どうして筋肉痛になるの?筋肉痛の原因とメカニズム

だれでも経験したことのある筋肉痛。

痛いし、思ったように動けないし、時には忘れたころに痛みがやってきたりして、ストレスです。。。

できれば、早く治したいですよね。原因が分かれば対応もしやすいと思うのですが、この筋肉痛の原因は、実は現在のところ医学的にははっきりと解明されていません。

医学の発達した現代でも、むかしからある痛みの原因が分からないなんて驚きですね。

はっきりとは分からないながらも、現状では3つの説があります。

筋肉痛の原因その1:疲労物質「乳酸」がたまっておこる

 

「乳酸」って聞いたことありますよね?乳酸は疲労物質だとも言われています。

本来であればきちんと代謝されるはずの乳酸が、運動により大量発生し、代謝が間に合わなくなります。その結果、たまった乳酸が筋肉を硬くし、神経を刺激して炎症や痛みを起こすとされてきました。

運動した直後に筋肉痛になることもあることから、「運動した直後は乳酸が一番たまっているだろう」として以前は有力説とされてきました。しかし、運動後すぐに乳酸量が減ってくることもあり、運動後数時間から1~2日後に現れる筋肉痛の原因としてはつじつまが合わないとして、近年これは間違いであるという説も増えています。

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そもそも乳酸って必要なの?

 

乳酸=疲労物質=要らないものだ!

というイメージを持たれている方もいるかもしれません。

ですが、実は乳酸の本来の役割は脳神経の貴重なエネルギー元なのです。

最近、「乳酸除去サプリ」などがありますが、これらは乳酸を「除去する」というよりは、乳酸の代謝を促して筋肉の酸化を防ぎ疲労を防ぐという性質のもののようです。

乳酸にもメリットがあるのです。

 

筋肉痛の原因その2:筋繊維の損傷による炎症でおこる

出典:ストレッチポール©

筋肉は、「筋繊維(きんせんい)」と呼ばれる細い糸のような繊維の集合体です。その筋線維がたくさん集まって束になり、「筋膜(きんまく)」と呼ばれる膜に包まれています。筋膜につつまれた筋繊維がさらにたくさん集まったのが筋肉です。

激しい運動など、筋肉への負荷がかかることによって、この筋繊維が損傷します。

ところが、痛みを感じる痛覚は筋膜にあり、筋繊維には痛覚が無いので、これだけでは筋肉痛は発生しません。ですが、筋繊維の損傷により炎症が起こり、白血球が集まります。

「傷は白血球が治す」と聞いたことがありませんか?白血球が損傷を修復する際に発生させる物質が痛みと腫れを引き起こします。

筋繊維が損傷し、白血球が修復作業をする過程で発生する発痛物質が痛みと腫れを引き起こすので、筋肉痛が発生するまで時間がかかることもつじつまが合います。

近年ではこの説が有力とされています。

 

筋肉痛の原因その3:ブラジキニン(BK)・神経成長因子(NGF)のはたらきでおこる

 

筋肉痛を感じている動物を調べると、筋肉に損傷や炎症反応が見られないケースが多くあることが分かりました。その代りに、ブラジキニン(BK)、神経成長因子(NGF)と言われる物質の発現増加が見られたというのです。

ブラジキニンとは、強力な発痛物質で、筋肉の伸張性収縮に発して分泌されるというのです。その結果、神経成長因子が痛覚を過敏にし、軽度の圧迫や筋収縮でも過敏に反応し痛みが生じます。

この神経成長因子はそれだけを投与すると、筋肉痛のような痛みを感じることも分かっています。

参照:痛みと鎮痛の基礎知識

 

筋肉痛の発生原因は一つとは限らず、いくつかの原因が組み合わさっていたり、また別々のケースで発生していることも考えられるので、原因の一つと考えておくといいです。

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どうして時間が経ってから痛くなるの?二日後に痛くなるのは年齢のせい?

「今頃痛くなるなんて・・・」ってそんなときありますよね(苦笑)

筋肉痛が発生するメカニズムを説明しましたが、いずれの説においても、運動などによる筋肉の負荷(収縮や伸長)により何らかの物質が発生し、それらが作用して痛みを生じさせるということが考えられています。

この作用するまでの時間が、運動から痛みが発生するまでのタイムラグなのですね。

決して年齢に関係するものではないのです。若い方でも、老人でも同じように起こる現象です。

 

スッキリ!筋肉痛を早く治す方法

 

辛い筋肉痛の痛みには、即効性のある治し方が知りたいところです。

筋肉痛の発生原因から考えると、治し方として考えなければならないのは以下の2点です。

・痛み物質の発生原因となる筋繊維の回復
・痛みの原因である発痛物質を散らす

これらを効果的に行う方法を見てみましょう。

 

筋肉痛の治し方1:炎症を取る

まずは炎症している部分を冷やしてあげることにより炎症を鎮めます。
炎症が収まると、発痛物質を誘引する白血球の集まりも弱くなります。

 

筋肉痛の治し方2:筋繊維を作る栄養素を摂取する

基本的には全体バランスの良い食事が原則です。
食品やサプリメントなどを上手につかって、効率よく栄養素を摂取しましょう。

●タンパク質

筋肉の素となるタンパク質は筋繊維のダメージ回復に有効です。
・牛肉、豚肉、鶏肉、魚介類、卵、大豆製品、胡麻など

●ビタミンB1やビタミンB6

せっかく摂取したタンパク質を有効利用して筋繊維修復を促します。
アミノ酸生成にも関係しているので、美肌効果もあります
・豚肉、ウナギ、ナッツ、豚レバー、牛レバー、魚の赤身、鶏レバーなど

●ビタミンCやビタミンE

ビタミンCとビタミンEは血行促進効果があり、筋繊維の回復に必要な栄養素や酸素を送ります。
・ブロッコリー、レモン、柿、キウイフルーツ、ナッツ類、大豆、かぼちゃなど

 

筋肉痛の治し方3:血行を促進する

血行を促進することで、筋繊維を作る栄養素と酸素を筋繊維へ届けます。

●入浴する

炎症が起こってすぐに温めるのはよくありませんが、運動をしてから2~3日経過を目安に、ぬるま湯につかって血行を促進することは効果的です。

●ストレッチや軽い運動

ウォーキングや水泳(水中歩行)などの有酸素運動やストレッチをしてからだをほぐします。

『筋肉痛ストレッチ・お困りの方は試してほしいストレッチ5選』に筋肉痛の時に試してほしいストレッチが紹介されています。是非参考にしてみてください。

 

筋肉痛の治し方4:睡眠をとる

ヒトの体は眠っているときに成長ホルモンが分泌され、疲労回復や損傷修復を促します。

また、午後22時~午前2時までの間に睡眠をとると最も成長ホルモンが分泌されると言いますから、この時間帯に眠ることは早く筋肉痛を治すのに効果的です。

 

筋肉痛の治し方5:医薬品を使う

筋肉痛の痛みが激しいときは、医薬品を上手に使って痛みをやわらげます。

例えば、冷却シップやモーラスなどの貼付薬や、ロキソニンやバファリンなどの経口薬を使います。ロキソニンやバファリンなどの経口薬は発痛物質の生成を抑える効果があるため、早めに使うと筋肉痛の予防にも効果があります。

その他ハーブの一種のアルニカエキスも抗炎症や血行促進などに効果があるといわれます。ハーブなので人体への影響も少ないと考えられており、マッサージをする際に使ってみてはいかがでしょうか。

 

筋肉痛を防ぐには?予防法

 

そもそも筋肉痛にならないように気を付けるといいポイントはあるのでしょうか?

筋肉痛になりやすい動作を意識

そもそもヒトの運動には3種類あると言われています。

 

①アイソメトリック(等尺性運動)

筋肉の動きが無く力をかける運動。腕相撲や握力計を握るような運動。

②エキセントリック(伸張性運動)

筋肉を伸ばしながら力をかける運動。重いものをおろしたり、階段を降りるような運動。

③コンセントリック(短縮性運動)

筋肉を縮めながら力をかける運動。バーベルを持ち上げたり、階段を上ったりするような運動。

 

これらのうち、もっとも筋肉痛を起こしやすいのは、②エキセントリック(伸張性運動)と言われています。筋肉が引き伸ばされながら力を出すことで、筋線維の損傷がもっとも激しくなるからです。

「階段を上るよりも下る方が筋肉痛になりやすい」と聞いたことがありませんか?それは階段を降りるという運動がエキセントリック運動だからです。

これらの運動を行う時はゆっくりと行うのがポイント!そうすることでなるべく筋肉が完全に伸びきらないようにします。

 

運動前後のストレッチ

ストレッチはけがの予防や筋肉痛の予防に効果的。

かたまったままの筋肉を温めて柔らかく動かせるようにし、あらかじめ伸ばしておくことで筋肉痛の発生を防ぎます。

 

運動後のアイシング

運動後、温度の上昇した筋肉の炎症を周囲の細胞に広がることを防ぎます。炎症が早くおさまれば、発痛物質の分泌も少なくてすみます。

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あまり長時間するのではなく、皮膚の感覚がなくなったなと思ったらやめ、感覚が戻ったら再開するというのを2~3回繰り返すのが効果的と言われています。

 

運動中の水分補給

 

運動すると汗をかき、筋肉の活動に大切な水分やビタミン・ミネラルが失われてしまいます。水分をこまめに補給し、代謝を促すことで筋肉痛を予防します。

 

日頃から軽い運動をこころがける

筋肉痛は普段使っていない筋肉を使ったりすると起きやすくなります。突然運動したら筋肉痛になりますよね。普段から運動をこころがけて筋肉を鍛えておくと筋肉痛の予防になります。

 

筋肉痛になると筋肉が増えるって聞いたけど・・・?超回復

損傷した筋繊維が修復されると、損傷する前よりも少しだけ太くなります。これを「超回復」と言います。この「超回復」を繰り返していくと、太くて強い筋肉が作られるというわけです。

この仕組みを利用して、効果的に筋力トレーニングを行うことができます。

そのため、もしも筋肉量を増やしたいのであれば、筋繊維の損傷→回復を繰り返すことがよいとされています。つまり、運動をするだけではなく、運動をしたら休息をとる、ということも必要になります。

がむしゃらに運動しても、筋トレにならないんですね。

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まとめ

 

これから温かくなると体を動かしたくなります。

筋肉痛予防のポイントをおさえて筋肉痛にならないようにすることと、なってしまったら早めに冷やすなどの対応をすることで早く治せます。

そもそも、日頃からバランスのよい食事を心がけ、運動をしてからだづくりを一番!のようですね。

 

 

 

 


 

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