夏休みには、キャンプやバーベキューを計画している人もいるでしょう。でも、山や野原には、刺す虫がいろいろいます。キャンプに行かなくても、自宅の近くで刺されることもあります。虫に刺されて、痒くないのに痛い時は、どうしたらいいのでしょうか? 刺されてから慌てなくて済むように、痛くなる虫刺されについて、知っておきましょう。
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Contents
虫に刺されると、なぜ症状が出るか
刺す虫には、
- 人間の血を吸うために口で噛んだり刺したりするもの(蚊・ダニ・アブ・ブヨなど)
- 防衛のために人間を針で刺すもの(ハチ・アリなど)
- 毛に毒があり、それが人間を害するもの(毛虫)
などがあります。
虫が持っている毒の成分によって、かゆみだけで治まるか、痛みを引き起こすか、小さな腫れで済むか、大きく腫れるかが決まります。刺された人の体質によっても、どの程度の症状が出るかが違ってきます。
たとえば、蚊は、刺すときには、血液を凝固させない成分と麻酔成分を、唾液に混ぜて人間の体内に入れます。この唾液はアレルギー反応を引き起こすため、蚊に刺されるとかゆくなってしまいます。しかし、刺激性はないので痛みはありません。
ハチは、人間が自分たちの巣に近づいて壊そうとしていると思うと、飛んできて、おしりにある毒針で人間を攻撃します。ハチに刺されたら、かゆくならず、痛くなります。
虫刺されの外用薬
虫刺され薬の成分としては、「抗ヒスタミン剤」と「ステロイド剤」がよく使われます。
抗ヒスタミン剤は、かゆみを抑える働きがあり、ステロイド剤は、炎症を抑える効果があります。
痛くなるような虫刺されの場合は、抗ヒスタミン剤とステロイド剤の両方を配合された外用薬を塗って応急処置をして、ひどい場合はすみやかに病院を受診するようにしましょう。
虫刺され外用薬の多くは、両方を配合しています。野外で遊ぶ時は持って行きましょう。
例:「ムヒアルファ」「液体ムヒ」「ウナコーワエース」「ウナコーワアルファ」など。
ステロイド剤を配合していない薬もあります。
例:「ムヒS」「ウナコーワクール」など。
虫刺されで痛い!
こんな虫に刺されると、痛くなります。
- ブヨ(ブユ・ウトと呼ぶ地域もあります)
3~5mm程度の小さなハエのような虫です。音を立てずに近寄ってきて、皮膚をかみ切って血を吸います。毒素を含む唾液のせいで、数時間後、または翌日から、腫れて、強いかゆみが続き、痛みも出てきます。腫れや痛みで歩けないほどになる人もいます。症状が強い場合は、病院を受診しましょう。 - アブ
2cmほどの大きさの虫です。口で皮膚を切り裂き、吸血します。噛まれたときに、激痛を感じ、その後、赤い腫れ、火照り、かゆみが出てきます。 - アリ
「ヒアリ」という外来種の、毒性の強いアリが日本国内で発見されたことがニュースになりました。ヒアリほどではありませんが、在来種のアリも人間をかんだり刺したりします。ヤマアリという、山間部にいるアリの出す蟻酸は強力で、皮膚にかかれば激しく痛みます。 - ハチ
ハチに刺された時は、かゆくならず、痛くなります。痛いだけで痒くない虫刺されは、ハチが原因だと思っていいでしょう。(ハチへの対処法は下に詳しく説明しています)
- ムカデ
強いキバでかむため、周辺が腫れて痛みます。かまれた瞬間に激痛を感じます。その後、ズキズキとした痛みとはげしいかゆみが起きます。毒性が強いので、2度目にかまれたときは、アナフィラキシーショックに注意してください。
虫に刺されて痛いとき、どうすればいい?
毒針が残っているときは、それを取り去り、流水で毒を洗い流しましょう。毒を吸い出す器具(ポイズンリムーバー)もあります。キャンプなどに行くときは、念のため、ポイズンリムーバーを準備しておくのがよいです。
抗ヒスタミン剤とステロイド剤を配合した外用薬(ムヒアルファなど)を塗って、必要に応じて病院へ行きましょう。
(ドクターヘッセル インセクト ポイズンリムーバー)
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ハチに刺されたら、どうしたらいい?
ハチは、アナフィラキシーショックの原因になりますので、ハチに刺されることは、絶対に避けたいですね。
ハチは黒っぽい色に向かってきますので、できれば、明るい色の服を着ましょう。
ハチの中にも、刺すハチと刺さないハチがいます。
刺すハチは、「ミツバチ」「アシナガバチ」「スズメバチ」で、胸部と腹部を繋ぐ部分が、非常に細いハチです。
「キバチ」「クマバチ」など、刺さないハチは胸と腹のつなぎ目が太いハチです。
ハチに刺されたら、まず、その場から逃げましょう。ハチは巣を守るために刺すので、近くに蜂の巣があり、仲間のハチがまたおそってくるからです。
ハチの巣から遠ざかったら、刺された所を見てください。体に残ったハチの毒針が残っていたら、それを抜かなければなりません。
針の根元に、毒の入った袋がまだついていて、時間の経過と共に毒が体内に入ってくるので、すぐに、ピンセット、またはそのようなもので抜いてください。手を使ってはいけません。手で無理に抜こうとすると、かえって毒を押し入れる結果になります。抜けそうになければ、カード状のもので、横から払うようにすると抜けることもあります。抜けないときは、無理に抜こうとせずに、そのままで病院に行って処置を受ければ、皮膚ごと切り取ってくれます。
それから、流水で刺された箇所を洗い、毒の成分を流します。口をつけて毒の成分を吸い取る人がいますが、それは、毒を口に入れてしまうので、止めましょう。ポイズンリムーバーを使って、毒を吸い出しましょう。
抗ヒスタミン剤とステロイド剤を配合した外用薬があれば塗り、痛みを和らげるために患部を冷やします。その上で、できる限り病院へ行ってください。
アナフィラキシーショックには注意
虫刺されで一番怖いのは、アナフィラキシーショックです。
全身にじんましんが出たり、まぶたや唇が大きく腫れたり、呼吸困難になったりして、最悪の場合は、意識不明に陥り、死亡することもあります。
1度ハチなどに刺されると体内に抗体ができ、2度目に刺されると、抗体によって激しいアレルギー反応が起きます。中には、初めて刺されても、ショック状態になる人もいます。
ハチとムカデがアナフィラキシーショックを引き起こしやすい虫ですので、これらの虫にかまれた経験のある人は、気を付けて再び刺されないようにしましょう。症状が出たら、急いで救急車を呼ぶ必要があります。
「エピペン」(エピネフリン)という注射薬が、アナフィラキシーショックの緊急的な薬として使われます。自分で注射できる薬で、病院で処方されます。気になる人は、病院で相談してください。
虫刺されではないこともある
自分では虫刺されと思っていても、実は虫刺されではないことがあります。たとえば、チクチクと痛くなり発疹が出たときは「帯状疱疹」を疑ってみてください。
「帯状疱疹」は、子どもの頃にかかった水疱瘡のウイルスが、体内に潜んでいて、疲労・病気などで、免疫力が落ちたときに活動を再開し、発症します。胸・腹・背中・顔・手足にチクチクした痛みから始まり、赤い発疹ができ、帯状の水ぶくれが広がります。体の半身だけに出るのが特徴です。
痛みが始まってから治るまで、3週間から1カ月程度の期間が必要で、その間、強い痛みがあります。
帯状疱疹が治癒しても、「帯状疱疹後神経痛」と言って、いつまでも痛みが残ることもあります。
顔に出た場合は、患部の位置によっては目や耳の神経に障害が残ることもあるので、早めに皮膚科を受診しましょう。
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まとめ
虫の持つ毒によって、痒いだけですむか、痛くなるかが決まります。虫に刺されたとき、毒針が残っていれば取り去り、毒を吸い出します。虫刺されの外用薬を塗り、症状に応じて病因へ行きましょう。ハチやムカデに刺されたときは、アナフィラキシーショックを起こすことがありますから、特に気をつけて、全身症状が出れば救急車を呼びましょう。