終わりよければすべて良し。
それは日常生活でも同じこと。
せっかく、すっきりと除湿しても、最後の処理で悩んでしまったらすっきりしませんね。

ということで、除湿剤の処理について詳しく知って、最後まですっきりとした気分で除湿剤を使いましょう。

 

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除湿剤を使うと水がたまる?

メジャーな除湿剤のひとつである、タンクタイプの除湿剤
物置や押し入れなどの、密閉された空間に使われることが多いタイプです。
除湿量の多さと、コストパフォーマンスの良さが人気の秘密。
また、除湿の様子がひと目でわかり、水分を空気中から取り去ってくれたことを実感できるところも好評です。

タンクタイプの除湿剤は、除湿すると容器の中に水がたまっていきます。
容器は二重構造になっていて、上部に薬品、下部は最初は空です。
パッケージを開封し設置しておくと、湿気を吸い取り、容器の下部に水がたまり始めます。
水はこぼれないように、容器には透湿防水シートという水は通さずに湿気だけ通すシートが張られています。

ところが、なかなか水がたまらずに上部の薬品が白く固まっているのを発見することがあります。
でも大丈夫。
これは、薬品が湿気を吸い始めたから起こる現象です。
そのまま使い続け、もっとたくさん湿気を吸うと、下部に水がたまりはじめます。

どうして水がたまるの?

どうして水がたまるのでしょうか。
それは、タンクタイプの除湿剤に使用されている薬品の性質によります。
タンクタイプの除湿剤には、塩化カルシウムが使用されています。
この塩化カルシウムが、容器上部に入っていて、透湿防水シートをくぐってきた湿気と反応します。

塩化カルシウムには、潮解性という性質があります。
これは、物質が空気中の水分をとりこみ、物質自身が水溶液に変わるというもの。
塩化カルシウムが湿気をとりこんで塩化カルシウム自身が水溶液となり、容器下部へたまることで除湿するのです。

塩化カルシウムは除湿量が多く、とりこむ水分量は、自らの重さの二倍近くにもなります。
吸湿スピードはおだやかで、時間をかけて大量に除湿するのが特徴です。

たまった水の正体は?

では、容器の下部にたまる水の正体は何でしょう。

湿気の水分だと誤解されることもありますが、これは間違いです。
たまった水の正体は、水分をとりこんだ塩化カルシウム自身が変化した塩化カルシウム水溶液です。

この水は安全なの?

タンクタイプの除湿剤で除湿をした際に容器下部にたまる水分・塩化カルシウム水溶液。
はたして塩化カルシウム水溶液は安全なのでしょうか。

塩化カルシウム水溶液には塩化物イオンによる腐食性があるため、金属類を腐食させます。
衣類やカーテンなど布類に付けば潮解性のため、シミ・べたつきが残ります。
革製品なら痛んでしまいます。
皮膚に触れれば火傷を起こします。
植物も塩害により枯らしてしまいます。
土にまくと土壌を変化させてしまいます。

このように、塩化カルシウム水溶液は取り扱いに注意し、その廃棄には適切な処理をすることが必要です。

処理について

それでは、除湿剤の使用後の塩化カルシウム水溶液はどのように処理したら良いのでしょうか。

メーカーによると、大量の水とともに、排水口へ流すようにとのこと。
透湿防水シートを開け、水道水をたっぷりと流しながら、容器下部の水を流します。
全部流し終わったら、周囲も水で良く流し、拭いておきましょう。
金属部分が腐食してしまわないようにします。

また、作業をする際には、ゴム手袋をして手の保護をしましょう。

庭にすてても大丈夫?

塩化カルシウム水溶液をお庭にすてても大丈夫?
そんな風に、他の処理のしかたを考えるひともいるかもしれません。

しかし、たまった水について説明したとおり、塩化カルシウム水溶液の及ぼす塩害により、植木や花を枯死させてしまう上、土壌にも影響があります。
このことは、塩化カルシウムを融雪剤として使用している地方でも、懸念されています。

植物のない場所で、土壌については気にしないとした場合でも、気をつけなくてはなりません。
地中には水道管など配管があり、それらが腐食してしまう原因になるからです。

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塩化カルシウム水溶液をさわってしまったら・・・

もしも塩化カルシウム水溶液をさわってしまったらどうなるのでしょうか。

塩化カルシウム水溶液が皮膚にふれてそのままにしておくと、軽度の火傷をおこします。
皮膚についてしまった場合、すぐに水で洗い流します。
たらいの水ですすいだり、濡れ布巾などでふき取るのでは不十分です。
必ず流水で入念に洗い落とす必要があります。

目に入った場合も、こすったりせずに、よく流水で洗い流します。
コンタクトレンズを使用している場合は、外します。

皮膚についたケースも、目に入ったケースも、応急処置のあとは医師に相談しましょう。

誤飲したら・・・

では、誤って除湿剤の塩化カルシウム水溶液を口にしてしまったら、どうなるのでしょう。

塩化カルシウムはごくごく少量なら添加物として豆腐などの凝固剤に使われるなど、食品にも用いられる物質です。
ですから、少しなめてしまった程度なら問題ありません。

また、塩化カルシウム水溶液には苦味があり、大量にのむことは難しいと予想されます。

それでも、体重10キロあたり1グラム以上の量の塩化カルシウム水溶液を飲んでしまった場合には、大量の真水あるいは牛乳を飲ませて、応急処置をします。
そして、誤飲した除湿剤の容器を持参した上で、医師に相談しましょう。

布についてしまったら

衣類やカーテンなど、布類に塩化カルシウム水溶液がかかってしまうと、シミになります。

これは、塩化カルシウム水溶液が繊維にしみこみ、周囲の水分をとりこみ続けるからなのです。

石鹸や洗剤でも除去は難しく、ベタベタした感じが残ります。

このような場合、除湿剤にたまった塩化カルシウム水溶液がついてしまったと言い添えて、クリーニング店へ持ち込んで見ることをおすすめします。
できればチェーン店ではなく、お店で手作業を行っていクリーニング店が良いでしょう。
クリーニング店による水性処理でシミを解決できます。

こぼしてしまったらどうなるの?

容器を破損したり、たおしたりして、塩化カルシウム水溶液を周囲にこぼしてしまったらどうなるのでしょう。

塩化カルシウム水溶液がこぼれると、その場所がベタベタとして、雑巾でふいてもなかなかとれません。
これは、塩化カルシウム水溶液がベタベタしているのではなく、布のケースと同じように、塩化カルシウムが空気中の水分をよりこんでいることによるべたつきです。

ですので、いくら乾かしても塩化カルシウムが除去されないかぎりべたつきは残ります。

フローリングにこぼしてしまったら

フローリングの床に塩化カルシウム水溶液をこぼしてしまった場合。

ゆるく絞った雑巾で拭く、それから乾拭きをする。
これを根気よく繰り返して、塩化カルシウムを取り除きます。
かなり根気のいる作業です。

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こすると塩化カルシウムを広げてしまいます。
押さえて吸い込むように拭き取ってください。
水よりもお湯のほうが効果があります。

作業の際には、手に塩化カルシウムがつかないようにゴム手袋をしましょう。

カーペットにこぼしてしまったら

カーペットに塩化カルシウム水溶液をこぼしてしまった場合、完全に除去するのは困難です。

カーペット専門店や、クリーニング店へ相談してみましょう。

畳にこぼしてしまったら

塩化カルシウム水溶液をこぼしてしまったのが、畳の場合。
フローリングと同様、ゆるく絞った雑巾と乾いた布巾で繰り返し拭いて、塩化カルシウムを取り除きます。

こすらず押さえて吸い込むように拭き取ること、水よりもお湯のほうが効果があるのも同じです。
ゴム手袋の着用も忘れずに。

塩化カルシウム水溶液が漏れたりこぼれたりしないために

塩化カルシウム水溶液をこぼさないために、次のことに注意しましょう。

使用時は、透湿防水シートを上にして、倒れたり斜めになったりしないよう、安定した場所でまっすぐに置きます。
また、容器や透湿防水シートの破損を防ぐため、除湿剤を落っことしたり、上に何か物を のせたり、倒れっぱなしにしておかないようにし、附属のプラスチックのフタがあれば必ず使用します。
透湿防水シートに、洗剤などの界面活性剤や油、アルコールをつけてしまうと、防水機能が失われて廃液が漏れるので、使用開始日の記入はシート面にしないようにしましょう。

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安心して除湿剤が使える!

いろいろ理由をきちんと知ることで、面倒に感じていたともやる気がでますね。
除湿剤にたまった水がどんな液体なのか知ることができて、次からは迷わず適切に処理できそうです。
これで、ますます安心して除湿剤が使えるようになりました。


 

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