「ゆうべ、歯ぎしりの音がすごかったよ」と家族や友人に言われると、とても不安になります。

 

歯ぎしりって、病気なのでしょうか。

病気だとしたら、効果のある歯ぎしりの治し方ってあるのでしょうか。

歯医者さんでマウスピースを作るといいと聞いたのですが、ホントですか?

 

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歯ぎしりって、何? 治療すべきなの?

歯ぎしりは、睡眠時関連運動異常症のひとつで、「睡眠時ブラキシズム」という病気です。

(ブラキシズムとは、通常の咀嚼などではない歯の異常な運動のことです)

 

一般の人には、歯ぎしりには病気のイメージがないかもしれませんが、医学界では、病気ととらえています。

 

歯ぎしりの大きな原因は、ストレスと言われます。

日常生活のいろいろなストレスを発散するために、歯を食いしばったり、ギリギリとこすり合わせたりしているのです。

つまり、歯ぎしりは、ストレスを解消するために行う、自己防衛反応なのです。

 

でも、放っておいてはいけません!

 

放っておけない、歯ぎしり

歯ぎしりを長く続けていると、さまざまな問題が起こってきます。

歯ぎしりで歯にかかる力は、食事の際に歯にかかる力より強く、歯やあごを傷めてしまうのです。

たとえば、下のような状況が発生します。

 

歯が削られる

歯が折れる、ひびが入る

これらの結果、知覚過敏になることもあります。

 

顎関節症を引き起こす

あごの関節に強い負担がかかって炎症をおこし、あごが開けにくい、痛い、音がするといった不調を引き起こすこともあります。

それに付随して肩こりや頭痛が起きます。

 

虫歯などの詰め物が外れる

 

歯の周りの骨が出っ張る(外骨腫)

歯ぎしりで大きな力を受けるあごの骨が、その力に耐えるために骨を厚くすると言われています。

 

骨ならば自然につながりますが、歯は、いったんすり減ったりひび割れたりすると、自然に回復することはありません。

歯の寿命を伸ばすためには、歯ぎしりをなくすことが大切です。

 

また、気づかないうちに、肩の筋肉が緊張して、肩こり頭の重さなどを誘発している可能性もあります。

さらに、本人だけの問題のとどまらず、歯ぎしりの音のせいで、同じ部屋で寝る家族の安眠を妨げてしまいます。

 

他の人から指摘されないと自覚することが困難なため、ついつい放っておかれがちですが、歯ぎしりを軽く考えてはいけません!

歯ぎしりが止まず、歯や顎への影響が不安であれば、歯科医院で相談をすることをおすすめします。

 

歯ぎしりの陰に、こわい病気が?

次のような病気が原因で、歯ぎしりをしている可能性もあります。

 

次のような病気の不安が少しでもある人は、その病気の検査や治療を考えてみてはいかがでしょうか?

歯ぎしりの治療というより、その病気の治療を考える必要があるかもしれません。

 

逆流性食道炎で歯ぎしり?

最近、逆流性食道炎と歯ぎしりが関係あるのではないか、という指摘がなされています。

 

逆流性食道とは、胃酸が食道の方に逆流して炎症を起こす病気です。

 

この病気にかかると、歯ぎしりをすることが増え、治療をすると歯ぎしりが改善されるという報告があります。

日頃から胸焼けすると感じている人は、逆流性食道炎かもしれません。

1度、検査を受けてみてはいかがでしょうか。

 

睡眠時無呼吸症候群?

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に、一時的に呼吸が止ってしまう病気で、太った人に多いのですが、痩せていてもこの病気にかかる人もいます。

呼吸・循環系の病気を引き起こす可能性のある怖い病気です。

 

歯ぎしりとの関係は、はっきりとはわかっていませんが、歯ぎしりをしたあとで、無呼吸状態になることがよく見られます。

歯ぎしりをする人で、日中に強い眠気に襲われて困っている人は、睡眠時無呼吸症候群ではないか、と疑ってみる必要があります。

 

大きすぎるストレス?

歯ぎしりの大きな原因がストレスだと言われていることは、前述したとおりです。

精神的なストレスが大きいと自覚している場合は、心療内科などで相談することも選択肢の一つです。

 

病院にかかる以外で、心身に悪い影響を及ぼすストレスを少なくするには、どうしたらよいでしょうか。

 

現代社会で生活している限り、ストレスをなくすのは、ほぼ不可能とも言えますが、できるだけストレス耐性をつけるようにし、適度に発散する方法を見つけましょう。

 

寝る前に軽い体操をする、静かな音楽を聴くなどの小さなことでも、リラックスのためには役立ちます。

ストレスは、精神的なものばかりとは限りません。

 

身体的ストレスもあります。

アルコール・ニコチン・カフェインも体へのストレスとなり、歯ぎしりを起こす原因ですので、過度の飲酒や喫煙、コーヒーなどの摂り過ぎを控えるようにしましょう。

 

歯ぎしりの治療にはマウスピースが効果的

歯のすり減りが激しい人や、歯にヒビが入るほどの力で噛んでいる人は、就寝時にマウスピース(ナイトガード)と呼ばれる、樹脂で作られた歯のカバーを装着すると、歯を保護できます。

あごの関節を休ませる働きもあります。

 

マウスピースのメリット

実は、マウスピースをしたからといって、歯ぎしりをしなくなるのではありません。

マウスピースで歯をカバーすることで、歯ぎしりによる歯や周辺の組織へのダメージを減らすということなのです。

 

歯ぎしりで、ギリギリと音がするのは、歯と歯を強くこすり合わせるからです。

その際には、歯に強い力が加わって、歯の表面が削り取られてしまいます。

けれども、マウスピースをつけると、代わりにマウスピースはすり減るものの、歯の損傷は少なくなります。

 

さらに、それまで、一部の歯に力が加わり、割れたりヒビが入ったりしていたのであれば、マウスピースが力を吸収し、歯列全体で受け止めるようになるため、一つ一つの歯への負担が平均されて、一部の歯が割れてしまうことがなくなります。

 

歯ぎしりをすると、顎の関節の軟骨がダメージを受けて痛くなることがありますが、マウスピースを使うと、かみ合わせの場所が高くなり、顎に力が入りにくくなります。

そのため、マウスピースによって、関節にかかる力を和らげられます。

このように、歯やあごを守れるというのが、マウスピースの最大のメリットです。

 

歯ぎしりで筋肉が緊張し肩こりや頭痛を起こしている人がマウスピースをつけ始めてから、肩こりや頭痛が楽になったという報告もあります。

その上、マウスピースをつけているという安心感で、ストレスが少なくなることもあります。

 

マウスピースのデメリット

マウスピースを作って間もないころなど、慣れないうちは、装着している時に違和感があります。

そのために熟睡できず、逆にストレスになって歯ぎしりをしてしまう、ということもあり得ます。

 

さらに、マウスピースは、次第にすり減っていきます。

マウスピースは消耗品で、同じものをいつまでも使い続けるわけにはいきません。

ですから、それなりの費用がかかってしまいます。

 

また、口に入れるものですから、細菌が繁殖しやすいのです。

適切なお手入れをしていないと、不潔になってしまいます。

 

これらが、デメリットといえば、デメリットです。

 

マウスピースは、どこで作る?

できる限り、歯医者さんで作りましょう。

口の中の状況は、人それぞれで、その人に合わせた対応が必要だからです。

 

マウスピースを作ったあとで虫歯の治療をすると、歯の形が変わってマウスピースが歯に合わなくなるケースがありますので、ひどい虫歯があれば、先に治療する方針が立てられるかもしれません。

 

すでに歯ぎしりの影響が大きく現われていて、歯のすり減り、欠けなどがある人や、かみ合わせ全体の問題が発生している人、顎関節症を引き起こしている人もいます。

ですから、まずは専門的に歯やあごの状態を診てもらい、どうすればいいかを尋ねるのが、一番いいのです。

 

歯医者でのマウスピースの作り方

歯科医院で歯ぎしりを治療するときは、マウスピース装着が一般的です。

柔らかい素材のものや、硬めの素材のものなどがあり、普通は上の歯につけます。

 

問診をして、レントゲンで歯の様子やかみ合わせを見た後、歯形をとり、それに合わせたマウスピースが作られます。

型取り、装着、かみ合わせチェックなどで、2~3度の通院が必要なケースが多いようです。

 

できる早さは、医院によっても違いますが、普通は1~2週間でできあがります

保険が適用されますので、5,000円~7,000円程度で作ることができます。

 

長い間使用して、穴が開いたり割れたりしたら、修理や作り直しをすることになります。

 

マウスピースの素材は?

マウスピースには、「ハードタイプ」と「ソフトタイプ」の2種類があります。

 

ハードタイプは、レジンなどの硬い樹脂でできています。

丈夫で壊れにくいのですが、装着すると違和感が大きいという欠点があります。

歯に合わないところがあれば、レジンを削ったり盛ったりして、調節ができます。

 

ソフトタイプは、ポリエチレン樹脂などの柔らかい素材でできています。

厚さは2mm程度です。

口の中に入れても違和感が少ないのですが、かみ破ってしまうことがあります。

 

歯ぎしりがひどい人は、ハードタイプを使用するケースが多いようです。

歯科医師と相談して、自分にはどういうものが適するか決めましょう。

 

マウスピースが壊れた!

歯科医院で作ったマウスピースが壊れたとき、「作り直してもらおう」と考えますが、実は、気をつけなければいけないことがあります。

 

「新たに作り直す際には、前に作ってから6ヵ月以上経たないと保険適用にならない」ということです。

 

保険適用で作った、ということは、健康保険からお金が入っているのです。

気軽に何度も作って、健康保険のお金をムダにしてはいけない!という理由で、6カ月以上経っていなければ、自費で作ることになります。

 

以前作ったときが3割負担なら、次は10割です。

マウスピースは、壊さないように、大切に使いましょう。

 

しかし、壊してしまっても補修できる場合もありますので、もし壊れてしまってもあきらめないで、マウスピースを作ってくれた歯科医師に相談してみましょう。

 

市販のマウスピースは、どう?

前述のように、マウスピースは、5,000円~7,000円ほどの費用で歯科医師に作ってもらえます。

自分にぴったりのマウスピースができますし、歯やあごに異常があれば、治療をしてもらえますので、歯科医院で作ってもらうのが安心です。

あとあとの調整のことも考えると、歯ぎしり予防のマウスピースは、専門家に作ってもらうのをオススメします。

 

しかし、歯医者さんに行く時間がないという人もいますよね。

そんな人には、市販のマウスピースもあります。

Amazonや楽天市場でも売っています。

 

市販のマウスピースには、次の1、2の2種類がありますので自分に適した方を選びましょう。

 

1、お湯で温めて自分の歯型に合わせて作るもの

(商品名では「ナイトマウスガード」「歯ぎしりくん」など)

 

2、歯全体にはめるのではなく、奥歯に装着して、歯ぎしりの力を吸収するもの

(商品名では「歯ぎしりピタリ」「歯ぎしりガード」など)

 

市販のものは手軽ですが、うまく型を取れなくて歯のかみ合わせがずれ、歯並びが悪くなる危険性もあります。

安易な利用は止めましょう。

 

自分で歯型をとるマウスピース

ナイトマウスガード

自分で歯型をとるタイプです。

温めると柔らかくなる素材でできていますから、商品の「持ち手」を持って、お湯につけて、柔らかくします。

 

柔らかくなったナイトマウスガードをギュッとかんで、自分の歯形を付けます。

冷ますと自分の歯形がついたマウスピースになります。

持ち手は、あとでカットしてください。

 

上歯と下歯が一体となったマウスピースができます。

(出典:楽天市場

 

歯ぎしりくん

下の奥歯に当てるマウスピースですが、自分の下の奥歯の型をとって使います。

(参照:Amazon

 

奥歯に装着するマウスピース

PROIDEA (プロイデア) 歯ぎしりピタリ

奥歯に装着するタイプで、歯型を取る手間がいりません。

波打つ柔らかい素材が、歯ぎしりの力を吸収してくれます。

(出典:Amazon

 

EMILEAD 歯ぎしりガード

奥歯と前歯に「かみしめ部」があって、ずれにくい構造です。

ウェーブが奥歯に当たって力を吸収します。

型をとる必要は、ありません。

(参照:Amazon

 

市販のマウスピースを使うときの注意点

市販品を使っていてかみ合わせが変わったと感じたときや、どうも合わなくなったというときは、使い続けないで新しいものに交換しましょう。

 

繰り返しますが、マウスピースは、「消耗品」です。

歯科医院で作る場合は、かみ合わせの変化に対応してくれるようですが、市販のマウスピースは自分で気をつける必要があります。

 

マウスピースの扱い方

マウスピースを長い間使っていると、汚れたり、臭くなったりします。

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気持ちよく使い続けるために、適切なお手入れを心がけましょう。

 

マウスピースだけでなく口の中も、できるだけ衛生的であるように歯磨きを心がけましょう。

 

傷をつけない・熱湯を使わない

衛生上の観点から、マウスピースは、キレイに洗っておく必要があります。

 

しかし、ブラシのようなものでゴシゴシと洗ってはいけません。

傷が付いて、細菌が繁殖する場所を作ってしまうからです。

指で丁寧に優しく洗ってください。

 

歯磨き粉には研磨剤が含まれていて、傷をつけてしまいますので、使わないでください。

マウスピースを洗うときは、水かぬるま湯で洗います。

熱湯は、変形の原因になりますので、避けましょう。

 

保存方法

保存方法は、マウスピースのタイプによって違います。

 

柔らかい素材のマウスピース(ソフトタイプ)は、洗って乾燥させて、ケースで保管します。

 

硬い素材のマウスピース(ハードタイプ)は、吸水性があり、乾燥すると変形することがありますので、ケースに水を入れて保存します。

吸水性があるために、臭いが発生しやすく、変色の心配もあります。洗浄液で清潔にすることをお忘れなく。

 

歯医者さんで作ったものは、歯科医師から保存や手入れについての注意がさているでしょうから、そのとおりに実行しましょう。

市販のものは、注意書きをよく読んでください。

 

朝、忙しい時に、ついマウスピースをティッシュに包んだりして、その辺に置いてしまうと、家族が間違えて捨ててしまうこともあるようです。

使ったあとは、ちゃんとケースにしまっておきましょう。

 

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マウスピース洗浄剤

口の中は細菌がいっぱいです。

それらの細菌はマウスピースにも付着して、臭くしてしまいます。

マウスピースが臭くなったら、除菌もできる、マウスピース用の洗浄剤で洗浄しましょう。

 

洗浄方法は、いたって簡単。

ぬるま湯にマウスピースと洗浄剤を入れだけです。

薬局や通販で買うことができます。

(出典:Amazon

 

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まとめ

歯ぎしりを放置しておくと、歯やあごにさまざまな問題が起きることがあります。

たかが歯ぎしりと思わずに、必要に応じて病院を受診しましょう。

 

歯ぎしりで歯やあごがダメージを受けるのを防ぐには、睡眠用マウスピースを使います。

歯科医院で作ってもらうのがオススメですが、市販のものもあります。

時々は洗浄剤で、傷をつけないように除菌洗浄して衛生的に使用してください。

 

歯ぎしりの予防にマウスピースを上手に使い、大切な歯やあごを守りましょう。

 


 

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