白内障になる原因がヨーグルトにあるという話を耳にした方がいるのではないでしょうか?ヨーグルトをたくさん食べることにより白内障になりやすい・・・この話は本当なのでしょうか?今回はこの話が本当か、それとも嘘なのかを徹底検証してみました。
Contents
白内障ってどんな病気?症状は?
ヨーグルトと白内障の関係を探る前に白内障って聞いたことはあるけれど、どんな病気かは詳しく知らないという方のために、まずは白内障について説明します。
白内障とは
白内障とは、眼の中のレンズの役割をする水晶体が濁ってしまう病気です。白内障は加齢に伴って発生する場合が最も一般的で、早ければ40歳から発症し、80歳を超えるとほとんどの人が白内障の状態になっていると言われています。
白内障は、放置さえしなければ基本的には失明する病気ではありません。事前に薬で予防をしたり、発症した初期に症状を抑制することが出来ますが、一度発症してしまうと手術をしなくては治すことができません。現在では日本国内で1年間に140万件も白内障の手術が行われていると言われており、その患者数も年々増加傾向にあります。
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白内障の症状
白内障の主な症状として、下記のようなことが起こります。
- 視界がぼんやりかすむ(視界が白がかったり、暗くくすんで見えることも)
- 視力が低下する
- 夜などに光が眩く感じる
- 部屋の明るさなどでものの見方が変わってしまう
老化と共にほとんどの人がかかると言われている白内障ですが、痛みなどの症状が特にないため、視力の低下と勘違いをして気付かずに過ごしている方が多いようです。
白内障になると、眼鏡を作り直しにいっても視界がはっきりしないので、そこで症状に気付く方が多いと言われています。
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ヨーグルトはなぜ白内障の原因だと言われているの?
ヨーグルトと白内障の関係
ヨーグルトの原料は牛乳ですが、その牛乳をヨーグルトにする加工段階で、乳糖が「グルコース」と「ガラクトース」という成分に分解されます。グルコースとは「ぶどう糖」のことを指し、そのまま体内で栄養源となります。しかし、ガラクトースはそのままではエネルギーにならず、これをエネルギーに変えるためには「ガラクトキナーゼ」という酵素が必要となります。
先天性の疾患により、酵素を持たない「ガラクトキナーゼ欠損症」の方もいますが、これは非常にまれで、ほとんどの人はガラクトキナーゼを持って生まれてきます。しかし日本人はこの生まれ持ったガラクトキナーゼの働きがとても弱いとされているのです。
ガラクトキナーゼの働きが弱いとガラクトースのほとんどは分解できず、体内に蓄積していきます。このガラクトースが蓄積するのが水晶体だとされているようです。
ヨーグルトの食べ過ぎにより白内障になるのはホント?ウソ?
アメリカのサイエンスという科学雑誌に、”1970年代に行った実験でラットにヨーグルト与え続けたところ、実際に白内障になった”という記事が掲載されたようです。
ここでこの記事の注目したいポイントが、ラットに与えられていたヨーグルトの量にあります。この実験ではラットに体重の1/3の量のヨーグルトを与えたとされています。つまり、人間で換算すると、60kgの体重の人では20kgのヨーグルトを食べたことになります。それも短期間で行われたため、同じ期間で人間がこの量のヨーグルトを食べるのはほぼほぼ不可能といっていいでしょう。
ヨーグルトと白内障に因果関係があるのは間違ありませんが、大量に摂取することなく、ただ食べただけでは直接的な原因とは考えづらいのではないでしょうか?また、この雑誌に掲載された記事がきっかけでヨーグルトと白内障が結び付けられるようになりましたが、ガラクトースはヨーグルトに限らず、乳加工製品全てに含まれています。ヨーグルトだけを気にして摂取を控えるよりは、乳製品全てを気にする必要がありますね。
医学的根拠はあるの?
専門医のコラムを発見しました。こちらに詳しく書かれていますので、一部抜粋して掲載しておきます。
グルコースは私たちのエネルギー源として重要な役割を果たします。しかしガラクトースは吸収されますが、そのままでは使うことができません。ガラクトキナーゼなどの酵素が働いてグルコースに変換されて初めて利用可能となるのです。もちろん乳児期にはこの酵素も持っていますが、離乳期を過ぎるとなくなってしまいます。これも哺乳動物の共通点のひとつですが、ヨーロッパ人など一部の人たちは成人になってもこの酵素を持ち続けています。
1989年になって乳製品の摂取と白内障についての疫学調査の結果が報告されました。吸収はされたが、ガラクトキナーゼなどの酵素がないためにグルコースになれないガラクトースが、一番落ち着きのいい場所を求めて体内を移動し、目の水晶体に落ち着いてしまうのです。
日本でも乳製品の普及につれて若年者の白内障は見られるようになってきました。若者のなかにはヨーグルト信仰で毎日のように500グラムものヨーグルトを食べている人もいます。残念な事に今月、先に述べたように、まだ18~19歳の若者の患者さんで白内障のために視力低下を生じて手術が必要になった経験をしました。
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こちらに掲載されているように、1日に摂取するヨーグルトの量が過剰である場合、若年でも白内障となってしまうことがあるようです。つまり、ヨーグルトは適度に食べる程度であればあまり影響はなくても、毎朝ヨーグルトを食べているような方は摂取量に気を付ける必要があると言えるかもしれませんね。
ヨーグルトの食べ過ぎの危険性はこんなところにも
ヨーグルトは食べることで腸内環境を整える働きがありますが、食べ過ぎによって下痢や便秘となることがあります。日本人は体質上あまりヨーグルトと相性がよくなく、乳加工製品の分解ができる酵素が弱い、「乳糖不耐症」の方が多くいます。また、身体の冷えにも繋がっていきます。それにも対処法があり、近年流行りの「ホットヨーグルト」をご存じですか?実はヨーグルトの効能はそのままで、冷え対策や下痢、便秘にも効果があるとされています。しかしくれぐれも食べ過ぎには要注意ですよ!
ヨーグルトは食べる量を気を付けることによって、身体にいい作用をもたらしますが、その分過剰摂取により悪い作用もあります。普通に食べている分には白内障やその他の症状になる直接の原因になるといったことはほとんどありません。しかし量を間違えることにより様々な悪影響を及ぼすことがあります。適した量を摂取してヨーグルトの効能を最大限に引き出してあげてくださいね。