最近、高齢者で認知症などにかかっている方の自動車事故が多く報道されて、運転免許証の自主返納が話題になっています。
認知症と診断された方の6割はそのまま車の運転を続けているというデータもありますし、ご家族の方が心配されて、高齢の親などに自主返納をさせたいという場合も多いようです。

そこで、この運転免許証の返納手続きについて調べてみました。

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運転免許証の返納は何歳から?

運転免許の取消し申請(いわゆる自主返納)は、高齢や持病などによって、身体機能の低下を自覚して、車の運転における危険や社会へ与える影響を考慮して自ら取り消しを申請するものです。ですので、特に何歳からという規定はありません。

最近の高齢者の認知症に伴う事故の増加や、認知症の疑いのある男性の6割の方が車の運転を続けていると言われていることもあって、2015年6月に道路交通法が改正され、認知症対策の強化が行なわれています。

まず、高齢者の引き起こす交通事故防止のための予防的な措置もとられています。高齢ドライバーと言われる70歳以上の運転免許更新の際には、「高齢者講習・シニア運転者講習・チャレンジ講習+特定任意運転者講習(簡易講習)」のいずれかの講習の受講が必要です。

さらに、75歳以上の運転免許更新の際に、認知機能検査(記憶力や判断力を測定する検査)を行なうようになりました。

運転免許証の更新までの間に、認知症や持病の悪化、身体能力の低下などがすすむこともあって、こうした取り組みとは別に、運転免許の切り替えに関係なく、高齢者の免許の自主返納をすすめているのが現状です。

運転免許証の返納はどこで行う?

この申請ができるのは、現在有効な運転免許証をお持ちの方のみとなります。

以下に該当する方は、この返納申請は行えません。

  • 事故や違反のために免許取消処分や停止処分になっている方や免許停止処分期間中の方
  • 初心運転者講習の対象になっている方

運転免許証の有効期間内(更新前のタイミング)の場合には、最寄りの警察署または運転免許センターで申請をします。必ず、ご本人の意志であることを確認しますので、本人が行く必要があります。

運転免許証のすべての免許を返納する場合と、一部の免許を取消して下位免許を残すということも可能です。例えば、普通自動車の免許は取消するけれど、原付免許は残しておくという場合です。(運転免許の返納は、必ずしも高齢を理由にしたものだけではないため)

手続きに必要なものは、運転免許証と印鑑で全部返還の場合は手数料はかかりません。一部返還で、下位免許を残す場合には免許証の作り直しになりますので、手数料が必要になります。

 

 認知症って診断されたら自動的に運転免許証は返納になるの?

認知機能検査の結果、記憶力・判断力が低下していると認められた場合、運転免許証は自動的に停止されてしまうのでしょうか?

認知機能検査の結果で運転に適さない状態であると分かった場合には、警察からの連絡を受けて臨時適性検査(専門医による診断)を行うか、医師の診断書を提出します。そのうえで、認知症であると診断された場合には、聴聞等の手続をへて運転免許の取り消し、又は停止となります。

平成29年3月12日以降は、この臨時適性検査は運転免許証の更新時のみではなく、特定の交通違反や事故を起こした場合にも実施されます。

ちなみに、医師の診断書を取得する場合には、保険適用外ですので、自費で取得することになります。臨時適性検査を受ける場合には、所要時間30分程度で650円の実費となります。

運転免許証は身分証明として使っていたけど、返納したらどうするの?

出典:警視庁

自主返納手続をされた方には、返納手続後5年以内であれば、「運転経歴証明書」を申請することができます。

この運転経歴証明書は身分証明書の代わりになりますので、金融機関などでも本人確認書類として認めているものですので、自主返納された方は、返納と同時に申請しておくとよいと思います。

また、運転経歴証明書の交付を受けた65歳以上の方は、地域のサポート企業や店舗においてその運転経歴証明書を提示すれば、さまざまな特典を受けることが出来るようになっています。例えば、京都などでは、支援施策として、バス乗車券の進呈などのサービスも受けることが出来るのです。ただし、この特典をもらえる場合は、65歳以上としている自治体がほとんどになります。

<運転経歴証明書の特徴>

  • 公的な身分証明書類として生涯使える
  • 交付手数料は1000円が必要
  • 住所が変わった場合には届出が義務付けられている
  • 紛失や破損した場合には再交付申請が出来る(再交付手数料は必要)

なお、平成24年4月1日以前に交付された古い形式の運転経歴証明書を持っている場合には、新様式のものに切り替えることが出来ます。

運転経歴証明書の具体的な手続きはどうするの?

運転免許証の返納手続きと一緒に出来ます。
申請時に必要なものは次のものになります。

  • 写真1枚(6ヶ月以内に撮影したもの)
  • 黒又は青のボールペンで書く
  • 住民票の写しもしくは健康保険証等で住所、氏名及び生年月日を確認できるもの
    ※ 自主返納(申請による取消)と同時に申請する場合は不要になります。
  • 運転経歴証明書交付手数料 1,000円

本人が死亡した時に運転免許証の返納手続きをする必要はある?

亡くなった方の運転免許証を返納する規定はありますが、ご家族にその手続きを実施する義務は規定されていません。基本的には免許期間が過ぎて更新していなければ、失効しますので、返納手続きをしなくても特に罪になるというわけではありません。

手続きをする場合には、通常は本人が行く必要がありますが、死亡している場合には運転免許の有効期間内にご家族などの代理人が返納手続きをすることになります。

平日に最寄の警察署等に出向いて、運転免許証返納届を記入して手続きを行ないます。その際には、届出人の身分証明書と亡くなった方との関係を証明する書類並びに死亡を証明する書類と、亡くなられた方の運転免許証を持参する必要があります。

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まとめ

最近、認知症の高齢者による自動車事故が増加しています。そのために、道路交通法が改正されて、自主返納が出来たり、高齢者への免許更新における新たな講習と認知症検査などが設けられています。

運転免許証の自主返納には年齢制限が設けられていません。また、認知症の診断結果が出た場合には、病院から自主返納の説明がされるようになっています。

ただ、「おかしいな」「危ないな」と思ったら、こうした診断結果を待つ前に、ご家族が積極的に返納に動かれるのがよいです。

自主返納した場合には、身分証明書の代わりとなる運転経歴証明書が発行されますので、返納したとしても不便なことはありませんし、65歳以上の高齢者の場合には、運転経歴証明書があれば、地域などのサービス特典が受けられる制度も作られています。

自分の安全や家族の安全、社会の交通安全のためにも、大きな事故になる前に一度は考えてみてはいかがでしょうか。

 


 

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