白い壁や空を見ていると急に糸くずのようなものが宙をただよう。
まばたきをしたり視線を動かしたりすると一緒に動く・・・。
そんな経験はありませんか?
実はこれ、飛蚊症(ひぶんしょう)と呼ばれている症状で割と多くの方に見られる症状なんです。
見える形も糸くず状のものからタバコの煙のような形、点々だったりと様々。
⇒ ストレスで網膜剥離になるってホントなの?どんなストレスが原因?
Contents
飛蚊症の多くは経過観察で済むことがほとんど 最近は20代の方も飛蚊症の症状を訴えるケースが増えています。
中には網膜裂孔や網膜剥離など、放置すると失明してしまう病気の初期症状として飛蚊症の症状が現れることがありますが、多くの場合は治療の必要がない生理的な事が原因であることが多いと言われています。
生理的な飛蚊症の原因の多くは加齢やストレスである事が多く、症状を訴える方の多くは40代以降の方でしたが最近では若い方でも飛蚊症の症状を訴えるケースが増えてきているそうです。
恐ろしい網膜剥離の初期症状ではなく、生理的な事が原因で起こる飛蚊症。
ではなぜ若い人たちにも飛蚊症の症状が目立ち始めてきたのでしょうか?
生理的飛蚊症の原因
1.生まれつきのもの
私たちは胎児としてお母さんのお腹の中にいるあいだに、目が作られる過程で眼球の形を保つ役割のある硝子体と呼ばれる部分に血管が通っています。
出産までに血管はなくなってしまうのが普通なのですが、血管の一部や血管周囲の組織の一部が産まれたあとも硝子体の中に濁りとして残る事が原因で飛蚊症になる事があります。
生まれつきの硝子体の濁りは視力に問題がなければ経過観察だけで治療の必要がない場合が多きです。
2.加齢・ストレス
ストレスは生理的飛蚊症の原因となる活性酸素を発生させます。
本来は活性酸素が発生しても分解してくれる酵素も分泌されるのですが、活性酸素が一度に大量に発生してしまうと酵素の分解が追い付かなくなり硝子体の組織を変質させてしまい飛蚊症を引き起こしてしまいます。
さらに、年齢を重ねると活性酸素を分解する酵素が減ってしまい飛蚊症を引き起こしやすいといわれています。
また加齢による飛蚊症の原因としては、硝子体剥離が挙げられます。
加齢による生理的飛蚊症などといわれると、若い人には関係なさそうですよね。
しかし同じ原因で若い20代の人でも飛蚊症に。
生理的飛蚊症は目の中の老化が原因になってくるため、40代や50代の方に多く
個人差もあり近視が強い方では20代で出る場合もあります引用「マイナビニュース」
加齢による硝子体剥離そのものは、元はゼリー状をしている目の中の硝子体が加齢にともなって液状に変化・収縮して網膜からはがれていく現象を指します。
現象としては小じわや白髪のようなもの、とも表現されます。
近視が強くて若いうちからこの現象がでる状態は、あえて言うなら「若白髪」とでもいえばよいのでしょうか・・・。
基本的には一度現れると消えないケースが多いとされる飛蚊症、「見えたり見えなかったりする」ということも。
そのからくりはというと、脳の情報整理にありました。
目や耳から入る情報が多すぎるとき、脳は情報を収取選択して認識しているのですが、そのときに脳が不要と判断すれば一時的に飛蚊症の症状が消えるのだそう。
しかしここで問題になるのがストレス。
脳が情報の収取選択をしていられる状態であれば良いのですが、ストレスや疲れ、心配ごとといった落ち着かない状態のときにはその能力も低下。
ほとんど気づかなかった程度のものがストレスや過労で判明するようになったり、それそのものが生理的飛蚊症を起こす引き金になってしまうこともあります。
3.紫外線
紫外線が目に入ると硝子体の中に活性酸素が発生してしまいます。
4.ブルーライトの光
スマホやパソコンから発せられるブルーライトは紫外線よりも強力な光で様々な悪影響が心配されています。
スマホやパソコンから発せられる「ブルーライト」が目に負担をかけて飛蚊症になりやすい環境を作っている
ここ数年耳にする事が多くなった「ブルーライト」。
私たちが普段からよく使うスマホやパソコンの画面から発せられる光の事を指します。
ブルーライトはヒトの目で見ることのできる光(可視光線)で、最も波長が短い光です。
光のエネルギーと波長の長さは反比例していて、波長が長ければ長いほどエネルギーは弱く、反対に波長が短ければ短いほど、強いエネルギーを持っています。
波長が短くほとんどが角膜や結膜で吸収される紫外線と違い、可視光線の中でもっとも波長が短く、強いエネルギーを持っているブルーライトは眼の奥の網膜まで光が届くので余計に眼に負担がかかってしまいます。
また紫外線が活性酸素を発生させてしまうことは知られていますが、同じことはブルーライトでもおきます。
ブルーライトによる活性酸素の問題と目の負担。
最近若い人にも飛蚊症の症状がみられるようになってきた原因にはスマホやパソコンの普及が深く関係があるといえそうです。
また、夜寝る前にブルーライトの強い光を浴びると脳は朝が来たと勘違いしてしまい、睡眠を司るメラトニンと呼ばれるホルモンの分泌が抑制され覚醒してしまいます。
寝る前にスマホを見ていて目がさえる・ぐっすり眠れない・・・という経験、あれは脳が錯覚している状態だったんですね。
さらに自律神経や免疫系にも悪影響を及ぼすという事もわかってきています。
眼科ではどんな検査をするの?
飛蚊症の症状が病的な物か、生理的な物かを判断するためには病院での検査が必要です。
診察の他に、網膜が薄くなっていないか?穴は開いていないか?等を調べる「精密眼底検査」という検査を行うことにより病的な飛蚊症かどうか診断する事ができます。
精密眼底検査を受ける前には瞳孔を開くための目薬を点眼し、この目薬の副作用により4時間程度は瞳孔が開いたままの状態になり物が見えにくかったり、まぶしく感じる事があるため、車の運転はできません。
?生理的な飛蚊症の治療法は?完治はするの?
網膜裂孔や網膜剥離など、病的な事が原因の飛蚊症であればレーザー手術などの治療の対象になりますが、生理的飛蚊症は加齢とともに発生するもので、病的な物ではないので治療の対象にはならないと言われています。
飛蚊症の自覚症状があり、病院で診察を受けたら生理的な飛蚊症と診断された場合は有効な治療法はないとされ見え方に慣れるしかありません。
また、病的な事が原因の飛蚊症も一度の治療で100%完治するものではないようです。
生理的な飛蚊症の予防方法は?
もし生理的な飛蚊症と診断された場合、有効な治療方法はないとされ見え方に慣れることが大切だと言われています。
では生理的な飛蚊症にならない為に意識してできる事はないのでしょうか?
- 長時間のスマホやパソコンを控える、ブルーライトカットの眼鏡・コンタクトを使用する
厚生労働省はパソコンでの作業1時間に対し15分の休憩をとるよう推奨しています。
このことから、とにかく目を休ませてあげるのが大切な事はわかりますが、デスクワークの方であればパソコンを使用しない時間を確保するのはなかなか難しいと思います。
そういう方の場合はブルーライトをカットする作用のある眼鏡やコンタクトの使用をオススメします。
眼鏡やコンタクトに頼るほど視力が落ちていなくても度なしタイプの眼鏡もあるので、目を休ませてあげるという意味でとても効果的な商品だと思います。
- 食生活を見直す・サプリを取り入れる
飛蚊症をサプリや食事などで治療することはできないと考えられていますが、目の疲れ・加齢が原因の飛蚊症の場合は予防策としてサプリが活用されています。
⇒ 眼精疲労に効くといわれている市販薬やサプリ、気になる口コミや評価についてはこちらの記事でどうぞ。
緑黄色野菜、ブルーベリーなどに多く含まれるルテインやアントシアニンには抗酸化作用があり効果的と言われています。
カロチノイド色素の一種であるルテインは、カボチャやインゲン、ケール、グリーンピース、ブロッコリーなどに含まれます。
特に注目すべきはほうれん草。
100gあたり10.2mgのルテインが含まれていますので、お浸しやバターソテーなどのカンタンな調理法で1品追加するだけなどでも取り入れやすいですよね。
ケールはそのほうれん草の倍以上のルテインを含みますが、苦手な人の少なさという意味ではほうれん草に軍配が上がるかも?
酵素を多く含むパイナップル・納豆・やまいも・大根おろしは紫外線を受けたことにより発生した活性酸素を分解してくれる効果が期待でき、たんぱく質・脂質と合わせて食べる事でより活性酸素を分解する効果を発揮すると言われています。
- 目のまわりの血行をよくする
市販のホットアイマスクや固くしぼったタオルをレンジであたためた物を目のまわりに乗せてあげることで目のまわりの血行がよくなり目の疲れを軽減する効果があります。
また目の周りには目の疲れを取ってくれるツボがあります。
目の周りの骨をガイドに眼がしらから目尻まで、上下それぞれ軽い力で指圧していくだけでも目の疲れを軽減・改善することができますし、軽いマッサージとして血行を促すことにもなります。
- 目の周りのストレッチで目の周りの筋肉をほぐす
まぶたをギュッと閉じた後に、大きく見開く動作を数回繰り返す。
目をゆっくりと左回り、右回りと円を描くように動かす。
⇒ 眼精疲労からくる頭痛に、すぐ効く&よく効くツボについてはこちらの記事をどうぞ。
- 近くの物と遠くの景色を交互に見る
これもストレッチ同様、目の周りの筋肉をほぐす効果があると言われています。
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- 目薬を使う
ドライアイなどで涙が少なく目が乾いた状態だと必要以上に目に負担がかかりやすく疲れやすくなります。
コンタクトレンズを使用している方は特に目が乾燥状態にあるので積極的に目薬を使うことをおすすめします。
- 規則正しい生活をする
飛蚊症に限ったことではなく、健康的な生活をおくるために規則正しい生活を送ることは大切です。
栄養面だけではなく、ストレスを溜めすぎない・あまり夜更かしをしない・適度な運動など、わかっていても継続するのは意外と難しかったりします。
毎日運動しよう!毎日きちんと早寝早起きしないと!と、気負いしてしまうと逆にストレスになってしまうので最初は無理のない範囲でできる事から。
まずは寝る前のスマホを控えることから始めるのはいかがでしょうか?
⇒気になるドライアイの症状をチェック!目薬を使うだけでは逆効果かも。
まとめ
私たちが普段から当たり前のように使っているスマホやパソコン。
ネットショッピング・SNS・連絡手段・・・あまりに便利な裏側で、実は気が付かないうちに目には相当な負担がかっていたのかもしれません。
これから何十年と使う大切な目。
生理的な飛蚊症は具体的な治療法がないので慣れていくしか方法がないので深刻な症状になる前に今からしっかりいたわってあげる事が大切だと思います。
規則正しい生活を送る・ストレスをためすぎないなど、健康的に暮らすためにごくごく普通の心がけが健康な目を保つことにもつながります。
※生理的な飛蚊症と病的な飛蚊症の判断は病院でないとできません。以前と見え方がちがう・視力が急に落ちた・一部が欠けて見えるなど、少しでも気になる症状があったら病院を受診するようにしてください。