ、空気をできるだけ抜いてから保存するようにしましょう。
その後調理をするなら、できるだけ解凍せずに調理します。
もちろん、ケーキの材料などで、ペースト状にしたい場合は、自然解凍しても良いですし、茹でてさらにやわらかくしても良いでしょう。
栗の皮むきの苦手な人へ
冷凍保存する前に、皮をむいておき、使いたいときにすぐに調理できるようにしたいと思っている方も多いと思いますが、栗の皮って、かなり硬いですよね。
大量にあると、剥くだけでかなりの時間をとられます。
そんな時は、便利なグッズを使うと時間短縮になります。
こちらの動画では、便利なグッズの使い方や、簡単に剥くおすすめの方法が紹介されていますので、見てみてください。
気持ちいいくらいするする剥けていきます。
あまりにも多いと手が痛くなるかもしれませんが、そこは包丁を使っても同じだろうと思いますので、好みで選んでください。
次は、包丁を使って簡単にぽろっと剥ける方法です
いかに効率よく、手を怪我してしまうリスクを減らすかという部分では、優れた方法だと思います。
他にも、あらかじめ切込みを入れておいて圧力鍋を使って茹でると簡単に剥けるとか、1分ほど茹でてからむいていくとか、切込み後、電子レンジで温めるとか、さまざまな方法があります。
いずれも、基本は切込みを入れ、茹でるなど、温めて剥きやすくするのがコツのようです。
また、冷凍保存したあとは、解凍すると案外綺麗に簡単に渋皮まで剥けてしまうようです。
どちらが良いかは、お好み次第です。
最近は便利な切込みが入れられるグッズも売られていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ドイツ製なので、若干高いようにも感じるのですが、面白いアイディアと形状をしています。
キッチンばさみと同等の値段なので、長年使えることと、便利さで比較すると、お得な買い物かもしれません。
おいしい栗の見分け方?栗ってこんなものだった?
栗がおいしい季節になると、栗狩りに行ったことのある人もいらっしゃるでしょう。
ウニのようにトゲトゲした周りを頑丈な靴などで踏んで中身を出し、長いトングで拾っていくのは独特の面白さがあります。
栗の品種はいくつかあるのですが、大きく分けてニホングリと、天津甘栗に代表されるチュウゴクグリが、日本では主に流通しています。
原産国は中国なのですが、他の国でも栽培され、それぞれの地域に合った特徴があるようです。
栗は虫の被害にあいやすく、生育に合った条件の中でなければ病気や害虫の被害を受けやすいので、日本では「ニホングリ」が主に栽培されているのだそうです。
虫がついていない栗を見分けるなら、穴が開いていないものを選ぶのが基本ですが、それ以外で美味しい栗の見分け方はどんなものがあるのでしょう。
まずは、重みがあるものを選びましょう。
水分がそれなりに含まれていますので、みずみずしい、という言葉通り、鮮度が高いものは、水分を含んで重みがあります。
時間が経つほど、水分が抜けて軽くなるので、できるだけずっしりとしたものを選ぶと良いでしょう。
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次に、光沢を見ます。
つやつやしているものなのか、黒ずんでガサガサしているものなのかを見る事で、鮮度がわかります。
できるだけピカピカつやつやしたものを選びたいですね。
ところで、栗って、小さいわりに他の果物や野菜と比べると、栄養価が高いって知っていましたか?
おもな栄養成分(可食部100g中)
カリウム(420mg)、葉酸(74mcg)、食物繊維総量(4.2g)、ビタミンC(33mg)、ビタミンB1(0.21mg)、ビタミンB2(0.07mg)、ビタミンB6(0.27mg)
期待される効能
高血圧予防、貧血予防、便秘改善、風邪予防、美容効果、疲労回復、老化予防引用元: 果物情報サイト果物ナビ 栗
高血圧予防に期待される「カリウム」が多い果物では、バナナが知られていますが、バナナが360mgですから、栗のカリウム分がいかに多いかがわかりますね。
カリウムは、ナトリウムと相互に作用しあって、人間の体調を整えてくれています。
腎機能に心配のある方は、カリウム制限をされているかもしれませんので、お医者様と相談しながら適切に食べるようにしましょう。
また、妊婦さんや成長期の子供に必要とされている「葉酸」も、結構含まれています。
健康な人はそう心配はいりませんが、あまりにも食べすぎると、カロリーも高いので、太る元になります。
何事もそうですが、適切に、バランスよく、ほどほどに食べるようにしましょう。
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まとめ
さて、保存方法と一口に言っても、栗が皮つきなのか、剥き栗なのか、生なのか、茹でたものなのかによって、さまざまな方法や下処理があることがおわかりいただけたでしょうか。
大量に生栗があったとして、できるだけ美味しく長期間保存したいなら、「生栗に近い状態で長期保存したい時用の処理」をしてから「冷蔵保存で1〜2週間」保存しておき、その後「冷凍保存」へ切り替える方法が、半年ほど保存でき、甘みも増すのでおすすめです。
一方、しっかり茹でてしまった後や剥いた状態で長期保存したくなった場合は、鬼皮付きの場合はそのまま水気を切ってジップロックなどのポリ袋に入れ、むき栗の場合は砂糖をまぶして、袋に入れてからしっかり空気を抜き、乾燥と冷凍ヤケや臭いをできるだけ防いだ状態で冷凍保存する方法が、1〜2ヶ月は持つのでおすすめです。
目的の料理を作った後に密封して冷凍保存する方が持つかもしれませんが、他の料理に活かせないなど、自由度がなくなりますので、それぞれの目的に合わせて、ご自分の作業にかけられる時間などとも相談しながら決めて行けば良いと思われます。
秋が旬の美味しい栗。
一番栄養のある時期に収穫してあるものは、長く美味しく楽しみたいものですよね。
一度、甘みを増すことのできる工夫を試してみて、皮をむくときも簡単になる冷凍保存を試してみてはいかがでしょうか。
参照:知っておきたい生活の知恵