勤めていた会社を退職してからできてしまった空白期間。
この期間に受け取れる「失業保険」は有名ですが、受給中に次の就職先が決まったら申請できる「再就職手当」というものもあります。
この再就職手当、実は条件さえ満たしていればパートやアルバイトでも受給が可能。
・・・って、知ってました?
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Contents
知らないと損をする?!再就職手当
失業保険の受給中に次の就業先がみつかり、いざ再就職へ。
そのとき、一定の条件を満たしていれば受け取ることができるのが「再就職手当」。
再就職手当を受給するための条件は7つ。
- 待機期間(7日間)を終了している。
- 受給資格が決定した後に再就職が決定した。
- 所定給付日数が残り1/3以上ある。
- 再就職先で雇用保険に加入し、1年以上の雇用が見込める。
- 再就職先(関連会社も含む)で雇用されたことがない。
- 過去3年間に再就職手当を受給したことがない。
- 再就職手当の申請を行ってすぐ退職していない。
これらの条件をクリアしていても気をつけなければならないポイントも。
自己都合で退職している場合には待機期間終了後1カ月間はハローワークまたは厚労省が認可した職業紹介者からの紹介による再就職でなければ再就職手当の受給対象になりません。
また1回目の失業認定日を過ぎてからの再就職先決定でないと対象外になります。
しかし一方で、パートやアルバイトでの再就職でもチャンスがあります。
再就業先での「雇用保険の加入」や「1年以上の勤務見込み」といった条件を満たしていれば、正社員だけではなく契約社員や派遣社員、パートやアルバイトでも受給対象に!
いくらもらえる?再就職手当の計算方法
再就職手当の基本的な計算式は「支給残日数 × 基本手当日額 × 給付率」。
支給残日数は雇用保険受給資格者証の裏面に記載されていますが、計算に必要になるのは「再就業の前日時点での残日数」なので要注意。
この残日数が雇用保険受給資格者証に記載されている所定給付日数に対してどのくらい残っているかで給付率が変わります。
- 2/3以上残して早期に再就職した場合→70%
- 1/3以上残して早期に再就職した場合→60%
また再就職手当を計算するうえでの基本手当日額には実は上限があります。
2017年8月現在の基本手当日額の上限は「離職時の年齢」が60歳未満であれば6,070円、60歳以上65歳未満の場合には4,914円となっています。
【再就職手当の計算例】
条件:支給残日数が60日あり2/3以上という条件を満たしている、基本手当日額は上限の6,070円で計算
60(支給残日数)× 6,070円(基本手当日額)× 70%(2/3以上残っている場合の給付率)= 254,940円
こうしてみると、結構多いですよね。
知らなかった・・・諦めるの、ちょっと待って!
再就職手当を貰える条件は全て揃っていたのに再就職したのは一年半前…
制度を知らなかったんです。説明とかしてもらえなかったし
知らなかった!という人の多い、再就職手当。
自分が受給条件に当てはまることを知らなかったというだけではなく、そもそも存在を知らなかったということも少なくありません。
実は失業保険の手続きに関連して受ける説明会や、しおりなどにも書いてあったりはするのだそう。
手当をもらえるはずの条件はそろっていたのに、申請期限に間に合うタイミングでその存在を知らなかった・・・となると、支払うべきものは督促されてももらえるものについては自分から申請しなければならない制度だけに諦めるしかなくなってしまうんですよね。
と思っていたところ、なんと平成27年(2015年)からこの申請に関して少し変更が入っていました!
実は申請期限切れとなっている給付金でも、2年の時効までの間なら遡って請求が可能に。
受給資格者死亡翌日から6か月以内となっていた未支給等失業等給付が2年以内になったり、就職日の翌日から起算して8カ月以内だった就業促進定着手当が2年6カ月以内と変更されたりするなか、再就職手当も再就職の翌日から1カ月以内だったものが2年以内と改訂されています。
前提として、失業保険の手続きが済んでいることが条件にはなりますが、失業保険の給付日数を1/3以上残しての再就職など条件はそろっていて、ただ1カ月以内の再就職手当の申請だけができていなかった・・・という場合なら、2年以内であれば申請ができるように。
再就職手当だけでなく、就業手当・常用就職支度金といった類似した給付金についても同じように可能性があります。
諦めるの、まだ早いかもしれませんよ?
具体的にはどんな手続き?
パートやアルバイトでも実はもらえる再就職手当
パートやアルバイトであっても、再就職手当の支給対象にはなります。
ただ注意しなければならないのが、「雇用保険への加入」と「1年以上の勤務見込み」というポイント。
パートやアルバイトの場合、契約期間の定めがない場合も。
期間限定のアルバイトといった場合は別ですが、そういえば派遣や契約社員・正社員といった雇用形態と違って、アルバイトやパートで期間を定めて契約することってあまりありませんよね・・・。
また雇用保険の加入についても、パートやアルバイトでは必ずしも雇用保険に加入できるとは限りませんので確認が必要です。
「1年以上の勤務見込み」という点については、再就職先となる会社に必要書類に記入してもらい、それを提出することで証明ができます。
パートやアルバイトで再就職手当がもらえないかな?と思ったら、再就職先となる会社に事情を話して「雇用保険」と勤務見込みについての書類の記入をお願いできるか聞いてみると良いでしょう。
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再就職手当の手続きは?
再就職手当を申請するのに必要な条件がそろっていたら、実際の手続きはどのように進めれば良いのでしょうか?
再就職手当の申請は、新しい就業先での勤務開始前と後に分かれます。
勤務開始前の手続き
再就職が決まったら、勤務開始日の前日までにハローワークに就職の報告をします。
その際の持ち物は基本的に3つ。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
- 採用証明書など
採用証明書は新しい勤務先に記入してもらう必要がありますが、勤務開始前に記入してもらうことが難しい場合も。
その場合はハローワークで職員さんに説明し、記入してもらい次第提出とすることも可能です。
勤務開始後の手続き
再就職手当の申請用紙は、就職日の翌日以降1カ月以内に提出しなければなりませんが、郵送での提出も可能です。
必要な提出書類は大きく3つ。
- 再就職手当支給申請書(就職先の会社の証明が必要)
- 雇用保険受給資格者証
- その他、ハローワークが求める書類
【再就職手当支給申請書記入例】
再就職手当支給申請書には、本人と事業者側にそれぞれ記入欄があります。
本人の欄は、住所や氏名といった基本的な項目のみになりますので、書き方としては特に悩むこともなく進められるでしょう。
就職先に書いてもらう際に、本人欄を先に埋めてしまった方があとの準備がスムーズですね。
就職の報告に行った際に渡される支給申請書を始めとするこれらの書類を提出すると、約1カ月後に実際に勤務しているかどうかの確認が行われます。
在籍確認は電話で行われることが多く、人事など宛にかかってくるようですが、実際には電話を取った人が回答できれば良いようです。
このためか、会社が雇用保険に加入していないなどの理由で保留になってしまっているようなケースのほかでも、同じ時期に再就職手当の申請がたまたま多かったといったタイミングの問題で、在籍確認の電話に時間がかかり支給が遅れたということもあるよう。
ネット上では「在籍確認なくなったらしい!」というウワサも。
今のところ、一部の地域では就職先の会社が雇用保険の手続きを行ったことをもって在籍確認とするという方法を取っているところもあるのだとか。
自分の利用するハローワークで確認してみても良いかもしれませんね。
その調査が終わると「支給決定通知書」が手元に届きます。
パートやアルバイトの再就職手当受給のための必要書類
パートやアルバイトでも受給できる再就職手当。
そうは言っても、「雇用保険の加入」と「1年以上の勤務が見込めること」という条件がネック。
そのため、パートやアルバイトでの再就職で大切になるのが「再就職手当調査書」という書類。
出勤状況など雇用主側で記入する項目があり、ここに1年以上の雇用見込みの有無を記入する欄があります。
実際にはこうなりました、再就職手当!
諦めかけていたけど、もらえましたよ!
初回の契約期間が3ヶ月だった
「1年を超えて勤務することが確実」ではないよね、きっと
ハローワークに所定の書類を提出した結果、1ヶ月強で再就職手当の「支給決定通知書」が届いたのです!
当初の契約期間が3カ月だったものの、再就職手当調査書で会社が「1年以上の雇用見込み」をアリと記入したことによって、諦めていた再就職手当が出た!というケースも。
再就職手当が実際に支払われるまでの期間はどのくらい?
申請をしてから1ヶ月ほど確認の電話が
それから2週間ぐらいで支給決定通知書が送られてきてその1週間後に入金確認
申請から入金されるまで1カ月半~2カ月と言われる再就職手当。
在籍確認やその後の事務処理の状況によって多少バラつきがあるようです。
惜しい!こんな理由で受け取れないことも・・・
早期再就職手当は研修を聞いて1ヶ月はハローワークからの照会先から
私は1ヶ月以内に自分でパート先を見つけたので貰えませんでした
せっかく早い段階で再就職が決まったにもかかわらず、もらえなかったという人も。
前職の退職理由が「自己都合」となっている場合には、就業開始日が待機期間終了後の1カ月間はハローワークからの紹介であることが給付の条件になっています。
確認って大事・・・
失業手当半年もらえると思ったら3ヶ月しかもらえなくてガッカリ…。転職したときにそこの会社じゃ再就職手当貰えないと思うって言われて再就職手当も貰わなくて積み立ててあったのに…(実際はもらえた)
— ナカネ@9/25脂肪吸引予定 (@nakane24) 2017年9月2日
自分の状況や就職先によって、再就職手当の受給条件にちゃんと当てはまっているのかどうか分かりにくいことなどもありますよね。
正社員に限らず、パートやアルバイトであっても実はもらえることがあるだけに、まずはハローワークで念のためでも確認しておく方が良さそうです。
まだある?知っておいた方が良い制度いろいろ
退職したときの失業保険に次の就業先を探す転職活動。
ハローワークには実は就業にまつわる制度がこのほかにもいろいろ用意されています。
「知らないと利用できない」ものが多いだけに、今は転職の予定がないという人でも一度どんなものがあるか確認しておいても損はありませんね。
再就職手当と似ている給付金「就業手当」
1年以上の雇用が見込まれることが条件となる再就職手当。
これと似た制度に「就業手当」があります。
働き方の条件としては
- 契約期間が7日以上
- 週の労働時間が20時間
- 1週間に4日以上働く
というもので、再就職手当よりは期間などの条件がずいぶん短めです。
就業手当の場合、基本手当の金額の30%(ただし支給上限を超える場合には上限まで)となり、再就職手当よりは金額的には少なめ。
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待機期間が経過していることなど再就職手当と同様のものなど所定の条件を満たしている必要がありますが、再就職手当には働き方の面で届かないといった場合には、こちらの手当てをもらうという方法もあります。
就業手当を受ける場合、受給した日数ぶん所定給付日数が減るという側面もありますので、再就職先での契約期間やその後の予定に合わせて、支給を受けるかどうかを考えると良いですね。
45歳以上なら常用就職支度手当?
常用就職支度手当には再就職手当や就業手当のような支給残日数の定めがありません。
この制度では45歳以上や心身に障がいのある人の場合には就職活動期間が長期化することも多いという点を考慮して作られた制度のため、再就職手当のような「早く再就職したら」という形ではないんですね。
再就職手当では待機期間が過ぎていて支給残日数が所定給付日数の1/3以上あることとされていましたが、こちらは待機期間のあとさらに「給付制限の期間が経過した後に就職したもの」となっています。
自己都合での退職であれば、待機期間の7日+給付制限の3カ月が経過したあと、ということですね。
また就職先についても、こちらは期間の定めなく「ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介であること」が条件になっているなどの特徴もありますが、再就職手当の条件には残日数が足りなかったなどといった場合には確認してみると良いでしょう。
職業訓練でトクをする?
転職しようにも、特に資格もないし・・・という人にもおすすめな職業訓練ですが、単に医療事務資格などの資格取得や技術習得だけが利点ではありません。
- 失業手当の給付期間は職業訓練修了まで延長
- 自己都合による退職でも3カ月の失業手当給付の待機期間の対象外となり「訓練開始日からの給付」になる
- 職業訓練校によっては「ビジネスマナー講座」など再就職に役立つ講義も受けられる
このほかにも、半年以上のコースで学割が適用されたなどのちょっと意外なメリットがあったという人も。
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知らないと損をする?再就職手当の申請
一定の条件さえ満たしていれば、パートやアルバイトでも申請ができる「再就職手当」。
一時金ではありますが、計算してみると案外まとまった金額がもらえた!ということも。
再就職に向けて就職活動中という人にとっては、覚えておいて損はない存在ですよね。