小論文とは
大学入試でよく小論文がありますよね。管理人は理学部だったので、入試に小論文はありませんでした。もちろんこうした理工系でも小論文が要求される場合はありますが、通常は社会・人文・教育学部で出されます。とは言え、大学によっては医療や芸術の分野まで、幅広く小論文を課すところもあります。
管理人は入ってからの一般教養で、よく小論文を求められました。哲学の試験でアガペー(自己犠牲的な無償の愛)について書けという問題があり、それに対して、「最近、失恋したばかりなので、今、愛について書けません。替わりに〜を書きます」という感じで、何かその時に思いついたものを理路整然と書いたことがあります。その試験は通りました!
小論文とは、論理的で客観性を備えた中で、根拠や理由を示し主張や意見を書くものです。だから、管理人の例のように、主題が変わっても論理・主張がしっかりしていれば認められたりするのですね。とは言え、大学入試でそんなことは絶対やらないでください。入試の場合、違う主題について書いたら間違いなくペケをもらうので…。
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大学入試の過去問題
大学入試の小論文では通常、ある文章が提示されて、その趣旨を要約して、それについて書くように求められます。字数はかなりまちまちですが、トータルで700〜1400字程度を書くのが多いようです。実際の問題例文を、提示される文章は抜きにして紹介してみましょう。
2016年度 群馬大学医学部保健学科看護学専攻
「世界中の20万人近い男女の遺伝子データの分析結果をもとに,背丈と心臓病の関係性についての研究について述べた『2015年5月28日「朝日新聞デジタル」』,『ニューヨーク・タイムズ・ニュースサービス』 を読み,問1.喫煙に起因する心臓病のリスクについて考えられる理由をまとめ,述べよ。〔100字〕問2.下線部説明。〔150字〕問3.一般的に遺伝子変異とは何か,生物学的に説明せよ。〔150字〕問4.下線部「見逃してきた果樹園の足元にぶらさがっている果実」について,言われた理由として考えられることを述べよ。〔150字〕」
一方、こんな風に自由に書かせる大学もあります。
2016年度 横浜市立大学医学部医学科
「我が国の食料自給率について,あなたの考えをまとめて述べよ。
字数:0~1000字」
芸術系だと、理路整然とした小論文ではなく、感性を示す作文を要求されたりもします。
2016年度 日本大学芸術学部文芸学科
「〈1期〉〈2問から1問選択〉
I.「他人にはない能力を持っている人」が登場する作文を書け。
II.「偶然」について自由に論じよ。
字数:0~800字」
こうした過去問は「第一小論Net(https://daiichi-shoron.net/index2.html)」という、小論文教材を集めたHPに無料で会員登録して見ることができます。会員登録したら「小論文入試情報ライブラリー」に「入試過去問BOX」があるので、そこで、大学名で検索してください。このライブラリーには「入試出題傾向・分析」「入試頻出キーワード」というコーナーもあり、「入試頻出キーワード」は非会員でも見られるようになっています。
無料会員登録とは言え、個人情報を渡すのは嫌だという人には、ここの旧サイトである「第一小論ネット(http://www.daiichi-g.co.jp/RON-NET/free/kakomon/kakofr.html)」が使えます。2012年までの古い情報なら、こちらで過去問を見られるので、まずはここで、自分の受けたい大学の過去問を調べてみるのも手でしょう。
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小論文の組み立て
群馬大学の例のように、小論文の中身を区切って字数を示し、そこで何を書いてほしいかを聞いてくる問題は、受験生に優しいといえます。しかし横浜市立大学のような例もあるので、小論文の進め方の一般例を知っておきましょう。
小論文は4段落で区切るとよいと言われます。第1段落は、課題文があればその要約、自由に書かせるタイプでは、現状紹介と問題提起になります。例えば横浜市立大学の例なら、日本の食料自給率がどうなのかを述べ、そのような低い自給率でよいのか、という流れになるでしょう。
第2段落で重要なのは、自分の立場を明確にすることです。日本人のメールは欧米人から見ると、結論があまりに後ろにあって読みにくいと言われます。欧米人の場合、最初に言いたいことを言って、その後にそう言いたい理由が続きます。こうしたメールに慣れているため、欧米人が日本人のメールを読むと、最後の結論の前で「これより下はどうせ付け足しだろう」と考え、途中で読むのをやめて、内容を誤解してしまうことがあるのです。
小論文は欧米人の感覚で、この第2段落でもう自分の意見をはっきりさせましょう。ただし、一方的な意見にはせず、「このような反対意見もあるが、それについて自分はこう反論したい」というように、反対意見をある程度退けてから、自分の意見を書くことが大事です。
第3段落では、自分の意見を押し通すための根拠を述べていきます。この段落で気をつけなければならないのは、自分が示した根拠に対して読み手はどう思うだろう、という視点を常に持つことです。いくら理路整然と書いたつもりでも、読み手が納得できない、身勝手な根拠ばかりを並べてはいけません。大学入試の小論文はかなり字数が限られているので、たいていはもっとも重要な根拠を述べ、「それについてこう思う人がいるかもしれないが、それは〜」などと続け、補足的な根拠を述べると、それでもう字数がいっぱいになってしまうでしょう。
第4段落は簡潔に、そこまでのまとめと結論を書きましょう。この「問題提起」→「意見提示」→「展開」→「結論」の流れを忘れないで書くと、それなりにまとまった小論文になります。よく書けていない小論文にありがちなのは、こうした、いわばルールとも言える流れに従っていなかったり、作文と勘違いして、論理的ではなく感性で書いたりすることです。
具体的な勉強法
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流れに沿って論理的に書いたつもりでも、論理が破綻していたり、日本語自体がおかしかったりすることがあります。この点に関しては、いくら過去問を知って、それで練習しても、なかなか改善されない部分です。こうした部分を補助する参考書、勉強本はそれなりに出ています。例えば、「小論文の参考書で超オススメな5冊!(http://aoaoi.jp/article/syoronsankousyo/)」といったページが参考になります。とは言え、この手の本をどれだけ読んでも、要約が正しくできているか、論理が読み手の納得できるものかどうか、というポイントは、なかなか判断しづらいのではないでしょうか。
論理の組み立てが苦手、要約は難しい、そもそも正しい日本語をよく知らない、という人は、やはり添削指導を受けるべきです。実は、小論文は独学だけでは力がつきにくい科目なのです。独学で得られるのは、書くときのルールやコツ、予想される問題のキーワードに関する広範な知識などです。それ以外の力をつけるための最も効果的な学習法は、添削を受けることです。
もうひとつ、勉強というよりは、情報として事前に仕入れてほしいのが、先輩たちの体験談です。実際に目的の大学を受けたことのある先輩がいればベストですが、小論文添削サービスをしているところでも、そうした体験談を知ることができます。ネットを「小論文 体験談 大学入試」で検索してみてください。
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小論文は大学入試だけではない
今回は大学入試の小論文について書きましたが、小論文は公務員や教員採用試験などにも出ます。また、小論文的な書き方をマスターしておくと、履歴書などの書き方も変わってきて、就活にも役立ちます。大学入試を始めとして、しっかりとした小論文的書き方、考え方を身につけましょう!
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