高齢者の自動車運転中の認知症による交通事故が多発しているため、運転免許証の自主返納や免許更新についてのチェックに対して道路交通法の改正が進んでいます。
その中で、運転免許証の自主返納の場合の特典が注目を浴びているのをご存知ですか。
自主返納の特典については各都道府県の公安委員会によって違っていますが、公共交通機関の無料券などが提供されたりする場合も多いようです。
そこで、運転免許証の返納の方法やそれによる特典について調べてみました。

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運転免許証は返納できるの?

運転免許証の返納は制度として出来るようになっています。
最寄の警察署や運転免許センターなどにある公安委員会で返納手続きが出来ます。
運転免許証の自主返納の場合には、身分証明書の代わりになる運転経歴証明書の申請ができ、その運転経歴証明書を見せれば、地域の特典を受けることができるのです。
地域の特典は都道府県の公安委員会によって違っています。

運転免許証の返納の方法は?

運転免許証の返納は、管轄の警察署か運転免許センターなどにある公安委員会に行き、手続きを行ないます。
手続きに必要なものは、運転免許証・印鑑だけであり、全部返還の場合には手数料はかかりません。
ただ、一部返還で、原付バイクの免許は残すような場合には、作り直しになりますので、手数料が必要です。

運転免許証を身分証明として使っていたけど、返納したらどうするの?

返納手続をされた方の場合には、返納手続後5年以内であれば、「運転経歴証明書」なるものを申請することができます。
この運転経歴証明書は身分証明書の代わりになるものです。
金融機関などでも本人確認書類として認めてくれます。
また、この証明書を提示することで地域での特典を受けることも出来ます。
運転免許証の返納時に一緒に手続きをするようにしてください。

運転経歴証明書の特徴は次のようなものです。

  • 公的な身分証明書類として生涯で使える
  • 交付手数料には1000円が必要
  • 住所が変わった場合には届出の義務がある
  • 紛失や破損した場合は再交付申請が出来る(再交付手数料は必要)

なお、平成24年4月1日以前に交付されている古い形式の運転経歴証明書を所持してる場合には、新様式のものに切り替えることも出来ます。

運転経歴証明書の申請手続きはどうするの?

運転経歴証明書は、運転免許証の返納手続きと一緒に出来ます。
申請時に必要なものは次のものです。

  • 写真1枚(6ヶ月以内に撮影したもの)
  • 黒又は青のボールペンで書く
  • 住民票の写しか健康保険証などで住所、氏名及び生年月日を確認できるもの
    ※ 自主返納(申請による取消)時に申請する場合は不要
  • 運転経歴証明書交付手数料 1,000円

運転免許証の返納で特典があるの?

高齢者の運転免許証の自主返納の促進と返納後の支援のために、地域の公安委員会は、その地域の企業や商店と提携して特典を設けることができるようになっています。
この特典は、65歳以上の方が運転免許証を自主返納した場合に受けられるのです。
各地域で「高齢者運転免許証自主返納サポート協議会」が設置され、そこと協賛した企業や商店で高齢者が運転経歴証明書を提示することで、特典を受けられることになっています。
なお、サービス特典を受けるための仕組みは次の図のようになっています。

出典:京都府

運転免許証の返納で特典の内容はどんなもの?

運転免許証の返還で受けられる特典の内容は、各都道府県などでそれぞれに設定されています。
例えば、兵庫県では、65歳以上の方で、運転経歴証明書を提示した場合には、

  • 路線バスが半額
  • タクシー乗車運賃は1割引き
  • 一部鉄道の特殊回数乗車券(額面のほぼ半額)がもらえる

などの特典を受けることができます。
運転免許証の返納で車の運転が出来なくなりますので、それを補完する支援策として各地でも公共交通機関の割引が充実している場合が多いです。
その他にも兵庫県の場合には、

  • オリエンタルホテル割引(1グループ) 利用可能
  • 万葉倶楽部割引(5名まで) 利用可能
  • 神戸ポートピアホテルの利用は3割引き
  • 三木市加東市などの温泉は入浴料は半額で利用可能
  • 城崎温泉の外湯一部半額で利用可能

などがあります。
家族も一緒に使うことが出来るのはいいですね。

なお、各地の特典内容につきましては、各都道府県のホームページや「高齢者運転免許証自主返納サポート協議会」で検索しますと出てきます。
是非、確認してください。

運転免許証の返納で特典は永遠に受けられるの?

運転経歴証明書は生涯使えるものであり、運転免許証の返納による特典は基本的には生きている限りは使えます。
恐らく、提携の企業や商店の参加はまだ始まったばかりであり、今後さらに広がる可能性が高いです。
是非、運転免許証を返納された場合、65歳以上の方は使ってみてください。
当人だけでなく、ご家族などで利用できるサービスもありますので、みなさんで使えます。

運転免許証の返納のメリット

運転免許証を返納することによるメリットは、特典を受けられることももちろんですが、運転が不安な方の不安を取り除いたり、家族の心配が減るというメリットがあります。
さらに、交通事故を起こさずに済むと言う点が最大のメリットでしょう。
高年齢の方に限りませんが、車を所有することによって生じている費用は車検費用なども含めて年間何十万円もかかりますので、その点でも生活は楽になります。
また、車を売ることにより現金収入も得ることが可能です。
多少車がないことにより、不便にはなりますが、自転車に切り替えたり、各地域で配られる公共交通機関の無料券や半額券を利用できますので、安心して移動できます。

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運転免許証の返納のデメリット

やはり、運転免許証を返納することによる最大のデメリットはご本人の不満でしょう。
納得して返上されている方もいますが、ご家族の方が強くご本人に言って自主返納させる場合が多いようです。
特に既に認知症の症状が出ている場合には、かえって頑固になる場合が多く、説得にもかなりのパワーがいります。
ただ、そのような場合でも、ご本人に当初は不満が生まれますが、しばらく乗らない間に公共交通機関を使うことに慣れてしまいますよ。
実際に高齢者の認知症に伴う車での交通事故は増加しており、転ばぬ先の杖ではありませんが、運転免許証を返納することにより、事故の可能性もなくなるのです。
そのご家族の安心感はデメリットを充分に上回るものでしょう。

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まとめ

高齢者を対象とした運転免許証の自主返納には地域ごとに特典が設けられています。
公共交通機関を無料や格安で利用できたりするのはもちろん、地域の企業、商店の協賛をつのってさまざまな特典が設けられているのです。
これらの特典は生涯受けられるものであり、まだ始まってから日が浅いだけに、今後さらに特典内容も充実していく可能性が高いと言えます。
ご家族にとっては、コスト面でのメリットも大きですが、それよりもご高齢の方の自動車事故に対する不安が解消できるメリットが一番です。
もし、ご家族の高齢な方で認知症の可能性が高い場合には、運転免許証の自主返納をされるよう説得されることをおすすめします。


 

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