日本食の定番の焼き魚ですが、魚焼きグリルで焼くと本当に美味しいですよね。
最近は、魚焼きグリルの掃除が大変なので、フライパンで魚を焼くレシピなども見かけますが、やはり魚焼きグリルで焼いた方が、脂がほどよく落ちて、身もふっくらと仕上がります。
でも、魚の皮が網についたり、受け皿に滴り落ちた脂が落としにくかったりして、魚焼きグリルの掃除はたしかに大変です。
何か簡単に掃除する方法はないのでしょうか?
もちろん、あります!
今回は、効率のいい汚れの落とし方と、魚焼きグリルの汚れを防ぐ方法を紹介していきます!
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Contents
その汚れは酸性?アルカリ性?
汚れのほとんどは、酸性・中性・アルカリ性に分けられます。
酸性の汚れには、アルカリ性の洗剤を使い、アルカリ性の汚れには、酸性の洗剤を使う、というのが、汚れ落としの基本です。
酸とアルカリを混ぜて中和させると、水に溶けやすい物質(塩基)になるので落ちやすくなるのです。
(酸性の汚れの例)
- 油脂
- 皮脂
- タンパク質
- 炭水化物
これらには、アルカリ性の洗浄剤(重曹・セスキ炭酸ソーダなど)を使います。
市販の洗剤では、カビキラー・ハイターなどの塩素系漂白剤・マジックリンなどの油汚れ用洗剤もアルカリ性です。
(アルカリ性の汚れの例)
- 水アカ
- 石鹸カス
- 尿石
- サビ
- カルキ(電気ポットの中など)
これらには、酸性の洗浄剤(クエン酸・酢など)を使います。
市販のトイレ用洗剤の中には、酸性のものもあります。
酸やアルカリには、強弱があります。
ひどい汚れには、強い酸性やアルカリ性の洗浄剤を使いますが、それだけ皮膚への刺激も大きくなります。
反対に、口に入る可能性のある食器洗い洗剤などは、刺激の少ない中性の洗剤が使われています。
重曹で落とす、魚焼きグリルの汚れ
魚焼きグリルの主な汚れは、魚の脂です。
これは酸性なので、アルカリ性の重曹で中和させながら落としていきましょう。
もしここで酸性のクエン酸を使っても、酸性+酸性では中和できませんから、あまり効果が期待できません。
掃除は化学です。
そのため、液性(酸性か、アルカリ性か)を正しく理解して、それぞれ使い分けていくことが大切です。
重曹とは何? なぜ使う?
「重曹」とは、「炭酸水素ナトリウム」のことです。
弱アルカリ性で、肌への刺激が弱く、粒子が細かいので、食器洗いや鍋の焦げ付き落しなど、磨き粉としても使えます。
食品添加物(ふくらし粉)としても使われるほど、安全性が高く、人体には無害であるのが特長です。
そう、重曹の最大のセールスポイントは、「安全」ということです。
だって、「食品添加物」として使われているくらいですから。
もし、油汚れをガンガン落としたいなら、もっと強力な洗剤があります。
でも、魚を載せて焼く網などを洗うのですから、口に入っても大丈夫な、優しい洗浄剤を使いたいですよね。
ですから、台所のグリルなどの油汚れの掃除には、重曹を使うことがオススメです。
汚れが軽いとき
魚焼きグリル(受け皿・網)の油汚れがまだ軽いときは、こうしましょう。
まず、水100mlに対して、重曹小さじ1杯を加えて溶かした、重曹水を作ります。
今回は、魚焼きグリルの油汚れですから、水よりぬるま湯かお湯の方が良いかもしれません。
- 目立つ汚れをざっと洗い流した後で、重曹を溶かしたぬるま湯にしばらく浸しておく。
- そのあとお湯で洗い流しながら、スポンジで軽くこする。
これだけでOKです!
魚焼きグリルを重曹水にしばらく浸しておくことで、油汚れが中和されて落としやすくなります。
なお、グリルの網は、フッ素加工が施されているものが多いですから、焦げ付きを落とそうとして、金属タワシなどの硬いものでゴシゴシと洗うのは止めましょう。
魚焼きグリルに限ったことではありませんが、汚れは、できるだけ早いうちに落とすようにすると、掃除が簡単になります。
揚げ物をしたときに壁に飛び散った油も、ガスレンジの汚れも、直後なら、お湯で湿らした布巾で簡単に落ちます。
面倒に思って、そのままにしておくと、ホコリと一体化し固まってしまって、取れにくくなります。
魚焼きグリルも、使う度に洗う癖をつければ、毎回の掃除が楽にできます。
汚れがひどいとき
でも、直後にサッと掃除できるとは限りません。
しばらく時間が経って、油汚れが溜まってベトベトしている魚焼きグリルを洗わないといけない時は、どうしましょうか?
いかにも手強そうな油汚れを相手にする場合、マイルドな重曹水だけでは落としきれない可能性もあります。
その場合は、重曹ペーストを使いましょう。
重曹ペーストの作り方は、重曹と水を3:1で混ぜるだけ。
3:1という重曹と水の割合も、あくまでも目安なので、使いやすいように自由に変えてしまっても大丈夫です。
使い方は、いたって簡単です。
- 重曹ペーストを魚焼きグリルに塗りつけて、しばらくそのまま置いておく。
- お湯で洗い流しながらスポンジで軽くこする。
重曹ペーストの場合も、しばらく置いて中和させる、というところがミソです。
落としづらい頑固な焼き網の焦げ付きを掃除するときにも、重曹ペーストは効果的です!
焼く前にも、受け皿に重曹水を!
魚焼きグリルは、焼く前に受け皿に水を張るものがほとんどです。
水を張るタイプの場合、水の代わりに重曹水を使えば、魚を焼いたあとの掃除が楽になります。
また、重曹水ではなく、重曹そのものを敷き詰めるという方法もあります。
重曹を受け皿に敷き詰めると、臭いも取ってくれますし、魚を焼いたあとで、その重曹を使って洗えば、簡単に掃除できます。
しかし、注意点が1つだけあります。
熱せられた重曹は、一部が「炭酸ソーダ」に変わる、ということ。
炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)は、重曹よりもずっとアルカリ性が強いので、肌への刺激も強くなります。
次の項目で説明するセスキ炭酸ソーダよりも、アルカリ性が強いのです。
ですから、重曹を加熱したものは、ゴム手袋をして洗いましょう。
なお、重曹はスーパーやドラッグストアで、粉状のものが数百円で売られています。
純度の高い食用もあるのですが、掃除用のものが掃除用品売り場にあるので、ぜひ探してみてください。
また、重曹は魚焼きグリルだけではなく、鍋やコンロ(ガス・IHどちらでも)の焦げつき、電子レンジの汚れ、換気扇のベタつきまで綺麗にすることができます!
さらに、重曹を使って洗った調理器具をすすぐときに、シンクや排水溝の油汚れにまで効果が及びます。
シンクの水垢(アルカリ性)には効かないのですが(こちらの掃除は、酸性のクエン酸を使ってくださいね)、油汚れの多いキッチンでは重曹が大活躍します!
このように重曹があれば、魚焼きグリルをはじめキッチン汚れはほぼ落とせるのですが、重曹以外にも何か効果的なものはないでしょうか?
重曹よりもさらに強力!セスキ炭酸ソーダ
もうひとつ、汚れ落としの強力な味方になるのが、「セスキ炭酸ソーダ」です。
こちらも粉状のものが売られていて、水500mlに小さじ1杯の割合で水に溶かして使います。
スプレーボトルに入れて使うと便利です。
すでに水溶液になっていて、スプレーボトルに入ったものも出回っています。
汚れに直接スプレーし、拭き取ったり洗い流したりしてキレイにします。
魚焼きグリルの洗い方は次の通り。
- 受け皿や網を引き出して大きな汚れをざっと洗い流したあとで、セスキ炭酸ソーダ水をまんべんなくスプレーする。
- しばらく置いて、スポンジなどでこすりながら洗い流す。
これまで紹介してきた重曹は、アルカリ性のなかでも弱い方です。
セスキ炭酸ソーダは、その重曹よりもややアルカリ性が強いため、頑固な油汚れには重曹以上に威力を発揮します!
換気扇などのしつこい汚れにも、試してみてください。
セスキ炭酸ソーダは、入浴剤に使われることもあるくらいで、人体に対し激しい害毒はありません。
しかし、アルカリ性が強い分、肌へのダメージが重曹より大きくなることも忘れてはなりません。
肌の弱い人はゴム手袋を使用しましょう。
もし、肌に直接触れる状態で使用するなら、できるだけ短時間にしたり、肌が荒れているときは中止したりするなど、気をつけることが大切です。
それから、飲んではいけません。
目に入らないように注意しましょう。
万一目に入ったら、すぐによく洗い流しましょう。その上で、目が痛くなれば病院へ。
製品の説明書をよく読んで使ってください。
取り外せない庫内は、どうする?
今まで、引き出せる「受け皿」と「網」の掃除について、書いてきました。
ところが、魚焼きグリルには、もうひとつ、やっかいなモノがあります。
受け皿を収める「庫内」つまり、レンジ本体の内部です。
引き出してザブザブと洗うわけにはいきませんので、面倒で、ついつい掃除は後回しにしてしまい、その結果、油汚れが取れにくくなっています。
庫内の汚れが軽ければ、重曹水かセスキ炭酸ソーダ水を滲みこませたキッチンペーパーなどで拭くと、ある程度、落とすことができます。
拭くだけで落ちない汚れは、セスキ炭酸ソーダ水を滲みこませたキッチンペーパーを庫内に貼り付けてしばらく置いておきます。
時間をかけて浸すことで中和がさらに進み、汚れを落としやすくなります。
汚れを拭き取ったら、水を含ませた布巾やタオルなどで、洗浄剤の成分をしっかり拭き取っておきましょうね。
不要になった菜箸や割り箸に古いタオルなどを巻き付け、輪ゴムで止めたものを作ると、手が届きにくい庫内の奥まで、拭き取りやすくなります。
最後に、庫内を乾燥させてから、受け皿と網を戻しておきましょう。
メラミンスポンジが大活躍
油ぎった箇所を掃除する場合、食器洗い用のスポンジを使うと、どうしても油分がスポンジに残ってしまい、再び食器を洗うのが難しくなってしまいます。
掃除用に格下げしようと思うスポンジならいいのですが、そうでないなら、食器用スポンジでグリルを洗うのは止めて、使い捨てのメラミンスポンジ(「激落ちくん」など)を使いましょう。
100均でも売られていますから、惜しげなく使えます。
メラミンスポンジに重曹水やセスキ炭酸ソーダ水を含ませて汚れをこすると、面白いように汚れが落ちます。
傷をつけませんので、レンジのパネル(操作用のつまみなどがある面)を掃除するのにも適しています。
ここも、掃除が済んだら、洗浄剤の成分はしっかり拭き取っておきましょう。
メラミンスポンジは、こすっているうちに、ポロポロと細かく削りカスのようなものが出てきますから、そのカスは、ちゃんと洗い流したり拭き取ったりして、残しておかないようにしてください。
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使っても汚さない。片栗粉が受け皿の油汚れを予防!
グリルで魚を焼くと、下の受け皿に油が落ちて、ベトベトして嫌ですね。
先ほどは、ベトベト防止に、重曹水や重曹を受け皿に入れておく方法を紹介しました。
魚焼きグリルで魚を焼くときに、受け皿に、片栗粉を溶かした水を入れておくという方法もあります。
水200ccに対して、片栗粉大さじ1.5の割合で溶かしてください。
受け皿に、片栗粉を溶かした水を入れて、魚などを焼いたあと、2時間ほど放置します。
すると、片栗粉が固めのゼリー状となって、表面に浮いた油汚れごと、つるん!とはがすことができます。
これは面白くて、やってみたくなりますよね。
ただし、気をつけなければならないのは、水と片栗粉の割合です。
水が多すぎては綺麗に固まらないし、逆に片栗粉が多すぎては、焼くときに片栗粉が受け皿に焦げ付いてしまう可能性があります。
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(ちなみに、片栗粉が焦げ付いてしまった場合、濃い目の酢水に浸しておくと落ちやすくなります。)
グリルストーンで汚れ防止
魚焼きグリルを汚さないために、「グリルストーン」を受け皿に敷く方法もあります。
グリルストーンとは、天然岩石が原料の小石です。
無数にあいた小さな穴が、油と臭いを吸い取ってくれます。
その上、遠赤外線の効果で、魚が外はパリッと中はふわっと、美味しく焼けるのです。
使い方は、受け皿にアルミホイルを敷いて、その上にグリルストーンを敷き詰め、いつものように焼き網をセットして焼くだけです。
ただ、焼き時間が通常よりも短くて済みますから、初めて使う時は、焼き具合を確かめながら、いつもより短めの時間で焼いてみてください。
(ガス代の節約になりますね)
魚を焼いた後は、網だけを洗えば良いのです。
グリルストーンは、繰り返し使えますので、そのまま放置して結構です。
石が黒くなったら、取り替えます。
汚れたグリルストーンは、燃えないゴミとして処分しますが、家に庭がある人は、埋めれば自然に土に戻ります。
3~5回程度の使用で交換している人が多いようです。
10~20回使えると説明している製品もあり、実際にそのくらい使っているというレビューも見られますので、製品や焼く魚の種類(脂の多いものか、少ないものか)によって、使用できる回数は違うと思われます。
参照 楽天市場
網には酢を!皮の焦げ付きを予防!
受け皿の油汚れの予防には、重曹や片栗粉、グリルストーンが有効だと分かりましたが、では網はどうすればいいのでしょうか?
魚を焼くときには、どうしても網に皮や身がついてしまいがちです。
これも防ぐことができれば、魚は綺麗に焼きあがるし、後片付けも楽になります。
実は、魚が焼き網につくことも、予防することができるのです!
ここで使うのは「酢」です。
酢をキッチンペーパーに滲みこませて、事前に網に塗っておきます。
魚を焼く前にそのひと手間をしておけば、皮が網につくこともなく、綺麗に焼きあげることができます。
ちなみに管理人は、以前「事前にグリル(網を含む)を予熱しておけば、皮がつきにくい」との情報を聞いて何度も試してみたことがありますが、残念ながら全く効果はありませんでした。
今思えば、予熱をしたとしても、いざグリルを開けて魚を入れるときに温度が下がってしまうため、あまり意味がないことでした…
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まとめ
掃除は、まず汚れについてきちんと理解し、原因ごとに対処していくことが大切です。
きちんと合う方法を選ぶことができれば、魚焼きグリルなど洗いづらいものでさえ、簡単に綺麗にすることができるのです。
重曹とセスキ炭酸ソーダは、台所の掃除に、とても役立ちます。
ぜひ試してみてくださいね!