雑貨屋さんで「おぼんだま」と書いてあるポチ袋を売っていました。金魚やシロクマの描かれたかわいい袋が並んでいました。でも、「お年玉」ならわかりますが、「お盆玉」って、いったい何ですか?
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お盆玉って、いったい何なの?
「お盆玉」は、夏休みやお盆にあげるお小遣いです。夏のお年玉です。
「お盆玉」のポチ袋を最初に売り出した、包装資材メーカー、株式会社マルアイのホームページによると、「お盆玉」は、マルアイが作った造語で、商標登録されています。
「造語?」「商標登録?」そう、お盆玉は「作られたもの」だったのです。
お盆玉の発祥と由来
昔、山形などの東北地方の一部の商家では、奉公人に、夏に下駄などを渡す風習があり、「お盆小遣い」と言われていました。それが昭和初期に子どもに小遣いを与える形に変化し、それが、お盆玉の由来だと言われています。
「お盆玉」の全国進出
「お盆玉」が全国的に知られるようになったのは、ごく最近のことです。
今の多くの大人は、「お盆玉」をあげたことはあっても、もらった経験はないと思います。それもそのはず、「お盆玉」なる言葉が世間で使われ始めたのは、2010年、株式会社マルアイが「お盆玉」用のポチ袋を発売してからです。
しかし、「お盆玉」用のポチ袋の発売当時は、評判は芳しくなく、売れなかったそうです。
ところが、2014年、日本郵便が、マルアイのお盆玉用のポチ袋を販売し始めてから、風向きが変わりました。
なんたって、全国の2万カ所の郵便局に、「お盆玉」袋が置かれたのです。
年金の引き出しのために、郵便局を利用する高齢者もたくさんいます。おじいちゃん、おばあちゃんたちの郵便局への信頼感は絶大です。だって、今は民営化されていますけれども、昔はお役所だったのですから。
おそらく、全国各地の郵便局で、以下のような会話がなされたことでありましょう。
おじいちゃん「おぼんだま? これ何だべ?」
郵便局員 「お盆にお小遣いをあげるときの袋ですよ。お孫さんに、どうですか?」
おじいちゃん「ほおー。こりゃ、シャレたもんだな。ひとつもらおうか」
そう、「お盆玉」は、マルアイが作り、郵便局が広めたのです。
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お盆玉は、なぜ、広まった?
でも、なぜお盆玉は、広がっていったのでしょう? 受け入れられるだけの理由があったはずです。
もともとあった風習だから
「お盆玉」という言葉はなくても、お盆や夏休みに、親戚の家に遊びに行って、お小遣いをもらったことがある人は多いはずです。
久しぶりに会う親戚の子どもに、お小遣いをあげたくなるのは自然な感情です。
「何千円か渡しておけば、この子は『気前のいいおじちゃん』と思ってくれるだろうし、親戚付き合いもやりやすくなるし、コスパがいいぞ」なんて、思うか思わないか、知りませんが、昔から、孫や甥・姪に、お盆のお小遣いを渡す風習は、東北地方でなくてもありました。
また、昔は、「藪入り」と言って、7月16日に、奉公人が休みをもらって家に帰ることを許されました。その際に、主人から衣類や小遣いを渡されることもありました。特に、商家で働く丁稚(でっち=年季奉公をする少年)は、正月とお盆にだけ、衣類やお小遣いをもらえたそうです。これらは、現代のボーナスの起源とも言われます。
そういう歴史を考えると、「お盆玉」的なものを受容する土壌は、全国的に広がっていたわけです。
親戚の子どもにお盆のお小遣いをあげる、というのも、よく見られることです。
「お盆玉は昔からあった」という意見を見かけることがありますが、確かに、子どもにお盆にお小遣いを渡す習慣は、全国的に存在したのだと思います。
どうせ渡すつもりのお小遣いでしたら、かわいいポチ袋があるなら、それに入れてあげようという気になるのも、また人情です。
孫がかわいいから
「お盆玉」ポチ袋の最大の利用者は祖父母で、次がおじ・おばではないかと思います。
孫はかわいい。このことに、説明は不要でしょう。
孫がかわいいから、孫が喜びそうなことは、なんでもしてあげたい。特に、わざわざ遠方から会いに来てくれた孫には、「やさしいおじいちゃん・おばあちゃん」と思われたい。
そういう祖父母のハートを、見事に射貫いたのが、「お盆玉」ポチ袋です。
祖父母はおカネ持ちだから
一般的には、祖父母世代は、なかなか給与の上がらない子の世代より、経済的に余裕があると言われます。
祖父母は、かわいい孫のためになら、ついついサイフのヒモが緩くなります。
そんな祖父母の懐を当て込んで、「孫のための消費」をあおる動きが盛んです。
たとえば、お盆にはランドセルが売れるそうです。ランドセルを買うのは祖父母が多くなり、お盆に会ったときに孫と共に買いに来ます。(ランドセルがカラフルでデザイン性が高くなり、早めに予約しないと気に入ったものがなくなる、という事情も関係していますが。)祖父母は、惜しげもなく高価なランドセルを孫のために買うのです。
「孫の日」というのもあります。10月の第3日曜日。日本百貨店協会が、1999年に制定しました。おじいちゃん・おばあちゃんに、かわいい孫のために、デパートでプレゼントを購入してもらおう、ということでしょうね。
祖父母から孫へ、資金が流れていくのです。それを、なんとか自社製品の売り上げに取り込みたいと、企業が考えるのも当然です。
お盆玉をあげるべき?
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「もうすぐ、お盆だな。今年も〇〇ちゃんが遊びに来るぞ。お盆玉を、あげるべきなのかなあ?」と、カレンダーを見ながら、悩んでいる人はいませんか。
お盆玉に関しては、自分の気持で決めればいいでしょう。
祖父母にとっては、孫の笑顔が生きがいの場合もありますから、他人にはどうこう、言えません。
ただ、甥・姪に渡す場合は、他のおじさん・おばさんの動向も考えておきたいです。
たとえば、3人兄弟で、それぞれに子どもがいたとします。日頃は離れた場所にいるけれど、お盆に集合することになったとき、どうすればいいでしょうか。
もしも、1人のおじさん(おばさん)が「お盆玉」を渡したら、ほかのおじさんたちも渡さないわけにはいかなくなります。ですから、慎重に考えましょう。勝手にあげると、他の兄弟から「迷惑だ」と思われ兼ねません。
兄弟でも、経済状況はさまざまですから、お盆玉を大変な負担に感じる家庭もあるでしょう。
できれば、話し合って、お盆玉に関してのルールを決めたらどうでしょうか。
するかしないか、するならいくらか、ということを。
「お盆玉はあげない!」と決めるのも、一つの方法です。
仮に、あげるにしても、「小学1~3年生は1000円、4~6年生は2000円、中学生は3000円、高校生は5000円」などと、低めの金額を設定しておくと、出費を最小限に抑えられます。
でも、前もって話し合えるほど親しくないし、ケチと思われるのもイヤだし、どうしよう? という人は、念のためにお盆玉をあげられる準備だけは、しておくといいかもしれません。他のおじさんたちが「お盆玉だよ」と渡していたら、自分も渡せるように準備するのです。
市販のお盆玉袋でなくても、小さめの封筒を持っていけばいいでしょうし、なんなら、インターネットからお盆玉の無料テンプレートをダウンロードしておくこともできます。
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まとめ
お盆玉は、マルアイという会社が作った造語で、2010年に「お盆玉」用のポチ袋を発売し、2014年に郵便局が販売したことから、全国的に知られるようになりました。
お盆玉をあげるか、あげないか、いくらあげるか、は、それぞれの家庭の事情に応じて決めればよいでしょう。
祖父母は孫を喜ばせたいですし、親の世代には経済的な援助はありがたいです。かといって、無制限に渡し始めたら、どこかで無理をする人も出てくるでしょう。できれば、お互いを思いやって楽しいお盆の休暇を過ごしたいですね。