昇格試験で、「論文」を課されたら、どのように書けばいいのでしょうか。

 

「この論文試験に合格したら、昇進もするし、給料も上がる。自分のためにも家族のためにも、ここががんばりどころ!」

そう思うけれども、意欲ばかりで、いっこうに手が動かない……。

 

そういう方に読んでいただきたい、昇格論文の書き方のコツです。

 

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一般的な論文の書き方については、こちらをどうぞ!
小論文はどう書けばいい?作文との違いや構造、書く時の注意点は?

 

他にも、会社員の「昇進」「昇格」にかかわる記事はいろいろあります!
「昇格試験の論文、面接、筆記」の記事一覧はこちらから

 

昇格論文は、どう準備すればよいのか

1、会社の求める人材を知る

会社が昇格させたいのは、どのような人間でしょうか?

 

まず、それを自分に問いかけ、会社が求めている人間像を想定しましょう。

その上で、「会社が求める人材」ならば、どういうことを書くだろうか、という視点で論文を書きましょう。

 

論文とは関係ない話ですが、生活する上で何かの判断に迷ったとき、「自分の尊敬する〇〇さんなら、こんな時どうするだろうかと考えて、決断する」と言う人がいます。

それと同じ思考法で、論文を書きましょう。

 

昇格試験でどの役職を目指すのかによって、必要とされるスキルは異なります。

一般的には、会社の上層に近づくにつれ、幅広い知識と能力が求められます。

 

逆に、狭くてもいいので深い知識が必要な役職もあります。

たとえば技術職や、一つの現場を任され、指揮をとる仕事の場合などです。

 

会社の業務内容や経営方針によっても、求められる人材は違ってきます。

今後、海外進出を念頭に置いている会社であれば、海外の事情に対する理解が不可欠でしょうし、ITの一層の活用を目指している会社であれば、その知識も必要です。

 

ですから、自分が昇格で目指している地位にふさわしい知識・技能を身につけた「理想の人材」を想像し、その人材が「書きそうな」論文を書くことを目指しましょう。

 

2、会社が直面している(するであろう)問題を知る

会社の経営状態・経営方針を把握し、現在、直面している(または今後、直面するであろう)問題を考えます。

さらに、それらの問題をどうしたら解決できるのか(予防できるのか)を、考えてください。

 

視野は広く、会社の問題の背景にある大きな問題にも、目を向けてください。

つまり、日本の経済・社会全体が抱えている問題もピックアップしておきます。

 

たとえば、「高齢化・人口減の問題」「労働人口の減少と外国人労働者の問題」「社会保障費の増大と財政難」など。

世界規模で活動している企業であれば、「テロリズム」「EUの今後」などの国際的な課題に目を配る必要があるでしょう。

さらに、会社の業務と直接の関係がなくても、世間で話題になっている言葉も、とりあえず内容だけは、理解しておきましょう。

 

たとえば、「IOT」「AI」「ビッグデータ」「ワーク・ライフ・バランス」「女性の活躍」「クラウドファンディング」「働き方改革」などです。

 

3、課題を手に入れ、考える

論文の課題が発表されていればよいのですが、もしも、試験会場で発表されるのであれば、過去に試験を受けた人からその時の課題を教えてもらいましょう。

 

過去問を知ることは重要です。

たとえ課題が知らされていない場合でも、過去問から推定して「想定課題」を作って論文を書き、準備できるからです。

事前にいくつか論文を書いておけば、落ち着いて試験に臨めます。

 

会社によっては、たとえば「私が課長になったら」など、論文とは名ばかりで、自分の意欲を書くだけの「決意表明文」が課題になる会社もあります。

こういう場合は、上司や先輩に「いったい、どういう論文を書けばいいのか」とリサーチすると、取るべき対応が浮かび上がります。

 

とにかく熱く、やる気を語る」ものが好まれるのか、「理性的に、会社を分析する」ものが好まれるか、会社が望んでいる方向を知って、書き始める方がよいでしょう。

その会社に勤務していれば、経営者の性質や会社の雰囲気から、望まれる論文の傾向は、ある程度、判断できるのではないかと思います。

 

さて、発表された課題、もしくは、過去問から予想して作った課題をもとに、論文を書いていきましょう。必要ならば資料を集め、考察し、紙と鉛筆を手にして、書くべきことを箇条書きにしていきます。

さあ、手と頭を働かせるのです。それでは具体的に見ていきます。

 

そもそも昇進・昇格試験における抱負って?という方向けに。抱負の書き方と例文についてはこちらの記事が参考になります。

● 昇進・昇格の抱負の書き方のポイントから例文まで!


昇格論文の例題・例文で研究

出された課題をもとに、昇格論文を書いていきましょう。

昇格論文の結論には、会社の経営の安定と一層の発展を実現できる提言を書くべきだと、まず再確認しておきます。

前向きな結論が導き出せるように、骨子を書いていきましょう。

 

骨子とは、骨組みのことです。

 

骨子の書き方

論文の骨子の書き方の基本は、次の一文です。

 

「現状を分析し、問題点を洗い出して考察する。さらに過去の反省を踏まえ、現状改善の方法と、将来への展望を述べる」

 

細分化して項目にしましょう。
  1. 現状分析
  2. 問題点の洗い出し
  3. 考察
  4. 反省
  5. 現状改善の方法
  6. 将来への展望
 

上の1~6を、前向きに、できるだけ具体的に書けばいいのです。

1~6は、全部そろっていなくても構いません。

 

論文の構成は「序論→本文→結論」が、書きやすく、内容が読者に伝わりやすいので、まずはその構成で書いてみましょう。

序論には「問題提起」や「現状分析」が該当します。

 

例題と例文

例題「当社の現在の問題点と、その対策について述べよ」

(会社の売り上げ・利益・株価などの資料が、提示されていると仮定)

 

昇格論文の書き方を、例文で学びます。

だたし、これは骨格部であり、実際の論文では、さらに詳しく書き加えていく必要があります。

*【  】と《  》 の中は、実際の論文には書きません。

 

序論《問題提起と現状分析》

当社の近年の売り上げを見ると、減少カーブを描いている。利益も、まだ黒字ではあるものの、減少している。

どのような対策を講じれば、売り上げの減少を食い止め、増加に転じることができるのだろうか。

 

本論

《現状分析》

店舗別の売り上げを見ると、売り上げが前年を割り込んでいる店舗が多い。

それに対して、インターネット販売の売り上げは前年より伸びている。

 

《問題点の洗い出し》

現在、若い世代向けの商品が中心であるが、若い世代の可処分所得は減少傾向にあり、このままでは今後、売り上げが増加する見込みはない。

 

《考察》

今後、成長の見込める分野は何か。

どの世代にどういう方法でアプローチするのがよいか。

まだ体力の残っているうちに、採算の悪い店を閉鎖してコストを削減し、それを成長できる方面に振り向けるべきではないか。

 

《過去の反省》

当社は、インターネット通販の分野にかなり遅れて参入した。

なまじ成功体験があるために、新たな販路を開くことを怠っていた。

 

《現状改善の方法》

宣伝や販売において、インターネットをもっと活用するべきである。

 

《将来への展望》

高齢者人口の増加する将来は、新たな顧客として高齢者を意識しなくてはならない。

 

結論

当社の問題点は、売り上げと利益が減少傾向にあることである。

対策として、コスト削減と、インターネット通販による販売の拡大、高齢者を対象とした商品開発を提唱したい。

商品開発・仕入れ・広告・販売の各部署から選抜して、新たにインターネット販売専従チームを作り、販売を強化すべきである。

シニア関連部門を設立し、高齢者に浸透するブランドを開発すべきである。

(以上)

 

上の例文に具体的な数字を落とし込み、より詳しく書いていけば、昇格試験の論文ができます。

それは、どういう意味なのか、下の「パラグラフ構造」を理解すれば分かっていただけるでしょう。

 

パラグラフを意識する

論文の書き方として「パラグラフ構造」を知ることが大事です。

 

パラグラフとは、1つの考えのまとまりのことです。

厳密に同じではありませんが、「段落」のようなイメージで考えてもらっても結構です。

パラグラフが集合したものが、論文です。

 

1つのパラグラフで、1つの話題を述べます。

パラグラフの最初には、そのパラグラフで言いたいことのエッセンスを、1つの文にまとめて書きます。

この文のことを「話題文」または「トピックセンテンス」と言います。

 

トピックセンテンスに続く文で、それを言い換えたり、詳しく説明したりするつもりで書くと、読者に分かりやすい文章ができます。

つまり、最初に示されたトピックセンテンスを、続いて書かれるいくつかの文で詳しく説明している状態を目指します。

 

起承転結」の考えが身に染みついているからか、パラグラフの終わりの方に大事なことを書こうとする人が多いのですが、それでは、言おうとすることが伝わりにくいのです。

むしろ、前の方に重要なことを書いてください。

極端なことを言うと、各パラグラフの最初の文だけを拾い読みしても、論文の内容が分かるようにします。

 

さきほどの例文での、骨子の文は、どれもトピックセンテンスになり得るものです。

ですから、骨子の文をトピックセンテンスにして、あとは、それに肉をつけていけば、論文ができるのです。

 

例文で確認、「トピックセンテンスに肉付け」とは

たとえば、例文で《過去の反省》の部分に

「当社は、インターネット通販の分野にかなり遅れて参入した。」

とありました。

 

この文をトピックセンテンスにして、肉をつけてみましょう。

(通販という言葉は略語なので、元の言葉に戻しておきます)

 

「当社は、インターネットを介しての通信販売の分野にかなり遅れて参入した。

インターネットは1995年のWindows95を契機として普及し始めた。

楽天市場が1997年に設立され、多くのライバル会社が2000年代前半には、インターネットによる通信販売を始めていたにもかかわらず、当社が本格的に参入したのは、2009年のことであった。」

 

続いて、

「なまじ成功体験があるために、新たな販路を開くことを怠っていた。」

を、トピックセンテンスにして、肉付けしてみましょう。

 

「なまじ成功体験があるために、新たな販路を開くことを怠っていた。

当社は、バブル崩壊後の1992年に、若年層向けのブランド『△△△』を立ち上げ、低価格で高品質な商品を、デパートやファッションビルで販売する戦略をとった。△△△は、対象となる年齢層が人口の多い団塊ジュニア世代と一致したこともあって、大変好調な売れ行きを示した。

その結果、当社の知名度は高まり新規顧客も獲得できた。

この成功体験から、『低価格で高品質な商品を実店舗で販売する』が当社の手法として受け継がれて、新たな販路の開拓よりも、既存の販路を守ることが優先されてきた。」

 

このように説明をしていくと、途中で脱線することを防げます。

書いている途中で最初の文を読み直して、そこからズレてきたと感じたら、軌道修正すればよいのですから。

 

採点者に気をつかうことも必要

前述論文の骨組みに《過去の反省》という項目がありました。

 

反省をすることは重要ですが、一つだけ、気をつけなければいけないことがあります。

「反省」の原因を作った「戦犯」が、現在の会社の上層部にいる可能性がある以上、過去の経営方針を激烈に批判することは、避ける方が賢明だということです。

 

それは、そうでしょう。

誰しも、過去の失敗を批判されたくはありませんからね。

ですから批判するときは、やんわりとしましょう。

 

おそらく当時はそうせざるを得ない事情があったのだ……と、自分に言い聞かせて、

「当時の状況下では、その判断は決して間違いではなかったが」

「予想以上のスピードで円高が進んだため」

「~という予期せぬ事態がおこり」

など、過去の失敗は、寛容な精神でマイルドに包みましょう。

 

もっとも、最近は、大企業を中心に、公正を期するために昇格論文の採点を外部に委託するところもあります。

外部委託の場合ならば、過度に気をつかう必要はないとも言えますが、しかし最終的に、会社の上層部が採点された論文に目を通すでしょうから、やはり批判は、ほどほどにしたいものです。

 

採点が外部委託される場合、社内では通用する言葉が通じないこともある、と思いましょう。

外部の人が理解していないと思われる専門用語や、略語、社内で作られた用語などは、できるかぎり一般的な言葉に置き換えるべきです。

逆に、採点者が社内の人間であれば、専門的な記述が好まれるとも言えます。

書く時の注意点


昇格論文を書く祭の注意事項を、具体的に列記していきます。

自信を持って書こう

日本人は「謙譲の美徳」を重んじますが、論文においては、

「浅学非才ではありますが…」

「駄文ですが…」

などの記述は、もちろん必要ありません。

 

たくさんの論文を読んで評価しなくてはならない採点者は、そういう表現を見ると、イライラします。

「浅学非才なら、昇格試験を受けるな」

「駄文なら書くな」

と思われても仕方ありません。

 

文末は、

~と思う

おそらく、~と思われる

~かもしれない

など、あいまいな表現は避け

~である

~と判断する

~と提案する

断定します

 

断言することは、勇気が要ります。

書いたことに自信が持てないときには、「~である」よりも「~かもしれない」と、したくなります。

でも、それではいけません。

 

人間の感情の分野では、

「この手紙を渡せば、彼女は振り向いてくれるかもしれない」

でいいのですが、数字が全てのビジネスの世界では、

「この商品を発売すれば、売り上げが増加するかもしれない」

は、ありえないのです。

 

一文は短めに

論文というと、ついつい文を長くしがちです。

文章を書き慣れた人ならば、主語・述語の対応をきちんと考え、修飾関係も乱さずに、自然な長い文を書けるでしょう。

しかし、書き慣れない人が長い文を書くと、途中で文が混乱しがちなのです。

 

悪い例を挙げます。

「円高が進むと、化学工業においては原材料費の価格低下というプラスの効果があるが、機械製造業のような輸出に頼る企業は輸出の減退が顕著になってくるので、先月の会議での結論は、現在は円高が進んだから、中小企業の多い〇〇地区の機械製造業者が、円高によって倒産へと追い込まれないように銀行の融資を受けやすくなるように望みたい。」

 

改善点は?
  1. 言いたいことは、「現在、円高が進んだので、〇〇地区の中小の機械製造業者が倒産へ追い込まれないために、銀行の融資を受けやすくなるように望みたい」ということです。重要なことを先に記述する方が、内容が伝わりやすくなります
  2. 「~が」「ので」「から」を使って、だらだらと続け過ぎています。文を短く書くように心がければ、ここまで妙な文を書かずに済みます。
  3. 「先月の会議での結論は」が主語なら、述語は「……ということだ」で受けるべきです。
 

書き直すと、

「先月の会議での結論は、現在の円高の状況下で、〇〇地区の中小の機械製造業業者が倒産に追い込まれないために、銀行の融資を受けやすくなるように望みたい、ということだ。円高が進むと、化学工業においては原材料費の価格低下というプラスの効果があるが、輸出に頼る機械製造業では輸出の減退が顕著になってくるからだ。」

 

文章を書くことが得意でない人は、文は短めにしましょう。

 

ただし、やたらと短い文ばかりだと、「馬鹿じゃないのか?」と思われてしまうかもしれません。

文が乱れない範囲であれば、適度に複雑な文を入れるのは構いません。

分かりやすくシンプルなのはいいけれども、小学生の作文のようであってはいけないのです。

 

推敲のポイントはコレ!

書いた後で、必ず推敲しましょう。

 

【チェックポイント】

敬体(「です」「ます」調)と常体(「だ」「である」調)を混ぜて使っていないか。

 

用語の不統一・漢字とひらがなの不統一はないか。

(たとえば「子ども」と「子供」、「おもしろい」と「面白い」のように、どちらの表記もある言葉は、どちらかに統一します)

 

(パソコンを使った場合)変換ミスはないか。

「意外」と「以外」、「機械」と「機会」のような、簡単な同音異義語を見落としやすいのです。

「日用品」を「日曜品」とするなど、手書きの時代ならあり得ないようなミスが生じますので、気をつけたいものです。

「顧みる」・「省みる」、「努める」・「勤める」・「務める」などの同訓異字も、区別が難しいものです。

 

「重複」に注意!

単語や表現に、繰り返しが出現していないか、気をつけましょう。

 

《例》

言葉の重複

「過去の事例の反省のもとに、会社の新規の事業を開始します」…「の」が重複しています。

「おそらく今後もこの傾向は続くと思われるので、おそらく、より柔軟な対策が求められるだろう」…「おそらく」の重複。

「ふたたび再チャレンジしたい」…「ふたたび」が「再」ということ。

 

文末の重複

「~と思う。~と思う。~と思った。」

だとか、

「~だった。~だった。~だった。」

のような文末の繰り返しも、しばしば見受けられます。

 

工夫して、変化をつけましょう。

 

言葉や文末というレベルではなく、同じような「文」が繰り返されることもよくあります。

 

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まとめ

昇格論文を書くときは、会社がどういう人材を求めているかを推測し、その人材ならば、どういう視点で書くだろうかと考えます。

 

会社の問題だけでなく、日本全体の問題も視野に入れて、書きましょう。

与えられたテーマに関して、「現状分析・問題点の洗い出し・考察・過去の反省・現状改善の方法・将来への展望・結論」を短文で書きます。

 

それぞれの短文をトピックセンテンスとして説明を加えていくと、論文ができます。労力が必要ですが、練習を積むと慣れてきてどんどん上手になります。

 

昇格試験に臨めるということは、それだけでも素晴らしいことです。

このチャンスを、どうぞ十分に生かしてください。

 

最後に、昇格したら是非自分にプレゼントしていただきたいものを紹介しておきます。
試験に合格し役職者ともなれば、自署のサインを求められる機会も多くなるでしょう。
そんなとき、学生時代のまんまの文字ではちょっとカッコ悪いです。

仕事の種類によっては、海外企業とのコントラクトに署名する場面に遭遇することもあるかもしれません。
この機会に、自署のサインを見直していただきたいと思います。

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