同期に送れること数年。ようやく小規模ながらもグループリーダーとなって、何とか仕事が回るようになってきたなと思いながら、部下の働く様子をぼんやり見つめていると、自分の指示に、なんだかんだと口答えをしてくる部下のひとりが、パソコン越しになんだかモジモジしながら、こちらを見つめている。「ちょっと、いいですか」。誘われるまま誰もいない会議室に導かれていっただけでも、心臓がドクドクと脈を打ち始める。「今度はなんだよ~!」と散り散りになりそうな気持を必死につないでいると、「実は私、結婚することになりまして、、、」。「はっ?」「式は2カ月後の予定なんですけれど、やっぱり◯◯さんにも出席してもらおうかと思いまして」。「ん?、やっぱり?」。心に何か引っかかるものの、仕事の問題でなかったことで、ほっと胸をなで下ろしながら、「あー、それはおめでとう。もちろん、出席させてもらうよ」とポロッと一言。「あー、良かった。じゃあ、お願いしますね!」と会議室をさっさと出て行った部下に取り残されて、ふと、我に返ってみると、「部下の結婚式に出たことなかった。どうすれば良いんだ?」「え、スピーチするの?」「お祝いの相場は?」「服装は?」。「そもそも、いつも突っかかってくるあいつの結婚式に上司だからって、出なきゃいけないの?」と疑問と疑念が頭の中を駆け巡る。最後はお金が必要だとお願いしたときの妻の顔まで浮かんできて、、、。そんな、あなたのために、部下から結婚式に呼ばれた際のいろんなことを教えます。
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部下の結婚を知ったらまずは上司に報告!
ぼう然としている場合じゃありません。真っ先にやらないといけないことがありますよ。「でも、さっきから、お金がどのくらい掛かるのかしか頭になくて」。確かに、結婚式に出席することで生じる出費やマナーを調べることは必要ですが、あなたが、今、しなければならないのは、上司への報告です。「えっ、どうして?」。考えてみても下さい。結婚するとなると、奥さんが扶養家族になった場合は、給与計算も変わるし、健康保険、年金の手続き、結婚式についても会社からお祝いの花や電報を送る場合もあるなど、会社でも、いろいろ対応しなければならないことが起きます。それだけじゃありません。考課査定に、「部下と円滑なコミュニケーションが取れているか」という項目がありませんでしたか。私生活のこととはいえ、部下の結婚という人生の節目となる大きなことを知らなかったでは、とても、円滑なコミュニケーションが取れているとは言えません。もっと言えば、自分が知っていて、直属の上司が知らなかったなんて、ことになると、上司は決して良い感情を持たないでしょう。まずは、直属の上司に、部下の結婚の報告をして、指示を受けましょう。
部下へのご祝儀でも相場は3万円!
「しぶる部下をひきずって、上司に報告してきました」。これで、まずは、一安心です。人事や総務、労務関連などの部署への報告は、本人にきちんとするように指示をして、グループ全員に結婚報告する機会を設けてあげれば、会社への報告はひとまず終了です。それでは、結婚式に出席するための準備に移りましょう。まずは、何から知りたいですか。「出費からお願いしたいです」。そうですね。奥さんにも報告しなければならないし、気掛かりな部分ですよね。それでは、部下が結婚する際の祝い金について考えてみましょう。まずは、あなたの勤めている会社に、結婚祝金について規定があるか調べてください。会社によっては、結婚祝金を結婚式に出席する上司が持参することになっている場合もありますし、祝金の金額についても内規や慣例などで、決まっている場合もあります。「残念ながらそういう規定はありませでした」。そうですか、次に祝金の相場になりますが、ゼクシィの結婚トレンド2016報告書首都圏版「招待客別 1 人あたりのご祝儀額」によると、上司のご祝儀金額は「3~4万円未満(実質3万円)」が57.8%でトップ。続いて、「5~10万円未満(実質5~9万円)」が31.0%で2位、「4~5万円未満(実質4万円)」が8.7%で3位となっています。友人の場合のご祝儀金額の1位が「3~4万円未満(実質3万円)」で96.8%を占めていることから、上司も友人もベースとなるのは3万円です。ただし、一緒に結婚式に出席する会社の部下と同じ金額はちょっと格好が付かないなどと思われる場合や招待客で招かれている場合はお車代が出ることがあるので、5万円が良いかと思います。それと、あなたの上司が結婚式に出席される場合は、事前に相談して、金額を同じにするか、上司が7万円で自分が5万円にするなどの配慮もあった方が良いでしょう。
(参照:ゼクシィ結婚トレンド2016報告書首都圏版)
多くの奥様は仕事上で必要な交際費の支出には肯定的!
「そうですねぇ。自分は5万円にしたいんだけど、、、」。奥さんにお願いするのが心配なんですね。「YOMIURI ON LINE」の相談コーナー「発言小町」で、ある方が、「家計にゆとりがないのに、旦那さんが部下に出産祝いを送るのも、旧友の結婚式に出るのに納得がいなかい。もっと家族にお金を使ってもらいたい」と意見を募ったところ、女性を含むほぼすべての回答者は、「ご主人には夫として父親としての立場の他に、社会に出て組織の一員として働いているという立場もありますし、友達だっているのです」や「友人の結婚式や部下の出産祝いは、旦那さんにとっては必要な交際費です」など、旦那さんの会社での立場や、仕事を円滑に進めるための交際費として、家計からお祝い金などの支出をすることに肯定的な意見でした。ただ、「部下の結婚式によばれない」との相談では、「むしろラッキー!」や「私だったら喜んじゃう!」などの意見も多く、誘われないことに越したことがないというのが本音だとは思います。5万円をお願いしづらいのであれば、相場の3万円を家計から出してもらって、残りの2万円分は、数カ月分のおこづかいを減額して補てんするなんて提案をしてみたらいかがでしょうか?
(参照:YOMIURI ON LINE)
部下の結婚式には準礼装のブラックスーツで!
「頑張って相談します。それと、お金が掛かるかもしれないのが服装ですよね」。部下の結婚式に出席する際の服装は、準礼装の黒のフォーマルスーツで昼夜兼用できます。「ビジネスでの慶弔マナー(https://allabout.co.jp/gm/gc/313323/2/)」によると、会社関係の結婚式に出席する場合の男性ゲストの服装は、①新郎より目立たない服装②普段の営業スーツではないブラックスーツか無地のダークスーツを選ぶ③ネクタイは白がシルバー④足元はひも靴を基本マナーとした上で、上司の場合は「ブラックスーツが最適」としています。「良かった。スーツは数年前の友人の結婚式のときに新調したブラックスーツがあるので、それを着ていくことにします」。
扱いづらい部下であってもスピーチでは褒める!
まだ、心配なことがありますか?「実は、先ほど、部下に言われたんですが、テーブルスピーチがあるらしくて。ちょっと憎たらしいところもある部下なんですけれど、上手く褒められるかどうかがちょっと心配で」。そうですね。短めのテーブルスピーチでも、感情的にちょっと引っかかる相手であっても、結婚式は新郎や新婦だけでなく、その家族や友人などがみんなでお祝いする場ですので、日ごろの感情はちょっと置いて、出席者がお祝いの気持ちを感じ取れて、新郎の仕事ぶりや人柄が安心できるようなスピーチが良いですね。結婚準備室というサイト(http://www.kekkon-j.com/manual/speech_sample/04_1.html
)に、上司のスピーチ例も載っていますが、「新郎新婦とは、主賓よりも近い立場にいる上司がスピーチをする場合は、堅くなりすぎず、職場の近しい上司だからこそ知っているエピソードなどをスピーチに交えると、主賓挨拶では知りえなかった、二人の意外な一面が見えてきます」とあります。感動してもらうための言葉は必要ありません。出席者は上司のあなたのスピーチに、あなたしか知らない新郎の仕事上のエピソードを求め、そのエピソード上にある、頑張る姿勢や能力の高さを語ってもらいたいと思っています。冒頭と締めのあいさつは多くの事例にあるような一般的なもので十分ですので、新郎の頑張りが伝わるちょっとしたエピソードを探して、スピーチに盛り込むようにしてください。
(参照:結婚準備室)
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部下の結婚を全力でお祝いして、仕事の効率を上げよう!
「ここまで教えてもらって、何なんですが、やっぱり結婚式には出るべきなんですよね」。そうですね。YAHOO JAPANの「知恵袋」という相談コーナーにも「本音は会社の部下の結婚式に呼ばれたくない」という投稿がありましたし、その回答の中にも「周りでも行きたい人なんていませんよ」という強めの意見も載っていました。実際に、部下が大勢いる方の中では、自分の中で出席する基準を設けて、基準から外れているひとからの招待をきっぱりと断るという方もいます。断る際には、かつての部下で今は違う支店や部署で働いていたりする場合は、「どうしても外せない先約があって」などと断ることもできますが、今回のように、今現在、一緒に働いている部下の場合は、仕事を理由に断ることもできません。実際に法事などのどうしても外せない用事があれば別ですけれど、出席すべきケースだと思います。特に、今回は一度、出席すると言っていることもありますから。ただ、ちょっと視点を変えて考えてみてください。仕事の効率を高めるためには、グループ全体の連携や意思疎通が欠かせません。この結婚式をグループ全体でお祝いし、楽しむことで、きっと、これまで以上にグループの結束は高まるはずです。たった、一日を面倒だとせずに、これから先のことも考えて、前向きに受け止めていきましょう。