食欲の秋。
旬のおいしい食べ物がたくさんある中でも、香りが良く高価な食べ物代表は、やはり「松茸」でしょう。
どこかからいただいた場合は、嬉しいですよね。
でもその貴重さゆえに、もったいないから少しずつ長く楽しみたいと思う人も多いのではないでしょうか。
そうなると、松茸ってどのくらい持つものなの?という疑問が出てきます。
保存するなら、常温?冷蔵?はたまた、冷凍ならどのくらい持つ?
それぞれの保存方法で、どのくらい持つものなのか、また、どういった点に注意する方が良いのかを、まとめてみました。
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Contents
松茸ってキノコだから肉や魚と違って常温でもつのでは?
結論から言いますと、松茸は、常温での保存はおすすめできません。
松茸は、キノコです。
栄養学の分類的には、三色の中では緑色、6食品群では4群、つまり「体の調子をととのえるもの」に分けられます。
つまり、淡色野菜やくだものと同等に、体の調子を整えるビタミン類を含む、野菜や果物と同じ仲間になります。
スーパーなどでも、野菜類のコーナーに並んでいたりしますよね。
そのため混同されがちですが、キノコは野菜ではありません。
いわゆる「菌類」にあたるものです。
常温では「菌」が繁殖しやすいため、劣化が早まってしまいます。
野菜類の中でも、じゃがいもやにんじんなどの根菜類は常温保存で長持ちしますが、キノコ類は、水分にも温度変化にも弱いという特徴があります。
ですから、できるだけ湿度が低く低温の方がキノコには適した環境といえます。
特に松茸に関しては、香りが良いものであるがゆえに、その香りを持たせるためにも、保存する場合はちょっとした工夫が必要になってきます。
昔から使われてきたのは、新聞紙に包んで冷暗所に置くという方法です。
新聞自体に抗菌作用があるため、カビを寄せ付けづらく、内部の水分を逃さないようにしつつも外部の水分から守ってくれます。
もちろん、臭い移りもある程度防いでくれます。
これでも、1〜2日ほどは持ちますが、環境次第で劣化する速度に違いがありますので、糸をひいてきたり、少しドロッとしてきたなら、もう食べない方が良いでしょう。
現代は冷蔵庫がどの家庭にもある時代ですから、より安全に少しでも長持ちさせる方法として、下処理をしてから冷蔵庫へ入れることをおすすめします。
冷蔵庫に入れるなら、ポリ袋?
とりあえず1週間ほど持たせたいだけなら、冷蔵庫での保存が適しています。
理由は、香りが逃げるのを最小限に防ぎつつ、食感も残したまま、おいしく食べられる期間が常温よりも長いからです。
トレイやポリ袋に入っている松茸を、買ってきたままの形で冷蔵庫に入れる人も多いと思います。
しかし多少面倒でも、下処理をきっちりしてから入れた方が、安全で、香りが逃げるのを最小限に抑えられるため、おいしく食べられる期間が長くなります。
まず、下処理の方法として、松茸を軽く洗います。
キノコ類は洗わず調理できると聞いたことがある人も多いかと思いますが、これは、ブナシメジや、えのきなど、人工栽培で土など雑菌と縁が薄いキノコ類の話です。
松茸は、現時点では人工栽培が難しいため、出回っているものはほとんど天然ものです。
木の根元の土から顔を出しているものを採ってきているので、当然、土や雑菌がついたままで売られています。
このまま保存すると雑菌が繁殖してしまいますので、不必要に雑菌が増えて食中毒を起こしてしまわないようにするためにも、軽く洗っておきます。
といっても、流水でざぶざぶ洗う必要はありません。
ボールなどに水をためておき、手でこするように軽く洗うだけでかまいません。
このとき、薄めの塩水で洗うと、さらに滅菌作用があるかもしれません。
そして石づきと呼ばれる、根元の硬い、食べられない部分を包丁で削り取っておきます。
他のきのこ類は、ざっくりと根元を落としてしまいますが、大きな松茸の場合、かなりもったいない感じになってしまいますので、鉛筆を削るときのように、硬くて食べられそうもない部分のみを削り取ります。
下処理はこの2種類だけです。
洗って、削る。
下処理が終わったあとは、キッチンペーパーなどで水気をしっかり取り、ラップやキッチンペーパーでくるんだあと、ジップロックやジップロックコンテナなど、密閉できて臭い移りがしにくい容器へ入れ、冷蔵庫へ保存します。
洗うことで多少香りは飛ぶかもしれませんが、密閉容器に入れることで、それ以上の香り落ちを防ぎ、同時に他の食品からの臭い移りを予防することができます。
また、余分な水気をはじき、乾燥を防ぐ効果もあります。
冷蔵庫へ入れる場合は、できればチルドやパーシャルなど、0度に近い環境へ入れましょう。
野菜室では若干温度が高いので、劣化が早まります。
ちなみに、スーパーなどで売っているときに付けられているラップは、冷蔵庫での保存に向かないことは知っていましたか?
業務用のスーパーで使われているラップは、強度と張り付けることに重点をおかれた素材で作られているので、臭いをシャットアウトする特性が低いのです。
そのため、魚や肉なども同様なのですが、長期間保存することには向いていないのです。
買ってきてすぐに使わないものは、冷蔵庫に入れる前に、他の容器に入れたり、家庭用ラップで包みなおす方が長持ちします。
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冷凍したらどうなるの?
冷蔵では1週間しか持ちませんので、それ以上持たせたければ、3か月を目安に冷凍庫で保存しましょう。
冷蔵する場合同様、下処理をきっちりしておきます。
洗って、削る。
その後、ラップやジップロック、ジップロックコンテナへ入れて冷凍庫へ入れます。
使いたい量が決まっているのであれば、小分けにして保存しておく方が便利です。
冷凍といえば、どうしても解凍時の「ふにゃふにゃ感」が心配になりますよね。
松茸もやはり、自然解凍すると「ドリップ」と呼ばれるうまみ成分と水分が出てきてしまい、食感も香りも悪くなってしまいます。
そのため、冷凍のまま、お吸い物や炊き込みご飯、鍋物などに使う方がおいしく食べられます。
ただし、短時間で急速に、かなり低い温度で冷凍できるような、高性能の冷蔵庫をお持ちでしたら、そこはそれほど心配しなくていいかもしれません。
ドリップが出てきてしまうのはは、ゆっくり冷凍することによる細胞の破壊が原因ですから。
業務用冷凍庫などでは、急速超低温冷凍ができるので、食品の劣化を最小限にとどめることができています。
急速低温冷凍ってどんなもの?家庭では無理?
最近では、冷凍保存の品質を上げられる優れた冷蔵庫が開発されています。
三菱の「瞬冷凍」やパナソニックの「パーシャル冷凍」、シャープの「メガフリーザー」シリーズなどがそれにあたります。
急速冷凍と呼ばれる技術を使い、ドリップがほとんど出ず、味も鮮度もほぼ落とさずに、冷凍保存期間を長めに伸ばすことも可能になった優れものです。
なぜ急速冷凍を行うと、普通に家庭用冷蔵庫で冷凍するよりも劣化が少ないのでしょう。
水分の多い野菜類を冷凍すると、違いがよくわかります。試しに、葉もの野菜を1枚、凍らせてみてください。
凍らせた後に手で触ると、なんだかチクチクパリパリと、ざらつきを感じると思います。
これを常温で解凍すると、とたんに ふにゃふにゃくしゃくしゃ してきて、とても美味しそうとはいえない状態になります。
雪の結晶を思い浮かべていただくと、わかりやすいでしょう。水は凍ると「結晶」になりますね。結晶の粒は結構大きく、しかも尖っています。
この粒が、食品の細胞の中や隙間で育っていく過程で、細胞壁を壊してしまうので、解凍したときにドリップが出やすくなってしまうのです。
急速冷凍の良いところは、この氷の結晶が育って大きくなる前に、それ以上結晶化しないような状態まで持っていくことができるということです。
そのため、急速冷凍をしたものは、氷の結晶自体が小さく、細胞を壊す心配があまりないのです。
また、「過冷却」の原理を利用した保存温度にもこだわっているため、「完全に凍結していないけれど、マイナス温度で保存する」ことで、凍らせたものを包丁で切りやすい状態になっていて、解凍せずそのまま調理に使いやすくしているものもあります。
過冷却の温度帯は、−3度や、−7度です。
それ以下に下がってしまわないように調節するため、空調で工夫しているもの、液体を利用しているものなど、冷凍法の種類もいろいろあり、各社でさまざまな努力がなされています。
高機能ではない冷蔵庫でも、急速冷凍に近いことはできます。以下にご紹介するサイトでその方法が紹介されていますので、一度試してみてもよいかもしれません。
液体による熱伝導を利用した、お手製急速冷凍の方法だそうです。ただし、その後の冷凍温度の関係で、専用の冷蔵庫より劣化することが予想されます。
参照:【家庭用急速冷凍】家庭で出来る急速冷凍!!【大公開スペシャル】
業務用の冷凍庫を買わなくとも、家庭でもある程度長期にわたって美味しく保存できる方法が確立されつつあるので、これら高機能の冷蔵庫をお持ちの家庭では、美味しくてふにゃっとしていない松茸を、比較的長く、安心して楽しむことができるのです。
長くとはいっても、じわじわ劣化したり、風味が落ちたり、冷凍ヤケを完全に防ぐことはできませんので、フルーツや野菜同様、水分に弱い松茸も、できるだけ早めに消費してしまうに越したことはありません。
3ヶ月を目安に、お持ちの冷蔵庫、冷凍庫の説明書を見てどのくらいなら劣化しないかを確認してから冷凍保存するようにしましょう。
長期保存冷凍庫の価格は?
業務用となると、場所も取りますが値段もそれなりに高いものです。
安くても、40万円以上はかかるようですが、目的や容量、低温にするための機能と保温機能など、スペックによって価格も違います。
急速冷凍庫の情報を集めたポータルサイトもあるくらいですから、その種類の多さはかなりのものです。
一方、一般家庭用の冷蔵庫の場合、急速冷凍機能がついたものは一般の冷蔵庫に比べると多少高くなるとはいっても、20万円前後くらいで売られています。
安いものなら、15万円ほどでもありますので、購入を検討する余地はあるかと思います。
家庭用でも、冷凍庫だけの機能を持ったものもありますよね。
ストッカーと呼ばれたりもしますが、こちらも急速冷凍の機能が付けられているものがあります。
「レマコムの冷凍ストッカー」は、10万円以上のものが、現在Amazonでかなり安く、3万円前後で売られていたりします。
置き場所に困らないのであれば、これらと既存の冷蔵庫をうまく活用するのも一つの手段かもしれませんね。
動画による松茸の保存方法と解凍方法
これまでに紹介した保存方法や、解凍方法プラス、こんな方法も参考になります。
YouYubeでいくつかわかりやすいものを見つけましたのでご紹介します。
まずは、真空パックでの保存と下処理など
こちらのように真空パックで保存すると、さらに長持ちするようですね。
一年後でも美味しかったのだそうです。
次に、料理のプロが教えてくれる保存方法、解凍方法などです。
1〜4まであります。
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水煮してから冷凍する保存方法ですが、これも数か月は持つようです。
プロの説明なので、とてもわかりやすく信用できそうな感じがします。
冷凍松茸でも美味しい料理法
真空パックにしろ何にしろ、長期間冷凍保存したものは、解凍すれば多少は食感も香りも落ちてきますので、焼き松茸には向きません。
急速冷凍をしたのでどうしても、というのであれば試してみてもいいのですが、やはり生のものとは風味が違いますので、がっかりするかもしれません。
それよりも、思い切って松茸ご飯に大量の薄切り松茸を入れ、ふんだんに盛り付ける方が満足感があります。
松茸ごはんの素って、いくつか種類があり、売られているのをご存知ですか?
なかなか美味しいうえに手ごろなのでおすすめです。
松茸ごはんの簡単な作り方は、通常の量の水と米を入れた炊飯器の中に、松茸ご飯の素と、薄切りにした半解凍、あるいは冷凍したままの松茸を好きなだけ入れ、混ぜて炊くだけです。
冷凍したままの場合は、水の量を若干少なめにすると、お米がべちゃっとしにくく、美味しくいただけます。
半解凍の場合は、軽くしぼって水気を取るなどして、好みで水の量を調節しましょう。
また、松茸のお吸い物としては、永谷園のお吸い物が有名ですよね。
ダシにも使えるので、筆者も重宝しているのですが、これを好きな分量、鍋に入れ、好みの濃さになるように水の量を調節して沸騰させ、薄切り松茸を入れるだけで、結構本格的なお吸い物になります。
天ぷらにしても良いですし、丸ごとフライにするという大胆な方法もあります。
どちらも、半解凍するのであれば、しっかり水気を取ってから調理します。
もともと下処理をしっかりしてから冷凍保存しているのであれば、解凍せずに衣をつけ、調理することも可能です。
他にも、定番の土瓶蒸しやすき焼き、パスタに入れても美味しいですよね。
キノコ三昧の和風パスタを作ったら、いつもより少し贅沢な感じがして香りも良く、気持ちがわくわくするかもしれません。
いずれも、既に小分けにしてあるなど、切ってある状態なら凍ったままで調理する方が美味しいです。
半解凍せざるを得なかった場合は、軽く水気をしぼってから使うようにしましょう。
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まとめ
松茸は、香り高いおいしいキノコです。
菌類であるがゆえに、できるだけ低温で保存する方が、安全かつ香りも保てます。
常温保存はできるだけ避け、一週間ほどなら下処理後冷蔵庫へ。
0度に近い環境で保存しましょう。
それ以上長期となる場合は、下処理後冷凍庫へ入れましょう。
ただし、冷凍庫へ入れる場合は小分けにし、調理にすぐに使える状態まで切っておく方が良いです。
自然解凍するとうまみも香りも逃げてしまい、食感も悪くなってしまうので、冷凍のまま調理する方がおいしく食べられるからです。
お正月のお吸い物に使いたい、などの目的に合わせて、小さく割いた松茸を残しておき、香り豊かに食べられたなら、新年をより楽しく祝うことができるかもしれませんね。
以下に紹介するブログに、美味しい調理法や保存方法が掲載されていますので、ご家庭の目的に合わせて研究してみてはいかがでしょうか。
参照:なるほど情報マガジン
参照:きのこのじかん