小論文は、看護学校の入試では、社会人入試も含めほぼ間違いなく出題されると言っても過言ではありません。

 

しかし、小論文対策は難しいですから、「まあ、なんとかなるでしょ」と思ってあまり準備をせずに試験に臨んでしまう人もいます。

すると、課題が思ったより難しくて、どう書いたらよいかわからず、考えているうちに時間ばかりが過ぎていって結局書けなかった……ということになりかねません。

 

過去問を知って、自分で実際に書いて練習してみると随分と上達しますし、落ち着いて受験できます。

受験生はぜひ、過去問で小論文対策をしましょう。

 

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過去にはどんなテーマが?出題傾向は?

まずは実際に、看護学校の入試における小論文のテーマにはどんなものが出題されたのかを、見てみましょう。

分かっていれば、普段からどういうことに着目しておくと良いかというヒントになりますね。

 

看護学校入試での小論文では、テーマは大きく3つに分類できます。
  1. 課題作文型
  2. 課題文読解型
  3. 資料分析型
 

1の課題作文型」とは、出された課題(題)についての、自分の意見・考えをまとめるというもの。

よく出される課題に関しては、前もって自分なりの意見をまとめておきましょう。

 

2の課題文読解型」とは、課題文を読んで、それについての自分の意見・考えをまとめるというもの。

作文能力に加えて読解力も必要になります。

 

3の資料分析型」とは、グラフなどの資料を分析・考察し、そこから得られることをまとめたり、それについて自分の意見を書いたりするもの。

グラフが表わすことを読み解く力が必要になります。

 

2と3は、与えられる課題文や資料の難易度にもよりますが、大学の看護学科でよく出される傾向があります。

 

では、それぞれのテーマの具体例を過去問から見ていきましょう。

 

課題作文型の出題例

出される課題を大まかに分類すると、

医療・看護

社会・時事

自分・人間関係

志望動機

その他・抽象的なもの

に分けられます。

 

では、それぞれ、どのような課題で出題されたか、過去の問題をみてみましょう。

【医療・看護
  • 高齢消費社会における看護の役割(三重県岡波看護専門学校)
  • あなたが理想とする看護者はどのような看護者か、あなたが理想とする看護者に近づくために、この学校で自分のどのような点を伸ばし、どのような点を直したいと思いますか。(越谷市立看護専門学校)
  • 「看る」ということ(久留米大学医学部看護学科)
  • 臓器移植の倫理について(東京都立保健科学大学)
 

【社会・時事】
  • 高齢化社会の中で私ができること(大阪回生病院看護専門学校)
  • ストレス社会と言われるが、あなたにとってのストレスとはどんなことですか? また、ストレスにどのように対処しているのか(戸田中央看護専門学校)
  • 地球温暖化の原因と変化(佐世保市医師会看護専門学校)
 

【自分・人間関係】
  • 私と家族(浦河赤十字看護専門学校/白楡看護専門学校/七尾看護専門学校)
  • 人との関わりの中から見えた私(新潟市立看護専門学校)
  • あなたが関心のある最近のできごと(立川市立看護専門学校)
  • 現代のコミュニケーション考(君津中央病院附属看護学校)
  • 「人の和」についてあなたはどのように考えるか(足利短期大学看護学科)
  • 私の誇れるもの(浦和学院専門学校看護学科)
  • 親からの自立の必要性について(浦和学院専門学校看護学科)
  • 自分の判断での行動と、他人からの指示による行動を、体験を交えて書きなさい。(湘南平塚看護専門学校)
 

【志望動機】
  • 看護師を目指す理由
  • どんな看護師になりたいか
 

【その他・抽象的なもの】
  • 災害について(加治木看護専門学校)
  • 歩く(天使女子短期大学衛生看護学科)
  • 挨拶について(静岡県厚生連看護専門学校)
  • 豊かさについて(鶴岡市立荘内看護専門学校/静岡厚生連看護専門学校)
  • 自立(新潟県厚生連中央看護学校)
  • 手(関東労働災害看護専門学校/茅ヶ崎リハビリテーション専門学校)
 

医療に関した課題はもちろんですが、社会問題や時事問題でも、医療に関係のある問題を考えさせようとしていることがわかります。

日頃から、医療に少しでも関係のあるニュースには敏感になっておく必要があります。

 

看護師は、患者さんに対してどのように接するかが大切ですし、病院ではチームを組んで治療にあたることが多いので、人間関係やコミュニケーションに関する課題もよく出されます。

看護師としての熱意や人間性を知るために「志望動機」や「自分」についても課題になります。

 

また、たとえば「豊かさ」「手」のような漠然とした題で書く場合は、小論文というより、「作文」という方が近いものになるでしょう。

その際でも、看護師としての適性が見られていることを意識して書くべきです。

 

たとえば「豊かさ」ならば「心の豊かさ」「豊かな人生のために」など、「手」ならば「誰かを支える手」「患者さんの手を取って歩く」など、看護や医療という視点を忘れずに書きましょう。

別に無理に医療に結びつけなくてもよいのですが、人を思いやる気持ちが伝わるような作文をしましょう。

 

「志望動機」については、必ず一度はきちんと書いておきましょう。

 

課題文読解型の出題例

「課題文」として提示されるものには、

学者・作家の文章

新聞の社説・コラム

マンガや詩歌

などがあります。

マンガのように意外なものも課題文になります。

 

・芭蕉の句と解説を読んで(千葉県医療技術大学校第一看護学科)

・「ペエスケ」(マンガ)を読み自分なりにどのように考えたかテーマをあげて述べる。(飯田女子短期大学看護学科)

・人間の「自由」について、社会の成り立ちという視点から考察した『挑戦する脳』(「〈自由〉の空気を作る方法」)(茂木健一郎)を読み、これからの大学生活において、どのように「自由」の空気を作り出していきたいか、本文の内容を踏まえて、具体的に述べる。(茨城キリスト教大学)

・伝えるために、理解しておくことが大切だと述べた『伝える力』(池上彰)を読み、著者の主張に対す自分の考えを記述する。(北里大学・看護学部)

・朝日新聞の天声人語を読み感じたことを記す(東京都済生会看護専門学校)

・マザーテレサに関する文章を読み、感じたことを記す(静岡県立大学看護短期大学部看護学科)

 

・『僕たちの前途』(古市憲寿)を読んで、

問1「楽しむ」ことについての筆者の考えを述べる。(100字以内)

問2 「コンサマトリー化」とはどのようなことかを説明する。(100字以内)

問3 生活満足度について、自分の考えを述べる。(600字以内)(獨協医科大学・看護学部)

 

・石黒浩『ロボットとは何か 人の心を映す鏡』を読んで、人間の心についての著者の主張を要約し、それに対する自分の考えを述べる。(北里大学・看護学部)

・『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子)を読んで、文章の内容を要約した上で、「老いる」ということについて、自分の考えを書く(都立看護専門学校)

・『医の哲学』(渡辺義教)を参考にして、人間の孤独と共存性について、具体例を挙げて考えを書く(都立看護専門学校・社会人入試)

 

資料分析型出題例

資料となるものは、新聞のアンケートや厚生労働省が調べた統計などです

対策としては、現代社会の教科書などに掲載されている資料を見て、意味をとらえる練習が必要です。

国語だけでなく、社会や理科など、すべての科目の学習が役立ってきます。

日頃の学校の授業を真面目に受けておいてほしいと思います。

 
  • 「高校生が覚醒剤を常用することについての〈自由〉」という新聞アンケートの結果についての考え(天使女子短期大学衛生看護学科)
  • 睡眠時間と年代別の表を見て、看護学を目指している者として考えること(鳥取看護大学)
  • 「死亡場所の年次別推移」「最期を迎えたい場所の意識調査」「ひとりで死ぬのだって大丈夫(奥野滋子)」の3つの資料から、死を迎える人の現状がどのようになっているのかをまとめた上で、高齢者の最期の迎え方について、自分の考えを書く。(岩手県立大・看護学部看護学科)
  • 医療提供体制における各国比較や人口に関するグラフを参考に、日本の医療水準と今後の課題などを述べる。(奈良県立医大・看護学科)
 

小論文対策はこうする!

小論文対策としてオススメしたい方法があります。

それは、次のようなものです。

 

小論文の過去問を解く

(志望校のも、志望校以外の過去問も、大量に解く)



添削してもらう



書き直す

ということです。

 

しかも、「志望校以外」と「大量に」がポイントです。

 

「志望校以外の学校の課題」で練習する理由

看護学校(そのほかの学校でも、同じですが)の受験生がやりがちな小論文対策に、「志望校で過去に出題された課題で同じように小論文を書いてみる」というのがあります。

これが悪いとは言いません。

論文の長さや時間配分を確認するためには、必要なことです。

 

しかし、「それだけ」で対策が済んだ、と思ってはいけません。

少なくとも過去5年くらいの間に出されたのと同じ課題が、再び出されることはありません。

絶対に出ないとわかっている課題だけを解いて、満足してはいけません。

自分の志望校に限らず、他の医療系の学校の過去問を調べ、志望校ではない学校で出題された課題を集めて、書いていきましょう。

 

自分の志望校で過去に出題された課題を調べると、ある傾向が見えてきます。

「抽象的な題が出題されやすい」とか、「新聞記事を読ませて感想を書かせることが多い」など。

 

傾向をつかんだら、できれば、他の学校で出題された同傾向の問題を集めましょう。

もちろん、あるときから出題傾向がガラリと変わることもありますから、他の形式の課題も解いてみるのも必要です。

 

「大量に書く」とは、どういうことか

さらに、小論文対策としては、「大量」に書いてください。

 

入試が数ヶ月後に迫ったころから「そろそろ小論文対策を…」と思い始める受験生がいます。

でも、志望校の入試に小論文があることは、もっと前に分かっていましたよね?

志望校を決めた段階で(本当は看護学校を受験する、と決めた段階で)小論文対策を始めるべきなのです。

 

例えば「土曜の夜、8時から9時の間は、小論文を書く」などと決めて、週に1題、解いていきましょう。

定期試験の前は、小論文ではなく試験の勉強をしてもかまいません。

 

週に1題というのは、それほど難しいことではありませんね。

でも、1年くらい経てば50近い小論文を書いたことになります。

そのくらい小論文を書き込むと、随分と実力がついてきます。

 

そして、あとでも書きますが、書いた小論文は、そのままにしないで、添削してもらうことをオススメします

 

小論文対策、書き方の基本ポイントは3つ


 

看護師または看護師を目指す「あなた」としての視点から自分の意見を書くのが小論文です。

入試の小論文対策として、押さえておくべき基本ポイントは以下の3つです。
  1. 出題テーマを正しく理解し、テーマに沿うこと
  2. 具体例が示され、論理的に説明がされていること
  3. 誤字脱字や誤用がなく「読みやすさ」に配慮がされていること
 

テーマの理解と外れないことがまず大切

テーマの理解とそれに沿うことは、最大のポイントです。

小論文を書き始めるとき、まずはテーマの理解に努めましょう。

 

「何を質問されているのか?」をしっかりと捉え、それに対して「自分の意見は何なのか」という結論・主張をまず考えます。

小論文の最初に「(テーマに対して)私はこう考える」という結論を書いてから本論に当たる部分を考え始め、冒頭の結論を見返しながら本論を書き進めて行くと逸れてしまうことが防げます。

 

具体的で論理的な説明とは

小論文の本論における「自分の意見」に対する説明として、具体的な例を挙げ論理的に説明していくことが必要になります。

自分の意見を述べ、その根拠となる具体的な経験などを提示したうえで、結論として再び自分の意見を述べる、という形で考えていくと良いでしょう。

 

読みやすく間違いのない文章とは

「読みやすさ」として考えるべきことには、1文の長さを50文字程度までを目安として短くすること、主語と述語の対応を正しくすること、誤字脱字がないことも含まれますね。

 

そのほかで気をつけるべき「言葉の誤用」。

日ごろ何気なく使っている「実は間違い」という重複表現や慣用句の誤用には注意が必要です。

 

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小論文を書くコツと例文、添削は必要?

書き方のコツ!「型」に当てはめる

NHK テストの花道「小論文は“型”で勝つ」が参考になりました

起承転結などもそうですが、ここで提示する「だろうか たしなよ」の型にはめると、文章構成がとても簡単に

 

ここで言われている「だろうか たしなよ」は具体的には

  1. □□だろうか(問題提起)
  2. たしかに○○しかし××(意見を提示)
  3. なぜなら△△(展開・理由説明)
  4. よって◇◇である(結論)
となり、最初の「だろうか」から始まり「確かに」の「た」、「しかし」の「し」、「なぜなら」の「な」、「よって」の「よ」ということで「だろうか たしなよ」なのだそう。

 

一部抜粋ですが、例文を挙げるとこのような使い方に。

 

テーマは「終末期医療について」。

”在宅という選択肢はないのだろうか。”

たしかに、家族に対する負担増加や、急な症状悪化に対応出来るかという不安があることは理解出来る。”

しかし、医師と看護師が連携して訪問医療の地域態勢を確立していれば十分に対応できると、私は考えている。”

なぜなら、夜間訪問を含めた濃厚なケアが必要なのは、”

よって私は、患者本人の希望を”

 

「論理的で具体的な説明」の考え方

小論文において具体性をもって論理的に説明すると考えるならば、

A:自分の意見・主張

B:理由の具体例

C:結論として自分の意見・主張

という形で考えると分かりやすいかと思います。

 

A. 私は、階段には手すりが必要だと考えている。

B. 私は過去に何度となく階段から落ちている。それは同時に、手すりを掴めさえすれば転落による大きなケガは免れるという気付きを得る機会でもあった。

C. その経験から私は、階段には手すりが必要だと考えるのだ。

 

同じ内容を書いたとき、「私は階段には手すりが必要だと考えている。安全のためにはあった方が良いと思うからだ。」と言われるのと、先の例のように具体的に説明されるのとでは説得力が違いますよね。

 

参考書や添削サービスを活用してトレーニング

小論文のテーマでは「課題作文型」が最も多いと言われています。

しかしテーマは毎年変わりますし、出題傾向がある年から大きく変わったといったことも起こります。

今まで課題作文型だった学校がある年から突然「課題文読解型」や図表などから考察する「資料分析型」を出題したとなると、受験者としては大問題ですよね。

参考書などで志望校の出題傾向以外のタイプの課題を調べて、少しでも練習しておきましょう。

 

添削指導を受けるのも良いでしょう。

通信添削を行う業者もあります。

出題傾向に沿った題材で添削指導を受けられますし、何より書いたものに対して客観的な視点を得られることは大きなメリットです。

 

「自分では伝えたつもりでも第三者には伝わらない」

「意見の理由をはっきり書いていない」

「論点がいつの間にかズレてしまう」

「文末がいつも同じ表現だ」

というような自分の論文の書き方のクセや欠点には、添削者の指摘で初めて気づくことがあります。

 

高校生ならば、学校の先生に添削してもらえるでしょう。

でも、学校の先生は忙しいので、頼むときはていねいに礼儀正しく頼んでくださいね。

たいていの先生は、喜んで添削してくれるはずです。

 

添削された小論文は、添削の箇所に注意しながら、もう一度書き直しましょう。

書き直すことで実力が付いていきます。

 

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小論文は「あなた」に対する「質問」


 

2010年のとらばーゆ総研の調査では看護師に必要な資質として1位には「体力」、次いで「精神力」などが挙がりましたが、3位以降には「優しさ・思いやり」「誠実さ」「明るさ」「几帳面さなどが挙がりました。

気力体力といった面は小論文から図ることは不可能ですが、小論文では3位以下に入った資質についてアピールする機会であり、また出題者が見ようとしている点と考えて良いでしょう。

 

小論文そのものに「正解」はなく、書くべき「模範解答」もありません。

「看護師を目指すあなた」に対する質問に対し、自分の考えで応えてみましょう。

 

日ごろから「『看護師として』どう考えるべきだろう」といった視点を持つことや、ものごとを順序立てて分かりやすく説明するようにするといったことも、小論文対策のひとつになるでしょう。

 

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