子供が訴える痛みにはさまざまありますが、「かかとが痛い」というときにはどんな原因があるのでしょうか。
成長期だけに「成長痛ってやつじゃないの?」と思っていたら、意外な原因があることも?!
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成長期だから「成長痛」?それ、本当ですか?
子供が訴えるさまざまな痛み。
腹痛などであれば、原因を探ったり病院へ行ったりということが真っ先に考えられますが、かかととなるとどうでしょう。
成長期の子供では、特に骨に関連していそうな場所で特にケガをしている様子もなければ「成長痛?」と思われてしまうことも。しかしその思い込みが原因で、本当は対処すべき別の問題が放置されてしまうケースもあります。
片足もしくは両足のひざやかかと、足首やふくらはぎなどの痛みを訴える成長痛。
腫れや熱を持っている様子もなく、ケガなど思い当たる原因もない、夕方から夜にかけて数十分間にわたって歩けないほどの痛みを訴える・・・。成長痛にはそんな特徴があります。
そのため、見た目にこれといった問題もなさそうとなると「成長痛かな?」と思われがちですが、スポーツをする子供などではそのために深刻なトラブルのサインが見逃されてしまうことも。
「成長痛」と呼ばれるものは何?
俗に「成長痛」とは10~15歳の子供に起こる成長期の足の痛みなどを指して言われますが、2歳や4歳といったそれ以前の年齢の子供にも実は見られるといいます。
10歳未満の子供の場合には
- 日中たくさん動いたことによる負担
- 精神的なもの
などが原因とされる見方も多いよう。
10歳以上の子供に見られる成長痛では、急激な骨の成長のために周辺の筋肉の成長が追い付かないことによって引き起こされるといった見方もあります。
しかし整形外科医によれば「人間の体は激痛を起こすほど急な成長をすることはない」とのことで、結局のところ原因もはっきりせず正式な病名でもない「成長痛」。
足が痛いというだけでなく、腕などでも起こるなど謎の多い成長痛ですが、その名称自体は「成長期の子供に多く見られる痛み」に対する総称として使われているに過ぎないようです。
成長痛として考えられる痛みの原因は?
原因不明とされることの多い成長痛。
日中よく動き回っているという子供に見られる場合には、その疲労による負担も考えられます。
そのほかに原因らしい原因として考えられているものとして、足の痛みでは浮き指や反張ヒザと呼ばれるものがあります。
浮指とは立っているときでも足の指が地面につかず反り返っている状態のこと。
これは足裏の筋肉がまだ発達していないために指の力が弱いことで起こり、サイズの合わない靴が原因となることもあるようです。
反張ヒザは浮き指と関連して、立つバランスが後ろに偏るかかと重心になることによってヒザが反り返った状態です。
バレエをしている人など、大人でも「特に姿勢を正そう」「足をピンと伸ばそう」としている影響でヒザに力が入りすぎている時間が長いために反張ヒザとなっていることもあるのだそう。
これらは子供だけでなく大人にも起こるものですが、いずれも日ごろの生活でサイズの合った靴を履いたり歩き方や立ち方といったことに気をつけることで改善できるものと言われています。
「日中よく動き回っているから」という原因の中には、単に日中の疲れが出たというだけでなくこうしたことが原因になっている場合もあるようです。
成長痛以外にも「痛みの原因」がある?
安易に片づけられず実は病気が潜んでいることもあると言われる成長痛は、足にもよく起こります。
子供が足が痛いという場合には、まずは外から見て考えられる原因を考えてみます。
外反母趾や内反小指、足の形や大きさの左右差がないか、巻き爪になっていないかといった変形がないか、また靴のサイズが合っているか、靴底の減り方の偏りがないかといったことがまずはポイントとして挙げられますね。
そのほかにも、足全体でいうのならO脚やX脚などもチェック項目に入ってきます。
しかしそういったチェックで見つけられないのが「かかと」。
「かかとが痛い」という子供。
考えられる可能性には、どんなことがあるのでしょうか?
子供のかかとの痛みの正体、実はシーバー病かも
骨の問題?筋肉の問題?「シーバー病」ってどんなもの?
特にスポーツをする子供がかかとの痛みを訴えたとき、疑われるもののひとつに「シーバー病」というものがあります。シーバー病はセーバー病・踵骨骨端症などと呼ばれることもあります。
子供が「朝起きたときに痛い」「練習の始めや終わった後になると痛い」とかかとの痛みを訴えていたら要注意。発達段階にある子供のかかと、かかとの骨の先は成長軟骨と呼ばれるやわらかい骨で出来ています。
画像右側のレントゲン写真のように分離してついている、子供のかかとの骨「骨端核」。
これが15歳を過ぎたころからひとつに固まっていきますが、この部位への衝撃が原因となって起きるのがシーバー病です。
9~14歳くらいの男の子がなりやすいと言われますが、高校生以上でもバスケットやランニングなどが原因で起こることもあります。
具体的には「走る・踏ん張る・ジャンプ」といった動きによって足底筋膜やアキレス腱にかかとのやわらかい骨が引っ張られたり、繰り返す衝撃によって炎症を起こすのが痛みの原因。
骨の成長に筋肉の長さが追い付いていないことによっても起こりますし、そのほかにも筋肉の柔軟性が少ないことが原因となることも。
また、人気のスポーツであるサッカー。
トレーニングシューズの4倍を超える衝撃がかかるというスパイクをはいてトレーニングすることで、筋肉の柔軟性の不足や土踏まずの崩れなども合わさってシーバー病になることもあります。
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シーバー病じゃないなら「足底筋膜炎」?
子供のかかとが痛い病気の最有力候補とも言われるシーバー病。
そのほかに、痛みのカ所や原因が似ているものに「足底筋膜炎」というものがあります。
特にスポーツをしているわけでもないのに?という場合には、足裏のアーチを確認してみましょう。
土踏まずが地面にべったりとついてしまう「偏平足」や、逆に過剰に反り返っている「ハイアーチ」と呼ばれる状態になっているようなら要注意です。
基本的には足の裏、土踏まずの部分のアーチに負荷がかかることで起きると言われる足底筋膜炎。
場所が違うように思われがちですが、足底筋膜は指側からかかとまでつながっています。
シーバー病では、アキレス腱やこの足底筋膜にかかとの骨が引っ張られることによって症状が出てきていましたが、足底筋膜炎では足底筋膜そのものが炎症を起こすことによって痛みの症状が現れます。
この炎症による痛みが、足底筋膜の片端であるかかと側に現れることがあります。
病気やケガなら病院へ、でも・・・これはどっち?
一時的な疲労で起きている可能性もある、子供のかかとの痛み。
腫れが見られることもあるものの、見ただけでは分かりにくい場合も。
- スポーツをしている
- 朝起きたときに痛い
- 練習の始めや終わったあとに痛い
- 痛くなるという場所を押すと痛がる
- 腫れている
これらの症状、特にスポーツをしているお子さんであれば、念のため整形外科を受診してみた方が良いでしょう。
シーバー病を放置して悪化させてしまうと、骨端核が分節してしまったりと長引く原因にも。
病院での治療は、炎症をおさえたりテーピングやサポーターでの固定などが行われます。
これにより8割のケースで治すことができるそう。
治りにくい残りの2割のケースでも、ヒールカップの使用なども合わせて行うことで改善することが多いようです。
軽ければ、練習を休むなどして運動を控えながら2週間程度で治まるシーバー病、重い場合には1~2カ月を要することもあるため、判断しにくい場合でも早めに受診しておくほうが安心です。
足底筋膜炎の場合にも同じような項目に当てはまれば可能性があります。
足底筋膜炎の治療では、土踏まずのアーチを支えるインソールやサポーターなどを使用したりと、本来のアーチ形に戻していく治療が行われます。
また合わせて足指を使いやすくするなどのストレッチなどが取り入れられることも。
足底筋膜炎の場合には原因が偏平足やハイアーチだけとは限らず、両足の長さが異なる、立ったときの足首が内側へ倒れこんでしまっている外反足など、周辺の問題によって足底筋膜への負担が強いことでも起こります。
そういった場合には、その原因を取り除くことが必要になりますね。
いずれにしても、先ほど挙げたような項目に心当たりがある場合には、整形外科など受診してみておいた方が安心です。
家庭でできる予防や治療にはどんなものがある?
かかとなのに、ふくらはぎ?筋肉の柔軟性をつけるストレッチ
シーバー病の場合、衝撃による負荷だけでなく動作に対して筋肉の柔軟性が少ないことでも発症・悪化の原因に。
予防や治療のためには、かかとを引っ張るふくらはぎの腓腹筋・ヒラメ筋、足裏の筋肉の柔軟性をつけることが効果アリ。
【足裏のストレッチ】
足の指を持ち上げるようにして行うこのストレッチのポイントは、親指。
親指をしっかり持ち上げることで、足裏の筋肉が伸びていきます。
シーバー病だけでなく、足裏の筋肉が原因となる足底筋膜炎であっても、この筋肉をやわらかくしておくことによって予防にもなります。
痛みが出ている場合には、炎症が起きている場合もあり負荷をかけることよりもまずは休ませることが大切ですので、痛みが治まったあとや予防の目的で行うのが良いでしょう。
その場合にも、強い負荷をかけるというよりは、息を吐きながらゆっくり伸ばして行くよう意識することが大切です。
【ふくらはぎのストレッチ】
痛みが出ているときに強く伸ばしてしまうと逆効果。
軽いところから少しずつ柔軟性を上げて行きましょう。
柔軟性が必要な筋肉、マッサージも効果を発揮
ストレッチをするには痛みが強いという場合には、マッサージで筋肉を伸ばすという方法も。
足の裏の土踏まず周辺や、ふくらはぎの腓腹筋を痛みのない程度に筋肉をゆっくり優しく押して伸ばしましょう。
筋肉は温めると伸びやすくなる性質があります。
伸ばしたい筋肉は温め、痛みのあるかかとは冷やしながらマッサージを行うとより効果的です。
【足底筋膜炎のマッサージ】
動画では足底筋膜炎のためのマッサージとして紹介されていますが、マッサージしているポイントとしてはふくらはぎの筋肉などシーバー病にも共通する部位です。
マッサージというより指圧に近いイメージですので、子供の足にも強すぎることなく行えますね。
痛みがあるときは「お休み」、テーピング方法
痛みがあるうちは練習を休むなど運動量をおさえ、患部を安静にすることが必要です。
その際、テーピングで固定することもありますね。
シーバー病に有効なテーピングの方法が紹介されていました。
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足の負担を支えて軽減するサポーターやインソール
シーバー病の場合には、病院でもヒールカップなどが利用されることがありますが、市販品で手に入る範囲のものにも、同じような負担を軽減するサポーターやインソールがあります。
またそれだけでなく、靴自体をかかと部分にエアークッションの入っているものを選ぶなどで軽減されることがあります。
【土踏まずのアーチを支えるインソール】
土踏まずのアーチを支えるインソールでは、段階的に偏平足となっている足のアーチを整えるという商品もあります。
【ヒールサポーター】
かかとにかかる衝撃を抑えるものや、土踏まずを支えるサポーターなども市販されています。
なかには土踏まずからかかとまでをカバーできる衝撃吸収材が広範囲に入ったものも。
足底筋膜を鍛えるトレーニング
シーバー病でも足底筋膜炎でも、原因として関連する足底筋膜。
柔軟性と合わせて鍛えておきたい部分ですが、筋肉をつける良い方法はないのでしょうか?
足の過回内が影響していることもある、足底筋膜の負担。
そんなときにはこうしたトレーニングも有効と言えそうです。
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子供のかかとの痛み、疑わしきは病院へ
特にスポーツをする子供に多い、成長痛と間違われやすいさまざまな痛み。
そんなひとつである子供のかかとの痛み、かかとが痛いと言ってきたら痛むタイミングや痛む場所の状態をよく確認してみましょう。
スポーツをする子供に起こりやすいシーバー病、なりそうな心当たりがあれば、筋肉の柔軟性を上げるストレッチなど予防策として取り組んでみましょう。
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