生活に身近な水道水。
カルキ臭いとか、まずいというイメージがありますが、本当にそうでしょうか?
今回は、安全性の観点やミネラルウォーターとの比較から、水道水とミネラルウォーターのどっちがいいのか?を考えてみます。
水道水を劇的においしくする方法もリサーチしました!
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Contents
蛇口に水道水が届くまで
蛇口をひねるとあふれ出る、水道水。この水がどこからきているのか、ご存知ですか?
知っているようでそういえば・・・まずはおさらいしてみましょう。
水道水の旅は、雨や雪が山に染み込み、川に流れだすところから始まります。
川の水は浄水場へ取り込まれまれ、そこで塩素や微生物、凝固剤などを使って何段階にも汚れを取り除かれます。そして一旦、浄水池(配水池)に溜められた後、配水管を通って、わたしたちの蛇口に水道水が届くという仕組みになっています。
ところで、水道水って安全なの?
そうやって浄化される水道水には、実は51項目もの水質基準があり、定期的に検査が行われています。その基準のなかのひとつに、塩素を0.1mg/L以上残す(残留塩素)というものがあります。また、水の味やにおいに影響がないように、残留塩素の量を1mg/Lまでに抑えるという管理目標もあるそうです。
このように、厳しく管理されている水道水なのです。
日本の水質基準は信頼できるの?
水質基準を満たしているのは分かった!でも、その基準値ってどうなのでしょうか?
他の国々でも、日本と同様に水質基準を設けて水道水の管理を行っています。参考までに、WHO(世界保健機関)や、アメリカ環境保護省(EPA)、EUが定めている水質基準と日本の水質基準とを比較してみましょう。
●大腸菌
感染力が強く、きちんと殺菌されている必要のある大腸菌は、どの基準でも厳しい水準を設けられています。
WHO | 100ml中に検出されてはならない |
EPA | 1mlあたり5%以下 |
EU | 100ml中に検出されてはならない |
日本 | 検出されないこと |
●ヒ素
毒性の高いことで知られるヒ素。
WHO | 0.01mg/L |
EPA | 0.05mh/L |
EU | 0.01mg/L |
日本 | 0.01mg/L |
その他にも、有害物質の基準値は設けられていますが、日本はいずれの数値においてもWHO、EPA、EUと同等またはそれ以下の厳しい基準値を設けていることがわかります。
トリハロメタンって何だろう?
よく浄水器の宣伝で「発がん性のあるトリハロメタンを除去」って書いてあったりするのを見たことあります。ちょっと気になりますよね。
トリハロメタンとは、消毒のために投入された塩素が水道水の原水の中の藻やプランクトンなどに反応してできるものです。湖などが水の採取地だった時に、発生しやすいと言われています。
いくつかの種類があるため、あわせて「総トリハロメタン」と呼ばれています。
IARC(国際がん研究機関)では、Group 2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)として分類されています。つまり、発がん性があるかもしれないけれども十分は検証結果が得られていないという分類をされています。また、同じグループにコーヒーや漬物も分類されていることから「健康リスクの可能性があるもの」として把握するほうが良いかもしれません。
また、かつては原水の汚染がひどかった上に、上下水道処理技術が低く、多量の塩素による消毒が必要でした。その結果、トリハロメタンが発生しやすいということがありました。
しかしながら現在では、上下水道の処理技術も向上し、塩素量が減ったため、水道水に含まれるトリハロメタンの量は非常に微量となったのです。
なお、日本の水質基準で定められた0.1mg/L以下という数値は、世界の中でも非常に厳しい基準値であり、東京都水道局によると「生涯にわたり連続して摂取しても健康に影響が生じない水準」とされています。
参照:農林水産省『国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について』
参照:東京都水道局
トリハロメタンは本当に浄水器で除去できるのか?
国民生活センターが蛇口直結型の浄水器で実験した結果を公表しています。
その結果、トリハロメタンや農薬の除去率は概ね良好で、8割以上の除去ができるというものでした。ただし、それはカートリッジ初期段階のみで、最終段階では5割以下となるものが多かったとのことです。
「どうしてもトリハロメタンが気になる!」という方は、カートリッジをまめに取り換えるか、容量の大きいタイプを選ぶ必要がありそうです。
水道管の鉛は大丈夫?
人体に悪影響を及ぼす可能性がある鉛。
加工しやすい鉛管は、かつては広く水道管に使われていました。しかし現在では健康に対する悪影響から国が交換を促しています。
日経新聞によると2014年3月末現在、全国で約347万世帯が鉛管で配水されている水道水を使用しているそうです。この数値は、04年に掲げられた鉛管を「できるだけ早期にゼロにする」との目標のもと、06年に調査された実態数から半減していないというもの。
自宅の敷地内など、個人の管理する水道管部分に鉛管を使用しているケースも多く、注意が必要です。私有地内での鉛管の見分け方は、茨城県南水道企業団の解説がわかりやすいです。気になる方は、ぜひご確認ください。
参照:日経新聞『上水道用の鉛管、20府県で10%超 撤去目標遠く』
参照:茨城県南水道企業団
水道水はおいしい?
さて、もう一つ、水道水についてよく聞くのは、「カルキ臭い」という言葉です。カルキとは、水道水の消毒に使う塩素のことを指しています。屋外プールや、塩素系漂白剤(ハイターやブリーチ)の匂い、と言えばピンとくる方もいるでしょう。
つまり「カルキ臭い」とは、残留塩素が人が感じられるくらいに残っている状態です。
このカルキ臭さについては、東京都水道局が面白い実験を毎年行っています。
その名も、「東京水飲み比べキャンペーン」。
ミネラルウォーターと水道水を、見た目で区別がつかないようにして飲み比べてもらい、どちらがおいしいと感じたかを回答してもらうというものです。
平成27年度の調査では、なんとほぼ同数という結果に。
現在は、浄水技術が発達してきていることもあり、塩素の使用量が減った結果、カルキ臭さというのはあまり気にならなくなってきているようですね。
水道水=おいしくない・カルキ臭い、というのは昔のイメージが残っているようです。
ミネラルウォーターの種類と水道水との違い
とはいえ、消費が伸びているミネラルウォーター。このミネラルウォーターには、農林水産省による品質表示のガイドラインがあるということをご存知でしたか?
ミネラルウォーターには種類がある
ペットボトルに入って販売されている水でも、すべてがミネラルウォーターというわけではありません。実はいろいろな分類がされており、種類が違うのです。
●「ナチュラルウォーター」
沈殿、濾過、加熱殺菌だけをした地下水
●「ナチュラルミネラルウォー ター」
「ナチュラルウォーター」のうち、ミネラルが含まれているもの
●「ミネラルウォーター」
「ナチュラルミネラルウォーター」をブレンドしたり、ミネラルを調整するなどの加工をしているもの
●「ボトルドウォーター」(または「飲用水」)
上記の3つにあてはまらない、容器に詰めた飲用水
「ボトルドウォーター」は、水道水・蒸留水・純水でもボトルに入れればこう呼べるものなので、ちょっと勘違いしてしまいそうです。実際に、水道事業体が水道水がおいしくなったことを知ってもらう一貫として配布したり販売したりしています。
ミネラルウォーターと水道水の違い
さて、水道水とミネラルウォーターの大きな違いとしては、主に水源や加工の方法にありそうです。
●水源
水道水の水源は、主にダムや河川です。対してミネラルウォーターの水源は、地下水です。
●加工・水質基準
水道水は塩素などで殺菌されていますが、ミネラルウォーターには薬品の添加はされていません。また、51項目もの水質基準がある水道水に対して、ミネラルウォーターの水質基準は18項目となっています。
亜硝酸態窒素とは?
水道水や地下水から検出されており、健康被害が心配されているものの一つに、「亜硝酸態窒素」があります。
これは、水道水については0.04mg/L以下という厳しい基準となりましたが、ミネラルウォーター類については、従来と同じ10 mg/L 以下という基準となっています。
水道水とミネラルウォーターどっちに軍配?
このように見ていくと、安全性の面では、水道水に軍配が上がりそうです。
また、「東京水飲み比べキャンペーン」の結果にも表れているように、おいしさの面からみると、ミネラルウォーターのほうがおいしいと感じる人が若干多いようですね。
また、ミネラルウォーターで気になるのは、そのコストや利便性。購入する時間や、使用する際の手間を考えると、この点では水道水に軍配が上がるようです。
結論としては、ライフスタイルや味の好み、利便性などによって選択するのがよさそうです。
水道水をおいしく飲むには?簡単ですぐにできる水道水のおいしくなる方法
そうなると、水道水で一番気になるのは、味ですね。
水道水をおいしく飲むための方法をお伝えします。
その①:朝一番の水を飲むことを避ける
朝一番や長時間使われずに水道管の中に残っていた水は、塩素が抜け、いたんでいる可能性があります。また、引き込み部分が鉛管だったり、錆がついていたりした場合、それらが水に溶けだしているかもしれないため、味だけではなく、安全の面でも問題がある可能性があります。このため、朝一番の水は飲まずに、洗濯や洗い物など別の用途に使うことがお勧めです。
その②:冷やす
おいしく水を飲むためには、実は温度が重要です。
有識者による「水を考えるプロジェクト」では、具体的な温度について「体温と比較して20~25℃低い温度(10~15℃)の水がおいしい」と結論づけています。ちなみに、東京都水道局のデータによると、浄水場の出口からの水道水の平均的な温度は、16.9℃。
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冬は蛇口からの水でもよさそうですが、暑い時期には、飲みたい分の水をあらかじめ冷蔵庫に入れて冷やしておくとよいかもしれませんね。
一晩冷蔵庫で冷やした水はほとんどカルキを感じないという人も多いです。
その③:竹炭や木炭を使う
使用前に流水で良く洗い、5~10分ほど煮沸消毒をしたものをペットボトルに水と一緒に入れて一晩おきます。炭には脱臭効果や塩素を吸着して取り除く浄水効果があるのです。
また、含まれているミネラル分が水にとけだし、ミネラルウォーターにもなります。
使い続けていると、炭のミネラルは無くなりますが、脱臭・浄水効果は2か月ほどもつと言われています。
その④:汲み置きして空気にさらす
口の広いなべやボウルなどに水を汲みおいて一晩ほどさらすと、空気に触れることで塩素が抜けて、カルキ臭さがなくなります。ただしこの方法は、雑菌やほこりが入る可能性がありますので、ご注意くださいね。
その⑤:直射日光に当てる
水道水を太陽光にあてておくと、紫外線の効果で塩素が抜けます。ペットボトルや瓶に入れて、日光浴させておくとよさそうですね。6時間~8時間程度置いておくことで、効果があります。
その⑥:生のレモン汁を入れる
レモン果汁に含まれているビタミンCが反応し、塩素が抜けます。また、さわやかな風味がつくのもメリットですね。ただし、濃縮還元された果汁では塩素が抜ける効果は見られなかったという実験データもありますので、ご注意を。
その⑦:沸騰させる
沸騰させることで、塩素の除去ができます。ただし、沸騰直後にはトリハロメタンの濃度が2倍以上に上がってしまうため、10分以上沸騰させ続けましょう。
4分程度の沸騰で、トリハロメタンの濃度がもとの水道水の1/10程度になったという研究結果も出ています。
このように、塩素を除去する場合は水道水の消毒・殺菌効果がなくなるため、水がいたみやすくなります。早めに飲み切るように注意してくださいね。
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まとめ
この記事では以下のようなことをお伝えしてきました。
・日本の水質基準は世界でもとても厳しく管理されていること
・トリハロメタンなどの有害物質について、浄水器の効果
・鉛を使った水道管がまだ残っていること
・水道水がマズイというのは昔のイメージであること
・水道水をおいしくする方法
あなたのお役に立ったでしょうか?
自分に合った方法をみつけて、ぜひ、おいしい水ライフをお送りください!