声で演技してアニメに命を吹き込む「声優」。憧れの職業です。
洋画の吹き替えやテレビのナレーションの仕事、イベント出演をする人もいます。
とってもステキなお仕事ですね。
声優になりたいなあ。声優になるには、どうしたらいいのでしょうか。

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声優さんになるには、どうすればいいの?

「声優事務所(プロダクション)」に所属すること!

声優として活動するには、声優事務所に所属して、仕事の情報を手に入れます。一部の俳優さんなどには直接、声優の仕事が入りますが、一般的には、事務所を通して声優の仕事の依頼があります。

声優事務所に入るには、その事務所のオーディションに合格しなくてはなりませんが、いきなり合格できる人は、ごく少数です。

多くの人は、声優事務所に所属することをめざして、「声優養成所」に入ります。
声優養成所とは、声優事務所の直営の学校のようなものです。

たとえば、山寺宏一さんや金田朋子さんが所属している「アクロスエンタテインメント」は、「Jボイスタレント・プロフェッショナルスクール」という養成所をプロデュースしていますし、古谷徹さんや山崎和歌奈さんが所属している「青二(あおに)プロダクション」は、「青二塾」という養成所を運営しています。

あまりに狭い、声優事務所への道

声優事務所への近道とされる声優養成所に入所するときも、オーディションを受けます。
養成所のオーディション情報はホームページなどでも公表されています。

ただし、人気のある声優養成所では、入る段階で、数百人の応募者が数十人にふるい落とされるほどの狭き門です。しかも、養成所に入っても、卒業後に事務所に所属できるという保証はありません。

養成所はだいたい2年制が多いのですが、1年ごとに昇格試験があります。たとえば生徒が20人いたとして、2年次に上がるのは半分の10名、最終的に声優プロダクションに所属できるのは1~2人などザラです。

『ドラえもん』の骨川スネ夫、『妖怪ウォッチ』のウィスパーなどの役で知られる声優、関智一さんも、同様のことを語られます。
関さんが講師をする養成所の場合、1年生として160人が入所して、最終的に事務所に所属できるのは、1人か、2人だそうです。
参照:ダヴィンチニュース「志望者殺到!これを読まずに声優を目指すな! 2017年声優総選挙5位・関智一が教える声優業界のホントの事情」

ちなみに、関智一さんの著書『声優に死す 後悔しない声優の目指し方』は、声優として第一線で活躍してきた関智一さんが声優志願者に対しておくるアドバイスや、業界のウラ事情が書かれた本です。声優を志す人は読んで損はありません。

出典:Amazon

それでも、声優になりたいのなら……

比較的、入所しやすい養成所もあります。

たとえば、「日本ナレーション演技研究所」は全国13カ所、「インターナショナル・メディア学院」は、全国15カ所に校舎を持ち、週1回コースもあって、働きながら、他の学校に通いながらでも、声優の勉強ができます。

では、希望する養成所のオーディションに通らなかったり、親から「高校卒業後は、どこかの学校に入学しなさい」と言われたりしたときなどに、声優養成所に行く以外の方法で、声優のスキルを身につけるためには、どうすればいいのでしょうか。
いくつかのルートがあります。

  1. 専門学校の声優コースに入る。
  2. 大学の声優コースに入る。
  3. 俳優養成所や劇団などで俳優の修業をする。

専門学校

声優科」のある専門学校に入って勉強するという方法があります。
たとえば、

  • ヒューマンアカデミー
  • 代々木アニメーション学院
  • アミューズメントメディア総合学院

などです。

専門学校のメリット

  • 入学するのは、あまり難しくない。
  • 同じ夢を持つ友人ができる。

専門学校のデメリット

  • 声優になれる保証はない。
  • 就職したとき、仕事で役に立つ技術を学べない。(営業トークには役立つかもしれませんが)

声優の専門学校は、何か普通の仕事に活かせる技能を習得して卒業する学校ではありません。
ビジネス専門学校、コンピューター専門学校などは、少なくとも、仕事に活かせる技能が身につきます。
調理師専門学校を卒業すれば調理師に、保育専門学校を卒業すれば保育士になれます。しかし、声優専門学校を卒業しても、何かの資格が取れるわけではありません。

大学

大学では、大阪芸術大学の放送学科に「声優コース」があります。
他にも、城西国際大学(映像芸術コース・芸能ステージ専攻)、九州大谷短期大学(表現学科・演劇放送フィールド)など、声優になるために役立つ勉強を教える大学があります。

大学のメリット

  • 大学に行きなさい、と言う親や教師を説得しやすい。
  • 進路が広がる。(声優以外の仕事への視野が広がる)

大学のデメリット

  • 声優になるための技術を深く学べるとは限らない。(大学によって違います)

授業内容については、大学の資料やオープンスクールでよく調べましょう。

専門学校や大学で他の声優志望者たちを見ていると、自分の声優としての才能がどれくらいか、ある程度判断できるでしょう。
「声優は無理だ」と思えば、一般の企業に就職すればよいのです。やはり「どうしても声優になりたい、なれる」と思うのであれば、声優事務所や声優養成所のオーディションを受けてみればいいでしょう。

俳優養成所・劇団

俳優の勉強をする中で演技力・表現力を身につけて、声優を目指すこともできます。
確かに、テレビのナレーションやアニメの吹き替えを俳優さんやタレントさんが行うこともありますから、俳優と声優はとても近い仕事ですね。

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働きながら(大学に行きながら)勉強する

1つの考え方として、他の仕事や学校に通いながら、夜間や週末に声優の専門学校や養成所で学ぶという方法もあります。多くの専門学校では、夜間・週末コースが準備されていますので、やる気さえあれば、声優の勉強をすることが可能です。

夜間に通えるところとして、例えばアミューズメントメディア総合学院は、平日19:00~21:30、日曜10:00~12:30/14:00~16:30に学べるコースがあります。代々木アニメーション学院では、毎週水曜19:00~21:00、または土曜のコースがあります。その他にも大阪の専門学校ESPエンタテインメント、全国各地に校舎がある総合学園ヒューマンアカデミーなどが、夜間・週末コースを開催しています。

入所しやすい養成所vs専門学校

養成所と専門学校の位置づけは、基本はこうです。

基礎が出来ている人→養成所
基礎が出来ていない人→専門学校を終了後に養成所

専門学校を出ただけで声優になれる人はそうそういなく、通常はその後に養成所に入ってから声優になります。しかし、基礎が出来ていなくても入れる、入所しやすい養成所もあるので、ではどちらを選んだら、と悩む人がいることでしょう。先に入所しやすい養成所として紹介した「日本ナレーション演技研究所」と「インターナショナル・メディア学院」を、専門学校との違いを述べながら詳しく紹介しましょう。

入学・入所試験

専門学校には願書提出と面接だけで入れます。面接は普通に、なぜ声優になりたいのか、高校でどんな活動をしていたか、入ったら何をしたいかなどを聞かれるだけで、普通に熱意を伝えれば、それでOKになります。中には願書の選考だけで合否を決める学校もあります。高校時代の成績、素行がよほど悪くない限り、専門学校には入学できるでしょう。

一方、一般的な養成所では、入所の際にセリフ実技、朗読実技、歌唱、特技披露、自己PRなどがあって、これらがそれなりの水準でないと、受かることは出来ません。しかし「日本ナレーション演技研究所」の場合、かなり易しい試験しかないと言います。

「日本ナレーション演技研究所」、略して日ナレに実際に通っていた人が、具体的な内容ははっきり書けないし、オーディション内容は毎年変わるけれど、こんな感じのオーディションだと書いているページがあります。それによると

まず最初に、国語能力を試されるような筆記試験があるのですが、これは全然難しいものではありません。
なぜ筆記試験があるのかというと、声優は文章を読まなくてはいけない仕事ですから、日本語や漢字を読んだり書くことができないと厳しいですよね。
そして、面接官に向かって30秒の自己紹介・自己PRを行う場合もあります。
ここでは30秒でいえる自己紹介をあらかじめ用意しておくのがオススメです。特技や趣味など、自分のことを30秒で分かってもらえる文章を作ったら、時間を測って読んでみましょう。
また当日は他の人もいる中で話しますから、緊張して頭から文章が飛んでも、スラスラ読めるくらいに練習しておくのがオススメです。
面接のような形で質問を受けることもあります。
面接官が見ているのは、「普通に人と会話ができるか」という点だけですから、質問されたら素直な気持ちを答えるようにしましょう。
そして、簡単な文章の朗読・音読テストもあります。
上手に読めなくてもいいですから、文章から感情を読み取ることを大切にして、それを自分なりに表現してみましょう。

こんな感じなので、声優になりたいという気持ちと、普通に会話できる能力があれば、日ナレのオーディションは必ず合格すると言えるでしょう。

次に「インターナショナル・メディア学院」ですが、ここはベーシックコースなら入所試験はありません!

入学・入所後のカリキュラム

日ナレの合格率は90%くらいと言います。そしてインターナショナル・メディア学院は希望すれば入れます。なら、専門学校ではなくて、直接これらの養成所に入ったほうが…、と当然考えることでしょう。しかし、専門学校とこの2養成所では、入ってからの流れが全然違います。

専門学校はほぼ毎日の授業ですが、日ナレは基本、週一回3時間。一部の地域だけ週2,3回あります。インターナショナル・メディア学院は週一回2時間(ベーシックコース)です。そのため、日ナレとインターナショナル・メディア学院では、限られたレッスン時間に与えられた課題を、その他の日々にいかにこなすかが重要なポイントとなります。

また、これだけカリキュラムの差があるので、当然教える内容も異なります。日ナレ、インターナショナル・メディア学院は声優になるために必要な、現場に即した根本のレッスンをする感じです。日ナレの週2回コースでは演技とボーカルが加わり、週3回ではダンスが加わります。

専門学校のカリキュラムは、声優の基本、演技、ボーカル、ダンス以外にも、学校によって異なりますが、一般教養、映画や演劇の研究、センスアップ、業界基礎知識、コーチングなど、声優でやっていく上で必要となってきそうな、様々な授業があります。

これ以外に大きな違いとして、養成所は入った時点で、その運営事務所以外のオーディションを受けられなくなるというのがあります。日ナレはアーツビジョン、インターナショナル・メディア学院はIAMエージェンシーとアズリードカンパニーの事務所が運営している養成所です。在校中は、その運営母体である事務所にお世話になっている身なので、それ以外の事務所のオーディションは受けられません。

日ナレでは、入ってから1年後にある内部オーディションで受からないと、また一からやり直しになります。インターナショナル・メディア学院では1年間ベーシックコースで学んだら、アドバンストコースの選抜試験を受ける権利を得ることが出来ます。このように、内部的なオーディションまたは試験をクリアしていかないと、正式に事務所に入る道は開いていきません。

以上を踏まえて言えるのは、毎日通えて、まだ入る事務所を決め兼ねているのなら専門学校。毎日通うのは難しい、あるいは、事務所に属するならアーツビジョン、IAMエージェンシー、アズリードカンパニーのどれかしかない、と決めているのなら、日ナレかインターナショナル・メディア学院に入るのが良いと言うことです。

どんな人が声優さんになれるの?

声優として活躍するのに必要な資質(能力・才能)とは?

  1. 演技力・表現力・読解力
    声だけで、感情を伝えるのには演技力・表現力が必要です。台本を読んで人物の心の動きを理解する力も重要になります。
  2. 人間力
    この「人間力」とは、コミュニケーション能力・礼儀正しさ・素直さ・勤勉さなど、人間として備わっているべき力のことです。「愛される人柄」と言ってもいいでしょう。
    スタッフや他の声優さんと協力して、ひとつの作品を作り上げますので、他の人ともうまくやっていける能力は不可欠です。
  3. 容姿
    最近、声優のタレント化が進んで、声優さんにスポットを当てる雑誌がたくさん出版されています。
    男女とも、「カワイイ・カッコイイ」が、声優の条件の1つになりつつあります。
    CDデビューや、歌のイベントに呼ばれる機会があることを考えると、「歌唱力」も、ある方が望ましいでしょう。

子供は今、何をすればいいの?

声優になりたい子供たちは、今、何をすればいいのでしょうか。

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高校は卒業しましょう

まず、高校は卒業しましょう。先にも書いたように、声優を希望しても、なれない人の方が断然多いのですから、声優以外の仕事にも就けるように「高校卒」の学歴はほしいですね。

小学生・中学生は、とにかく、しっかり勉強しましょう。
国語力・読解力をつけるのはもちろん重要ですが、それ以外の教科も、教養として必要です。
学科以外にも、部活動、課外活動などいろいろな経験を積んで、人とうまくコミュニケーションをとる力を養っておきましょう。

高校生になると、具体的に学校を選ぶ段階に入っているかもしれませんね。大学にしろ、専門学校にしろ、高校生が見学できる日を設定しているでしょうから、実際に学校を見て、授業内容や卒業後の進路について確認しておくべきです。
いろいろな情報を集めて、思い込みを捨てて、冷静に考えてください。

おうちの人と進路について話し合っておくことも大事です。実際問題として、「声優になる」という夢に「大賛成!」という親御さんは、あまりいないのではないでしょうか?
経済的に進学が可能なのか、ということも話し合っておきましょう。

それでも、早いうちからやりたい!

声優養成所のほとんどは高校を卒業した18歳以上の人しか入れませんが、高校から入ることの出来る養成所もあります。例えばSIGMA SEVEN(シグマセブン)声優養成所は16歳から30歳までの人を受け入れていて、レッスンは月・水・金の13:00~16:00(Aコース)、18:00~21:00(Bコース)、または火・木・土の13:00~16:00(Cコース)です。Bコースであれば、普通高校に通いながらでも可能ですね。

こういった平日コースの養成所以外に、土日に週1回のレッスンという養成所もたくさんあります。例えば、プロ・フィット声優養成所は毎週土曜日16時〜21時の間の2時間、81ACTOR’S STUDIO 東京校 週1クラスは毎週日曜日14時~16時30分のレッスンで、ともに高校生以上の人を受け入れています。

実は中学から入ることの出来る養成所もあります。ホーリーピークボイスアクターズスクールは年齢を問わず、オーディションを通れば誰でも入ることができます。レッスンは週1回、2時間。日ナレのジュニア声優クラスは小学4年〜中学3年までの養成所です。レッスンは日曜日(もしくは土曜日)の2時間です。

どうしても早いうちからやりたいのなら、こういった、普通の中学、高校に通いながらでも行ける養成所に入ることをオススメします。

子供に対するオーディションの特色

子供がオーディションを受ける場合、他の年齢の人たちを見るのとは違う、独特の視点があるようです。一番嫌われるのは、中途半端に完成しているパターンです。まだ若く、これからたくさんの可能性があるのに、その時点で中途半端に完成していると、「誰かに習ったそのままをしているのでは?」「若くて下手に固まっていると、これからの融通が効かないのでは」などと思われるのかもしれません。

業界の事情に詳しい人は、完全に即戦力と成れるほどの完成度か、そうでなければ、とことん声優っぽくない、子どもを地で行く演技の方が、オーディションに受かる確率が高いと言っています。

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まとめ

憧れの職業、「声優」になるには、声優事務所への所属を目指して、声優養成所に入所するのが近道ですが、入所しても、声優になれるのは、ごく一部の人です。人気のある養成所に入所するために、専門学校や大学の声優コースなどで学んで、スキルを身につけようとする人もいます。
養成所や専門学校の夜間・週末コースで、他の学校や仕事と両立させながら学ぶこともできます。
声優という夢への道は、決して広く平坦ではありません。「運」「才能」という、自分の頑張りではどうにもならないものも必要かもしれません。
「声優になる!」という強い意志があり、たゆまぬ努力を重ねられる人だけが、道を切り開いていけるのでしょう。


 

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