現在でも多くの方々が悩まされている近視。近視にも度合いがありますが、普段自分がどの程度の近視なのかを気にする方はあまりいないのではないでしょうか?実は強度の近視となると失明のリスクがあると言われています。しかしこれは本当なのでしょうか?また、強度近視とはどのような状態を指すのでしょうか?強度近視となる原因や、その症状について見てきましょう。

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強度近視とは

どのような状態のことを言うの?

強度近視とは近視の中でも度数がマイナス6ディオプターから10ディオプター未満の近視をいい、マイナス10ディオプター以上になりますと最強近視と呼ばれます。ディオプターというのは、レンズの度数を示す単位のことを指します。
強度近視は例えばマイナス8ディオプターであれば、指を顔から約11cmの距離にしたときにやっと認識できる程度です。強度近視にも2つのタイプがあります。

軸性近視

軸性近視は角膜の頂点から中心窩までを指す眼軸長が前後に伸びてしまった状態で、見るものぼやけてしまいます。この軸性近視では、眼軸長の影響で眼底にも悪影響を及ぼしてしまう可能性もあるので注意が必要です。

調整性近視

眼に入ってきた光は角膜と水晶体で屈折してきちんと焦点が合うしくみになっています。水晶体はそのレンズのようなものを厚くしたり、薄くしたりするズーム機能により屈折率を調整しています。調整性近視は、ずっと近くのものを見続けることによって、近くへと焦点を当てることが習慣化してしまい、遠くのものが見づらくなってしまう症状のことを言います。

「自分は強度近視?」セルフチェックをしてみよう

自分は強い近視だ、となると「果たして自分は『強度近視』なのかどうか?」とふと心配になりますよね。

「強度近視外来」のある東京医科歯科大学病院眼科
同外来を担当する大野京子医師は
裸眼視力はあてになりません

引用「AERA dot.

単純に視力が悪い、近視だということでは強度近視なのかどうかは判断できないそう。
では強度近視なのかどうかをセルフチェックする方法は?というと、同じ医師によるチェック方法が紹介されていました。

人さし指を立てて指の腹を自分に向け、そのまま顔に近づける
裸眼で、目を細めずに見たとき、指紋まではっきり見える位置が眼前11センチであればマイナス8D
それより近づけないと見えないのが強度近視

引用「AERA dot.

強度近視には定まった検査基準がないため、これだけで強度近視であると確定的に判断することはできないのだそう。
そのため眼科ではほかの検査も合わせて行ない、総合的に判断します。
このセルフチェックで自分は強度近視かも、と疑われる場合には専門外来や眼科を受診してみると良いでしょう。

強度近視になる原因

遺伝的な要因

近視は元々多数の複雑に絡み合った要因から発症するとされていますが、その大きな要因として遺伝性からなるということが医学的にわかっています。遺伝が原因で強度近視になった場合には親族の誰かに強度近視の方がいることが考えられます。
そこで注意しておかなければいけないことは両親のどちらかが強度近視であった場合には、より強い最強近視となってしまう可能性があるということです。
強度近視の場合、眼軸が長いなど眼球の形状に特徴があり、その特徴が遺伝によるものと考えられていることもあり、遺伝的な要素が大きいと考えられています。

出典:東京医科歯科大学 眼科学教室

 

特に近視が進行する子供などの場合には、眼科では近視の進行を抑える眼鏡の処方や目の負担を減らすための指導が行われます。

遺伝的な原因の場合にはこのように最低限できる予防法を行う事でしか強度近視の悪化を予防する方法はないため、普段から気をつけるようにしましょう。

近づいてものを見ることが多い

物を近くで見る事が多い場合には視力が低下し、強度近視になる可能性が高いとされています。何か文字を書くときにやたらと紙に顔を近づけて書いたり、テレビを見るときに画面に近い人などは強度近視になりやすい傾向にあります。そのため、普段から物を見るときの距離には気を付けて生活をする必要があります。
そのため視力が低下する事を防ぐためには本を読んだり、テレビを見たりする時には目からの距離に十分気をつける必要があります。
日常生活の中で目からの距離に注意して少しだけ物を遠くして見るだけでも強度近視の原因を予防することができます。

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強度近視が引き起こす悪影響とは

強度近視の症状

強度近視により脈絡膜が引き伸ばされると、脈絡膜から新生血管が生じ、網膜色素上皮とブルッフ膜が引っ張られてできた裂け目を通って網膜の方へと伸びていきます。しかし、新生血管はもろい血管であり、出血したり水分が漏れ出てきたりしやすいため、網膜の下に血液や水分がたまって、下記のような視野障害の原因となります。

  • 見たいところがぼやけて見える「視力低下」
  • 見たい部分が歪んで見える「変視症」
  • 見たい部分が欠けて見える「暗点」
  • 黒い点や虫のような影が飛んで見えたり、視野の一部に光が走る「飛蚊症・光視症」

また、次のような病気の原因となる場合もあります。

核白内障

核白内障は白内障の種類のひとつで、水晶体の中心部から濁っていく症状がでます。視力低下や視界がぼやける他、色の見え方にも変化が生じます。元々透明なはずの水晶体に色がつくため、サングラスをしているのと似た状態になるのが特徴です。

近視性黄斑部出血

前述したように脈絡膜が引き伸ばされそこから新生血管が生じ、網膜の方へと伸びていく過程で、物を見るための中心部分である「黄斑部」の膜を裂いてしまいます。そして異常な血管が網膜に入り込むことにより引き起こされます。早期発見をすれば治療もできますが、実際には視力の低下と勘違いし、受診が遅くなってしまう傾向にあるようです。進行が進むと、網膜がはがれる網膜剥離」や、網膜に孔(あな)が開く「黄斑円孔」を引き起こし、治療不能となってしまうケースも多くあります。

近視性網膜脈絡膜萎縮

眼軸長が延びた結果、網膜や脈絡膜が徐々に伸ばされて薄くなり萎縮してしまう現象です。軽度のものは30代でも強度近視の半数に起こり、加齢とともにその数は増加していきます。萎縮が起こってしまうと物を見るための視細胞が死んでいき、視力障害や視野障害を引き起こしていきます。現代の医学ではまだ予防法や治療法がなく、1度なってしまうと元に戻すことはできません。

近視性視神経障害

眼軸長が伸びたことによって視神経が引き伸ばされ変形してしまい、早期から中心付近の視野がなくなります。進行してしまうと治療することが難しくなります。

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眼科での治療

眼科や強度近視の専門外来で治療を受ける場合、視力検査のほか眼底検査、網膜断層検査などの検査により、現れている症状の原因となっているカ所やその状態を調べることから始まります。
そのうえで適切な治療方法を選択することになります。

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治療方法には投薬などのほかに、手術や注射といった方法がとられることも。
網膜障害が起きている場合には手術で新生血管を除去したりレーザーで焼き固めたりといった処置が行われます。
また病院によっては同じ新生血管への対応でも、注射によって新生血管の成長を促進してしまう物質の働きを抑制する治療方法がとられているところもあります。

さらに角膜矯正療法として、夜寝るときにつけるコンタクトレンズも開発されています。
寝ている間に角膜の形状を矯正することによって、日中は裸眼で過ごすことができるというもの。

強度近視や強度乱視のみならず、レーザー手術が適さない円錐角膜
レーザー手術後に出現した再近視化や角膜移植後の不整乱視など、あらゆる角膜形状に対応可能

引用「オサート® – オルソケラトロジーの限界を超えた治療法

レーシック手術を受ける場合

強度近視は視力を回復させるレーシック手術を受けることで改善することができます。しかしレーシック手術は近視の度数が大きくなるほど難しいので、専門医師のアドバイスを受け判断することになります。

眼筋を鍛えるトレーニングをする

レーシック手術では費用もかかるし、手術をする分リスクもあります。まずは眼筋を鍛えて視力回復を目指しましょう。

  • 内眼筋を鍛える遠近トレーニング法
    近くのものを見たら遠くのものをみることを交互に行うトレーニングです。近くにある木、遠くにある木などを交互に見て遠近の力を鍛えます。ものを見る際は緑の多いところでやるとより効果的です。
  • 内眼筋を鍛える調整力トレーニング法
    調整力トレーニング法は、日頃ぼやけて見える距離にあるものを集中してみることによって眼の焦点を合わせる鍛錬をする方法になります。やり方としてはぼやけて見え始める距離にバナナなどの複雑な形のものを置き、その形状を目でなぞる様に集中して見るだけです。その際に目を細めないように見開いた状態を意識して行って下さい
  • 外眼筋を鍛えるトレーニング動画
    外眼筋のトレーニングはただ眼を動かすだけでできます。左右、上下、そして円を描くようなかたちで目を動かしものを見るために使う筋肉を鍛えます。

様々見ていきましたが、強度近視は普段の生活習慣を改善する以外の予防法が特になく、また一度なってしまうと治療ができなくなってしまう障害を引き起こすことも多くあります。そのためレンズの度数がマイナス6ディオプター以上、もしくはそれに近い数値である場合は、まずは眼科で検診を受けるようにしましょう。まだ合併症状を引き起こしていない場合でも、すでに起きてしまっている場合でも眼科医からのアドバイスを受けられるはずです。早期発見を心がけ、自分の眼を大切に守ってくださいね。

他にも気になる目の症状があればこちらもどうぞ。

 


 

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