そばが好き!

管理人は、そばかうどんかと聞かれたら、絶対に「そば」と答えます。しかも汁のある熱いそばではなく、冷たいもりそば系。香りが豊かな新そばが出てきた時期に、そば店の暖簾をくぐり、そばを注文する。そばを箸で持ち上げ、それをそばつゆにちょちょいと付けて、そばつゆの味によってはもっと付けて、そしてするすると口の中に流し込む。あー、極楽。みなさんはどちらが好きですか?

今回は新そばについて、その時期や楽しみ方、そばで有名な長野県の新そば事情など、いろいろ迫っていきます。

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そばの品種

そばは、普通そば(栽培種)、ダッタンそば(栽培種)、宿根(しゅっこん)そば(野生種)に大別されています。ロシアの作曲家アレクサンドル・ボロディンが作曲した有名な「ダッタン人の踊り」という曲がありますが、ダッタン人というのは北アジアのモンゴル高原とシベリア、カザフステップから東ヨーロッパのリトアニアにかけての幅広い地域にかけて活動した民族の総称だそうです。そしてダッタンそばは、ヒマラヤ諸国・ロシア・中国・カナダの一部で食料や飼料として栽培されています。とても苦味が強く、有用成分であるルチンが豊富に含まれているため、健康志向の人に受けていて、最近は日本でもダッタンそばを食べられるところがときどきあります。ちなみに、韃靼そばという表記もよく使われます。

宿根そばはインド原産の多年草で、若い葉は食用になります。日本では漢方薬として用いられたりしてきましたが、そばとして提供するお店はあまり見かけられません。宿根そばの根と茎は、でき物や肝炎、胃痛に効果があり、また、葉は毛細血管の強化、動脈硬化症、高血圧症に効果があるとされています。

そして残りの普通そばが、日本で通常食べているそばの品種となります。日本以外にも主に北半球の多くの地域で栽培され食べられています。この先、「そば」と書いたら、それは普通そばのことだと思ってください。

そばの産地

そばは結構環境に強い、育てやすい作物で、種をまいてから70〜80日くらいでもう収穫時期になります。気温の高いところでも育つには育つようですが、香り、味の良いそばは、夏でもあまり暑くならない寒冷地での栽培が向いています。このように寒冷地を好むそばですが、唯一の弱点は霜に弱いこと。そのため、種をまく時期は霜の降りなくなった春から、収穫は初霜がまだ降りない秋までにとなります。

日本のそばの産地として最も高い生産量を誇るのは北海道。寒冷な気候を利用して、主に夏そばが作られています。北海道だけで全体の40%近くの生産量になり、その下には茨城、長野、山形が並びます。そこから少し生産量が減って、福井、栃木、福島、そしてその他となります。出雲そばの有名な島根県は、産地としてはその他なのですね。

と書いてみたものの、これらの国産そばは、国内消費量の20%をまかなっているだけです。そして残りの80%は、輸入に支えられています。世界的なそばの産地として有名なのは中国とロシア。この2カ国だけで、世界の2/3程度のそばが作られています。日本はこの2カ国とアメリカ、カナダなどから、そばを輸入しています。

新そばにかける情熱

日本をはじめ世界各国で栽培されているそばは、一般に在来種と改良種とに分けられます。このそれぞれに、夏に収穫する早生の「夏そば」、秋に収穫する晩生の「秋そば」があり、および播種の時期に影響されず結実しやすい中生種があります。夏に収穫される新そばは「夏新」、秋に収穫されるのは「秋新」と呼ばれます。秋そばの方が従来から格上に見られていて、一般に「新蕎麦の時期」と言えば、普通は秋新の出回る時期を指します。

秋そばが出てくるのは9〜11月くらい。そしてその前の夏の時期が、そばの質が年間で一番落ちる、そば好きにとっては苦難の時期と言われていました。俗に「夏のそばは犬も喰わない」と言われるほどです。

現在は保存技術も優れてきて、夏そばも改良されてきています。国内で一番のそば産地である北海道は冬の到来が早いため、夏そばしか作れません。そのため、一般に秋そばより劣ると言われる夏そばを、負けないような品種にする努力を、北海道の人たちは続けてきました。北海道の「牡丹そば」は、美味しいそばではあるものの、栽培が難しく、収穫も難しいものでした。そこで改良種である「キタワセソバ」が主流となり、現在では北海道産そばの9割近くが「キタワセソバ」で栽培されています。この「キタワセソバ」は、優れた味や香りを持ち、知る人ぞ知る、そばのブランドとなっていて、福島県・茨城県等の一部でも、夏新そばとして栽培されています。

このような、北海道での努力があるものの、それでも、やはり夏そばは「真」の新そば、秋新には敵わないと言う人がいます。しかし、そんなこだわりの人に、夏でも香り、味、色の良い、美味しいそばを食べさせたいという情熱が、結実した例があります。

夏にそばの質が落ちる問題を、海外栽培で解決した人がいます。南半球で栽培すれば季節が反対だから、夏でも美味しいそばを食べることができるという発案で、日本のそば産地の風土に良く似たオーストラリア、タスマニア地方でそばの栽培に成功したのです。もし6月中旬に新そばを出しているお店があったら、そこはかなりの確率で南半球でとれたそばの実を使っています。

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新そば祭り

出典:信州生坂(いくさか)村 「山紫水明 食と文化癒しの郷!」

新そばの時期になると、全国各地で(新)そば祭りが開催されます。国内一番の産地である北海道では、毎年9月の第一土曜・日曜に行われる「幌加内町(ほろかないちょう)新そば祭り」が有名で、全国でも最大規模のそばの収穫祭と言えます。全国そば処食べ歩きのほか、素人そば打ち段位認定大会、北海道素人そば打ち名人大会、全国そば打ち女流名人大会、ほろかないフォトコンテスト、そばパネル展、そば打ち講習会なども行われ、日本一のそばの町である幌加内を堪能できるイベントです。ちなみにこの頃の幌加内町の平均気温は18℃くらい。割りと過ごしやすそうですが、最低気温は年によって10℃を下回るので、それなりの防寒具は必要です。

その他にも、6月下旬に日光市内で刈りとられた夏そばを提供する「日光夏の新そばまつり」を皮切りに、11月下旬まで全国各地で新そば祭りが開催されています。それらをすべて紹介するのは無理なので、北海道に次ぐそばの名産地、長野で行われる新そば祭りをいくつか紹介しましょう。

信州の新そばまつり

信州は信濃の国の別名です。この信濃と現在の長野県の県境は若干異なっていて、信濃の国には岐阜県中津川市の一部も含まれます。なので、厳密に言うと岐阜県の一部も信州に含まれるのですが、長野県内では信州を、長野県の別名として使っています。長野県公式観光サイトでも「さわやか信州旅.net」など、信州の名前を使っているので、ここは「長野の新そばまつり」ではなく、「信州のそばまつり」としました。

松本市奈川地区で8月に開催される「奈川の夏の新そばまつり」は、信州一早い新そば祭りと言えます。期間中は、地区内のそば店で各店独自の特典があります。10月になると「鬼無里新そば祭り」があります。長野市鬼無里(きなさ)は長野県の西北端に位置し、盆地を中心として周囲の山々に囲まれた地域です。この祭りでは、鬼無里産のそば粉と水しか使用しない、そば粉100%の十割そばを堪能できます。昨年は「そば処鬼無里」で、もりそば食べ放題(1,800円)が行われていました。

10月の3連休には松本城公園他で大々的に行われる「信州・松本そば祭り」があります。長野県内や全国から集まった30店ほどのそば打ち・そば店がブースを出し、一律500円でそばの食べ比べができます。すべてが新そばというわけではありませんが、北海道などのそば粉を使った新そばを出すブースもあり、そばだけでなく、リンゴ・キノコ・おやき・山賊焼きなど、信州の秋の食材・ローカルフード・B級グルメも楽しめます。

10月中旬には、東筑摩郡筑北村(ちくほくむら)の「新そば祭りと収穫祭」、木曽郡木曽町の「開田高原そば祭り」が行われ、少し遅れて伊那市では「信州伊那 新そばまつり」が開催されます。

信州伊那 新そばまつり

伊那地方は「信州そば発祥の地」と言われていて、このそば祭りには気合が入っています。2017年は10月21、22日の土日、10:00~15:00まで、伊那市のみはらしファームで行われます。新そば三昧(せいろそば・行者そば・かけそば)が提供される中、アマチュアそば打ち世界大会歴代チャンピオンによるそば打ち披露、利きそばを競うソバリエコンテスト、素人そば打ちコンテストが予定されていて、イベントとしても非常に楽しめる内容で開催されます。

ちなみに伊那市のビジネスホテルをある旅行サイトで調べてみたら、10月21日大人2名一泊の条件で、2人で¥6,750(食事なし)という、非常にリーズナブルなところもありました。もちろん、それなりの設備の景色の良いホテルになれば、2人で¥30,000以上かかりますが。

まだまだ続く、信州の新そばまつり

その後も、大町市の「体験そば処八坂 新そばまつり」、北安曇郡松川村の「安曇野松川村 新そば祭り」、長野市の「戸隠そば祭り 新そば献納祭」、上田市の「真田の里新そばまつり」、松本市の「浅間温泉新そば祭り」、小県郡長和町の「信州立岩和紙の里 新そば祭り」、東筑摩郡麻績村(おみむら)の「聖高原北山新そば祭り」、東筑摩郡山形村の「道祖神と新そば祭り」と、新そば祭りはどんどん続きます。

この中の「戸隠そば祭り 新そば献納祭」は結構有名です。今年は10月31日が新そば献納祭で、戸隠神社内で、新そばの献納とそば打ち・振舞い・太鼓等のイベントが行われます。また、10月31日から2,000円5枚つづりの「半ざる食べ歩き手形」が販売され、チケットは11月24日まで使用でき、好きな店の新そばを食べ歩くことができます。このほか、期間中「戸隠そば三昧」として、各宿や蕎麦屋で「そば会」「そば食べ放題」などのサービスも行われます。

戸隠に長く滞在してこの祭りを堪能したいという方には、一泊5,000円を切る格安ホテルもあります。民宿や宿坊を選べば、一泊4,000円を切る宿も見つかります。是非何泊かして、 戸隠そば祭りを楽しんでもらいたいものです。

「浅間温泉新そば祭り」も有名なそば祭りです。今年の情報はまだ出ていませんが、昨年は10月の最後の土日でした。新そば祭りでは、地元及び県内の蕎麦打ち名人による新そばの味を、格安で楽しめます。それ以外に昨年だと、ふるさと物産展、割引の温泉入浴、地元団体による野外コンサート、そしてミステリーウォークが開催されていました。ミステリーウォークは、浅間温泉の名所旧跡を回り、クイズのヒントにより答えを導き出すものです。

信州の新そば祭りはあまりに多いので後は省略しますが、一番遅く行われるのは、須坂市の「須坂とよおか 新そば祭り」で、昨年は11/23の祝日に行われていました。

自宅でも新そばを食べたい

長野まで行って新そばを堪能したいけれど、そんな時間もお金もない。そういう方にはまず、地元のそば店をおすすめします。別に東京でもどこでも、立ち食いのそば店ではない、しっかりした店構えの蕎麦屋であれば、新そばの時期になれば「新そば入りました」などの張り紙が出てきて、新そばを楽しめます。

そばの名産地では、通販も行っています。楽天で新そばのランキングを見ると、9月時点では1位から4位までが信州安曇野のそばでした。値段は6人前で3,980円、4人前で2,980円です。地元安曇野で収穫された玄そばを石臼挽にした、こだわりの一品ですが、感想の口コミを少し引用してみましょう。

甘いものが苦手で蕎麦好きの父に誕生日プレゼントに送りました。一緒にいただきましたがとても喉越しのいいそばでいくらでも食べられそうです。
茹で方も書いてありその通りにしていましたが家の鍋では小さく麺を入れてから温度が下がり麺がちぎれてしまいました。うまく茹でるには大きな鍋でたっぷりの湯があったほうがより美味しくいただけると思います。

ものすごく美味しいです!
香ばしさと、甘みが全然違います。
本当のお蕎麦とは、こんなに美味しいものなのか・・・と驚きました。
国産でしかも安曇野産の蕎麦粉、逸品揃いの材料、とても心のこもった
手打ちのお蕎麦。
最高です。

こういう感想を読むと、一気に食べたくなりますね。

さて、安曇野に完全に上位独占されているところへ、かろうじて5位に食い込んでいたのは、大石田町打ちたておそばセット(4人前) 2,916 円です。大石田町は山形県北村山郡に属する、そばで有名な町。昔からそばの里としての土壌を培ってきました。町の平野部と山間部を中心に、いくつもの名物手打ちそば屋が軒を連ねています。

そばの里大石田町で職人が打つ「手打ちそば」は、挽きたての大石田町産のそば粉と自然水を使い、
伝統の技法で完全手打ちをした二八そばです。防腐剤等は使用しておらず、打ちたてをその日のうちに発送するそうです。

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新そばはたいてい乾麺ではなく、生麺です。生そばの場合、真空パックとは言え冷蔵で4日程度しか持たず、早く食べれば食べるほど風味を感じるものです。購入したらすぐ食べるようにしてください。

立ち食いそばでも新そばを食べたい

とても気軽に食べられる立ち食いそば。ここでも、秋の新そばが出回る10月下旬から11月上旬の新そばの季節が来れば、当然それを楽しめるのでしょうか?

この質問の答えは悩みます。なぜなら立ち食いそば店のほとんどが出すのは、小麦粉の方がずっと割合の多い、そば風うどんだからです。乾麺の場合、最低3割のそば粉を入れないと「そば」と名乗ってはいけない、というJAS法があります。それにしてもすでに十分「そば風うどん」ですが、外食産業の場合、JAS方の適用外となり、3割以下のそば粉しかはいっていなくても「そば」と名乗って良いのです。

蕎麦屋と名乗っているお店であれば通常、小麦粉2のそば粉8による二八そば、そば粉10割の十割そばなどを出します。しかし立ち食いそばだと小麦粉8、そば粉2の逆二八そばだったりするのです。もちろん、これはこれで美味しいのです。でもこれを「おいしいそば」と言うのはちょっと許せない気がします。「おいしいうどん(そば風味)」なら許せますが。

というわけで、新そばの香りを楽しむとなると、やはり立ち食いそばは、一般的には不適切かもしれません。それでも探せば、気合の入った立ち食いそば屋があります。例えば、東京都内の池袋、渋谷、秋葉原などに8店舗を展開する立ち食いそば「嵯峨谷(さがたに)」や、都内の新宿、恵比寿に2店舗がある立ち食いそば「さ竹」では、立ち食いそば屋にも関わらず十割そばを出しています。嵯峨谷は十割そばのもり一人前が280円、さ竹はもり一人前330円。この価格で美味しい新そばを食べられるのは、かなりラッキーです。

皆さんの近くにも、こんなラッキーな立ち食いそば屋があるかもしれません。

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最後に印象的な口コミを

みなさん、新そばを食べたくなりましたか。管理人はこれを書いていて、食べたい気持ちがどんどんと膨れ上がってきました。最後に、みなさんの胃袋をさらに刺激する、信州発「そばぶるまい」について書かれた口コミをひとつ紹介してお別れしましょう!

母の日に蕎麦が好きな母に送りました。
癌を患っていて食欲のない母がこちらのお蕎麦は完食したそうです。
父も今まで食べた蕎麦とレベルが違う!と喜んでくれました。
母が生きているうちに親孝行できてよかったです。
本当にありがとうございました。


 

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