20世紀末に、バブル崩壊とともに昔の終身雇用制度が崩れて、雇用環境は大きく変わってきました。
新卒で就職しても、早期に転職してしまう方も増えています。
昔は失業保険制度と言われていましたが、現在では雇用保険制度と言われるようになっています。
このように雇用環境の変化の中で、再就職に対する雇用保険制度での考え方も変化しているのです。
失業保険時代にはなかった再就職手当も受給できるようになっています。
失業して再就職した時には、再就職手当の申請をハローワークに忘れずにしましょう。
この再就職に際して受給できる再就職手当について調べてみました。
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Contents
再就職手当って何?
再就職手当は、失業して雇用保険の失業手当を受けている間に再就職が決った場合、失業手当の残ってしまった日数分の一部を再就職手当として支給されるものです。デフレ景気による失業率の高止まりの中で、失業期間の長期化が生じていたため、少しでも早く再就職してもらおうと導入された制度です。
但し、この再就職手当をもらうためには一定の条件を満たす必要があります。
<再就職手当をもらう条件>
- 新しい就業先に勤める前日までの失業手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
→ 所定給付日数というのは、雇用保険をかけていた期間などによって決められている失業手当を受けられる日数のこと - 以前の勤め先の事業主に再雇用されたものではないこと
- 雇用保険の手続きをする前に既に雇われることが約束されていないこと
- 給付制限期間の開始から1ヶ月以内での再就職では、ハローワークなどの紹介による就職であること
→ 給付制限期間は、失業して手続きをしてから失業手当をもらえるまで一定の待機期間があることを言う - 再就職した日以前の3年間に再就職手当てをもらっていないこと
- 1年を越えて引き続き雇用されることが確実に予想される職業であること
- 事業を開始したもので一定の条件を満たす者
一番のポイントは1年以上雇用されることが予想されることです。期間限定の契約社員やアルバイトの場合には対象にはなりません。
再就職手当はいくらもらえるのか
再就職手当は残りの所定給付日数分全額をもらえるわけではなく、残日数の状況によって支給率が変わってきます。
所定の給付日数に対して3分の2以上残して再就職した場合には、
支給額=基本手当日額(※2) × 雇用保険の支給残日数 × 70%(※1)
となります。
※1 所定の給付日数の3分の1以上残して再就職した場合には、70%が60%に下がることになります。
※2 基本手当日額は、60歳未満の場合は6070円が上限になり、60歳以上65歳未満の場合は4914円が上限になります。この上限以上に失業手当をもらっていてもこれ以上には出ません。高い給料をもらっていた方の場合は、比較的再就職先を見つけるのも容易だからという考え方のようえす。また、この上限や支給率は毎年見直しが入っていますので、その時点での確認が必要です。
ちなみにここに載せた金額は、平成29年8月1日現在のものです。退職して、失業手当をもらっている場合に再就職したら、必ず申請して再就職手当をもらうようにしましょう。
再就職手当はいつ支払われるの?
通常は、新しく就職した日からおおよそ1ヵ月半くらいがかかります。
但し、再就職手当の申請者が多かった場合には、2ヶ月くらいかかる場合もあります。
支給日が書かれていたとしても、その日をあてにして資金繰りを立てないようにしてください。
再就職手当は、就職した時にハローワークに申請することになります。そして、申請が認められますと、ハローワークから支給決定通知書が届きます。この支給決定通知書には目安となる再就職手当支給日が書かれていますが、必ずしもその日に振込みがあると決定しているわけではありません。その後にずれる可能性もありますので、注意してください。
まあ、失業手当などに比べますと、既に就職が決定しており、生活上は差し迫っていないという判断により、遅くなってもいいだろう、ということのようですね。
再就職手当の申請方法
失業手当を受給中に新たな再就職先が決った場合には、まず、就職日の前日までにハローワークに就職の報告をします。
その際には、以下のものを持参してください。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
- 新しい再就職先の「採用証明書」など
なお、採用証明書については、失業手当をもらい始めた時にもらった「雇用保険受給資格者のしおり」の後ろについていますので、事前に再就職先で記入してもらいます。事前にもらえない場合は、報告の際にハローワークの担当者に就職前にはもらえないことを報告してから、後で提出するようにしましょう。
ハローワークに就職の報告をした時に、再就職手当の条件に当てはまる場合は、「支給申請用紙」すなわち、再就職手当支給申請書が渡されますので、この支給申請用紙に記入して、就職日の翌日から1ヶ月以内に申請を行うことが必要です。
1ヶ月を過ぎますと申請できなくなりますのでご注意ください。
再就職手当の申請に必要な提出書類
再就職手当支給申請書の提出、すなわち申請は、就職日の翌日以降でないと受理されません。申請日に持っていく書類は、「再就職手当支給申請書」、「雇用保険受給資格者証」、その他に就職の報告の日にハローワークで求められた書類があれば持参してください。
なお、この再就職手当支給申請書の提出は、特にハローワークで要求された特別の書類がなければ、郵送でも出来ます。ハローワークに再就職の報告に行った時に確認しておきましょう。
再就職手当の申請から支給の決定までの期間
ハローワークでは、再就職手当支給申請書が提出されてから約1ヵ月後から支給に関する調査が行なわれます。
なぜ1ヵ月後なのかははっきりわかりませんが、入ったけれど仕事が合わずにすぐに止める場合があるためと思われます。ハローワークもその辺の心配をしているのでしょう。
その後、就職先の会社に実際に勤務しているかどうかの確認などが行なわれます。
再就職手当の申請書が多い場合には、この確認作業に時間がかかるため、支給が遅くなることがあるのは先に書いた通りです。それが済みますと、「支給決定通知書」が送られてきます。
従って、実際の支給には通常は1ヵ月半、混んでいる場合には2ヶ月かかることになるのです。
再就職と転職の違とは?
「再就職」と「転職」の違いは、簡単に言えば以前に務めていた会社の退職の仕方です。
これまで勤めていた会社の退職時に、既に次の就職先が決っている場合には転職と言います。失業期間がありませんので、転職の場合は再就職手当は出ません。
それに対して、再就職の場合は、一度退職してから失業期間があって、再び就職する場合を言います。
転職・・・勤めていた会社の退職時に、既に次の就職先が決っている場合。
再就職・・・一度退職してから失業期間があって、再び就職する場合。
また、再就職手当は、確実に1年以上就業できるところに就職した場合を条件として支給されます。従って、一時的なバイトや1年未満の契約社員などの場合には、再就職手当は出ず、就職手当が出ることになります。
再就職手当の申請をしている間に辞めてしまったらどうなる?
この場合、基本的に再就職手当は支給されません。
また、引き続き失業手当をもらう場合も、その再就職した先の退職の証明が必要です。
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再就職手当をもらってすぐに退職した場合は、新たな失業手当の申請には条件がつき、もらえる期間も短くなります。
再就職は慎重に決めるようにしてください。
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まとめ
現代の雇用状況が流動化している中で、再就職手当の申請も増加しているそうです。
特に、最近では一時5%を越えていた失業率も3%を切るようになり、有効求人倍率も1倍を超えており、再就職も以前より楽にできるようになっていると言えるようです。
従って、期間を残して再就職できる方も増えています。
これだけ雇用環境が良化してきますと、この再就職手当制度も支給条件がさらに厳しくなる可能性はあるのかもしれませんね。
もしもあなたがもらえる条件に当てはまっていれば、しっかり申請して支給を受けましょう。