「最近手首が痛い」「朝起きたら手がこわばって力がはいらない」こんな自覚症状があっても、湿布を貼って様子を見ている方、自己判断で病院に行かずに放置していると悪化してしまう場合があるので要注意なんです。

 

手首の痛みの治し方、ストレッチやサポーターを上手に使おう

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手首が腫れて痛い・・・どうして?

手首に痛みがあると言っても親指側や小指側など、どこが炎症をおこしているかで痛みが出る場所は様々です。
手首と言われている部分は手首の関節の部分の事を指し、月状骨や舟状骨と呼ばれている小さな骨と、手首から肘にかけてある尺骨・橈骨の2本の骨でできた関節で「手関節」と呼ばれています。

では、どうして手首に痛みを感じるのでしょうか?
手関節には骨どうしをつなぐじん帯、関節を動かす筋肉、骨と筋肉をつなぐ腱などの組織があり、これらの組織に異常があると痛みの症状が現れてくるのです。

無意識にやってない?手首が痛い原因はこんな事にあった

ある日突然手首が痛くなってしまった、と思っている方もいるかと思いますが、実は日常生活を送るなかで無意識のうちに手首に痛みが出てしまう原因を作っている事があるんです。

重たい物を持った

家の片付けで家具を移動した、子供を抱っこしている、仕事で重い物を持つことが多い、最近引っ越しをした・・・等で、重たいものを持ち上げようとする時に、手首には大きな負担がかかります。

負担の多くは骨と筋肉をつなぐ腱をパイプ状に包み込んで守る役割をする腱鞘(けんしょう)と呼ばれる部分にかかり、腱鞘炎(けんしょうえん)を招いてしまいます。

デスクワークをしている

デスクワークの他にもスーパーのレジや、ピアニストなど、一定の姿勢のまま長時間労働をする方は筋肉疲労がたまりやすく手首・腕・肩・腰などに様々な不調が現れます。

これらは「キーパンチャー病」と言われていて、このような不調を改善するには十分な休養・長時間同じ姿勢でいないように働く環境を変えてみるなどの工夫が必要になってきます。

妊娠や産後

妊娠中の女性の体はお腹の赤ちゃんを守るために急激に変化していき、その中の一つに手首の痛みがあります。
妊娠中の女性が手首に感じる痛みの原因の多くは「手根管症候群」と言われていて、突発性のものが多く原因不明と言われています。

また、妊娠中に手首の痛みの症状がなかった方でも、産後のホルモンバランスの影響から腱鞘炎を起こしやすくすると言われています。

ゴルフ・テニスなどのスポーツをしている

テニス、バドミントンなどのラケットを使用するスポーツやゴルフをしている方は、手首に過度の負担がかかりすぎてしまいじん帯を痛めてしまうTFCC損傷になってしまいます。

筋トレしている

急激に重量を増やしたり、休養をとらずに筋トレを続けたり、自己流の筋トレで正しいフォームができていない等、こうした理由から筋トレをする方は手首の痛みに悩まされる方が多いと言われています。

骨折などケガをしている

転んだ瞬間に手をついてしまい捻挫や骨折、TFCC損傷などのケガをしてしまう事が多いそうです。

捻挫や骨折は程度によっては区別がつきにくい場合があります。
どちらも痛み・腫れ・熱をもった感じがありますが動かすと不快音がしたり、関節でない方向に曲がる場合は骨折の可能性があります。

手首の腫れと痛みの原因と症状・治療法

手根管症候群の原因と症状

妊娠中のホルモンバランスの影響やむくみなどから手根管症候群の症状に悩む女性は少なくなく、出産後も赤ちゃんのお世話などで手首に負担をかける事が多いという理由でなかなか治りにくいと言われています。

特に冷え性の女性の場合、手根管症候群になるケースが高いと言われているので妊娠を希望している方や妊娠している方は体を冷やさないように注意する事が手根管症候群の予防にもつながると言えそうです。

手根管症候群は親指から薬指の親指側にしびれや痛みが出て、朝方に症状が強く現れ、手を振ると和らぐという特有のサインがあります。

手根管症候群の治療法

病院では手首の内側をハンマーなどで軽く叩き、指先にしびれや痛みなどの「チネル徴候」が出るかどうかという検査を行う他、手首を直角に曲げてた状態で両手の甲を強く合わせた時にしびれや痛みなどの「ファーレンサイン」があるかどうかで判断します。

妊娠中に手根管症候群を発症した場合には、産後しばらくすると落ち着く事が多いので、手術はせずに安静にするなどの保存療法で経過を見る事がほとんどです。

急激な体重増加も悪化の原因になるので、妊娠中は体重コントロールを行うようにしましょう。

腱鞘炎の症状と原因

手首の手前から指先にかけて通っている腱は骨と筋肉をつなぐ紐のような組織です。
手指を曲げたり伸ばしたりする時には腱鞘の中で腱が往復するように動きますが、往復する部分が通過障害により炎症を起こした状態を腱鞘炎と呼びます。

通過障害が起こる原因はむくみなどにより腱鞘が厚みを増したり、加齢により腱鞘の組織が硬くなることによります。

また、糖尿病の方は結合組織に病変が起きやすいので腱鞘炎になるリスクが高いと言われています。

手首の腱鞘炎はドゲルバン病とも言われ、物を持とうとすると手首が痛くなったり、指が腫れるなどの症状があり、ひどい場合はペンなどの軽い物を持つだけで痛みが現れることもあります。

パソコンやスマホを長時間使用する、育児で毎日赤ちゃんを抱っこする、部活などのスポーツ等、繰り返し手を使うことで骨と筋肉とつなぐ腱に負荷がかかり炎症が起きてしまった状態で、親指の付け根から手首にかけて腫れや痛みが出てきます。

最近では「パソコン腱鞘炎」「マウス腱鞘炎」と呼ばれることもあり、新現代病ともいわれています。

腱鞘炎の治療法

腱鞘炎の治療は炎症を落ち着かせるために安静にする事も一つの方法ですが、装具で固定するというような事は基本的に行いません。

痛みが強く日常生活に支障をきたす場合には、ステロイド注射を打つ事もありますが、ステロイドは繰り返し使用すると腱が弱って切れてしまうという副作用もあるため、頻繁に使用する事はできません。

一旦落ち着いても再発を繰り返すようであれば手術をする場合もあります。

TFCC損傷の症状と原因

TFCCとは「三角繊維軟骨複合体」といい、手首の軟骨周囲のじん帯の総称です。
骨ではなく、親指側にある腕の骨橈骨(とうこつ)と小指側にある椀尺骨と8つの骨からなる手根骨という部分の間にある小さな組織の事を指します。

TFCCには手首の外側の衝撃を吸収するクッションの役目と手首を安定する働きがあり、これらのじん帯を痛めてしまう事をTFCC損傷と呼びます。

ドアノブをひねる、ペットボトルのふたを開ける、蛇口をひねる等の動作をした時に痛みが出るのが特徴です。

ゴルフやテニス、バドミントンなど手首を使うスポーツをしている方が発症しやすい慢性のものと、転んだ瞬間に手をついてしまったり、事故などで手首に負担がかかってしまう急性のものがあります。

手首の捻挫だと思っていたけどなかなか痛みが引かない、痛みが引いたと思ったらぶり返してしまったなど、なかなかスッキリしないという方が病院に行ってみたら実はTFCC損傷だったという事が多いようです。

TFCC損傷の治療法

TFCCは骨ではないのでレントゲンには写らないのでMRIなどを使って検査をしますが、それでも判断がつきにくいので痛みを誘発させるテストなどで程度を調べる事があります。

TFCCと診断された場合の治療法は、ギプスやサポーターで手首を固定します。

固定しても痛みが消えない時には、段階的にステロイド注射や手術を行う場合もあります。

関節リウマチの症状と原因

体を動かすために重要となる骨や関節、筋肉などが炎症を起こしてダメージを受ける病気全般を「リウマチ性疾患」と呼びます。そのなかで、関節に炎症が続いたのちに関節が徐々に破壊され、機能障害をも引き起こすのが「関節リウマチ」です

膠原病の一種で体の免疫システムの異常が関係していると言われていますが、原因ははっきりと解明されていません。

初期段階では自覚症状に気が付かないことが多く、他の病気と間違えてしまう事もあると言いますが、進行すると骨や関節の組織が破壊され変形し、動かせなくなってしまう場合もあります。

  • 肘、手首、指などが動かしずらい、痛みや腫れがある
  • ケガなど心当たりがないのに手首が腫れて痛い
  • 起きてから1,2時間程手がこわばって動かしにくい

他にも、関節リウマチは左右対称に腫れが起こる場合が多く、指関節が赤く腫れるなどの症状もあります。
これらの症状がある場合はすぐに医師に相談するようにしてください。

関節リウマチの治療法

関節リウマチの検査は、赤血球がどれくらい沈んでいくかや、関節炎の程度などを調べる血液検査と、尿たんぱくが出ているかなどを調べる尿検査と、関節や骨の状態を調べるレントゲンやMRI、CTなどの項目があり、症状と検査結果から総合的に判断していきます。

リウマチというと、今までは「不治の病」であると考えられてきましたが、最近では進行を遅らせたり、関節痛の症状が消えて血液検査の数値も正常な寛解(かんかい)という状態にすることも可能になってきています。

薬物療法に加え、リハビリや手術など必要に応じて組み合わせる治療が一般的ですが、新しい治療薬ができた事により、炎症や痛みを抑えるだけでなくリウマチの進行を食い止める治療ができるようになってきています。

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キーンベック病の症状と原因

月状骨と呼ばれる小さな骨がつぶれてしまう病気で、原因は解明されていませんが、スポーツ選手や職人や大工さんなどの手を使う事の多い方が発症しやすいと言われています。

おもに手首を動かしにくい、手首を反らした時に特に痛む、腫れ、握力低下、押したり引いたり、手をついたりする動作に支障が出てきます。

月状骨は周囲を軟骨に囲まれている為に血流が乏しく、血流障害を起こしやすく放っておくと血液が遮断され、手首の骨がつぶれて壊死してしまう事があります。

血行障害を起こす原因として考えられるのは、腱鞘炎や捻挫などの小さな外傷を繰り返す事や、強い圧力がかかった事、気付かない程度の小さな骨折などと言われています。

キーンベック病は自然に治ることはないと言われているので心当たりのある方は医療機関を受診するようにしてください。

キーンベック病の治療法

キーンベック病の疑いがある場合にはレントゲンを撮りますが、初期の段階ではレントゲンに映らないのでMRIを使って診断する事もあります。

キーンベック病が初期の段階だったり痛みが強い場合にはギプスを使って固定をしますが、手術をするのが一般的と言われています。

ガングリオンの症状と原因

ガングリオンとは中にゼリー状の物質が詰まった腫瘤の事をいいます。

「気が付いたら手首にコブのような物ができていた」という場合、もしかしたらガングリオンなのかもしれません。

関節周辺や腱鞘のある部分に米粒程度からピンポン玉程度の大きさの腫瘤ができ、多くは傷みがないのですが、コブが神経を圧迫してしまうと痛みやしびれ、運動マヒなどを起こすことがあります。

ガングリオンは比較的若い女性に多くみられますが、手を良く使うからといってガングリオンを発症するという訳ではありません。

ガングリオンの原因ははっきりと解明されている訳ではありませんが、今の段階では関節を過度に動かす事により関節周囲の潤滑剤の役割を果たしている滑液が濃縮して溜まってしまう説、外部の衝撃から身を守ろうとする防衛機能によりクッションの代わりになるガングリオンが形成される説、ストレスなどの血行不良から、溜まった老廃物がガングリオンになるという説があります。

ガングリオンの治療法

ガングリオンか診断をするには、腫瘤に注射針を刺しゼリー状の中身が吸引できるかどうかと、MRIや超音波の検査をする場合があります。

ガングリオンは名前から恐ろしい病気をイメージしてしまいますが、良性の腫瘤なので痛みやしびれ、違和感などを感じなければ経過観察の処置をとる事がほとんどで、いつの間にか腫れが引けているという場合が多いようですが、治療法としては注射針で腫瘤を吸引する方法と、摘出する方法とがあります。

しかし、吸引はガングリオンの再発する確率が高いので何度も施術するというのは避けた方が良いと言われています。

また、摘出する場合は腫瘤周辺の血管や神経を傷つけてしまうというリスクもあります。

多くの場合が経過観察で済む場合があるとは言え、自己判断はキケンなので医師に相談するようにしましょう。

橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)の原因

転んだ拍子に手をついたことで起こる骨折で、転んだ直後から手首に痛みと腫れが起こります。

自転車やバイクを運転中の転倒事故や骨粗しょう症にかかっている女性が起こしやすい骨折と言われています。

橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)の治療法

骨折かどうかはレントゲン撮影で判断する事ができますが、骨折の程度によってギプスなどの固定だけで済む場合や手術が必要な場合もあります。

舟状骨骨折(しゅうじょうこつこっせつ)の原因

事故やスポーツなどで手首を強く打った事で起こる骨折ですが、捻挫と間違われることが多く自己判断で病院に行かないという場合が多い骨折です。

また、通常のレントゲン撮影の取り方では骨折の状態が見えにくく、見逃してしまう事もあるのですが、必要な治療を受けずに放置してしまうと折れた部分の骨がしっかりとつながらず、本来関節ではない部分が関節のように異常可動してしまう偽関節というという状態になってしまいます。

偽関節になると手首が動かしにくかったり、手首に痛みが出たりうまく力がはいらないなど、後の日常生活に支障が出てしまう場合があります。
事故などで手首を強く打った場合には病院で診てもらうようにしましょう。

舟状骨骨折(しゅうじょうこつこっせつ)の治療法

骨折がどうかを判断するのにレントゲン撮影は必要ですが、舟状骨骨折の場合はレントゲン撮影だけでは見逃してしまう場合もあるので必要に応じてCTやMRIの検査を受ける場合があります。

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早期に発見された舟状骨骨折の場合はギプスで固定する事が多いですが、治療は長期にわたる場合もあり特殊なネジで固定をして治療期間を短縮する場合もあります。

既に偽関節になってしまった場合は放置すると手首全体が悪くなってしまう可能性もあるので手術を行うなど治療が必要になります。

手首が痛い時の対処法は?

手首に痛みや腫れを感じているのに、自己判断で病院に行かないのは症状を悪化させるだけではなく、治りが遅くなるなど今後の生活に悪影響を与えてしまう可能性があります。

痛みの原因によって対処法はちがってきますが、ここでは病院に行くことを前提として腱鞘炎・軽度の捻挫の時の対処法をご紹介します。

腱鞘炎になった場合の対処法

腱鞘炎は筋肉をつなぐ腱に負担がかかりつづけることで発症してしまいます。
痛みの原因が腱鞘炎かも、と思ったらまずは痛む手首や指は極力動かさずに安静にしましょう。

湿布を使う場合は温湿布と冷湿布のどちらを使ったらいいのか迷うと思いますが、使っていて心地よいと感じる場合はどちらでも構わないとされています。

捻挫になった場合の対処法

まずは患部を動かさないように安静にする事が大切です。

三角巾などで手首が動かないように固定をしてから、冷やしましょう。
冷やす場合は広い範囲を氷のうなどで15分から20分程度冷やし、感覚がなくなったら冷やすのをやめる、を数回繰り返します。

次にスポンジやテーピングなどで患部を圧迫・固定し、心臓よりも高い位置に保つようにしてください。

手首が腫れている・痛みがある時は何科を受診するのがいいの?


手首の痛みの中には早急な治療が必要な骨折などのケガや、腱鞘炎や関節リウマチなど放置すると悪化してしまう可能性もあります。
自己判断はせずに整形外科を受診するようにしましょう。

 

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手首に痛みを感じたらまず病院へ

手首が痛いといっても色々な原因が考えられます。

様子見でも大丈夫な症状も中にはありますが、それもで自己判断は禁物です。

まだ大丈夫だから、と先送りにするのではなく早めの受診が完治への近道です。

 

手首の痛みの原因はいろいろ。もっと詳しく知りたいならこちらもどうぞ。

 


 

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