働いているひとも、これから働こうとしているひとも、自分が頑張って働き続けた後にもらえる「退職金」は大切なものですよね。老後の生活をゆとりのあるものにするために、退職金を充てたいと考えているひとも多いのではないでしょうか。
そこで、ちょっと気に掛かるのが、自分が働いている会社、これから働こうとしている会社の退職金が、ほかの会社と比べてどうなのかということ。
民間企業の退職金の相場を含め、最新の定年退職金事情を紹介していきます。
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Contents
えっ、退職金って必ずもらえるわけではないの!
厚生労働省が、民間企業の就労条件などをまとめている「就労条件総合調査」で、5年ごとに実施している退職給付に関する調査結果の最新版となる平成25年度の結果で、「退職給付(一時金・年金)制度がある」と回答した企業は、有効回答のあった4211企業の75.5%にとどまり、4社に1社が退職金を支払う制度そのものがないことが分かりました。
ちなみに、「退職給付制度がある」と答えた企業は、平成20年度が83.9%、平成15年度は86.7%となっており、年を追うごとに、退職給付制度を設けている企業が少なくなってきていることが分かります。
(参照:厚生労働省「就労条件総合調査」)
民間企業の退職金の平均給付額は?
それでは、同じ厚生労働省の「平成25年就労条件総合調査」で、退職金の平均給付額がどのくらいになっているのかを見ていきましょう。
調査は、勤続20年以上で45歳以上の定年退職者を基に行い、給付額は退職一時金と退職年金制度の原価額を合わせた金額になっています。気になる退職金の給付額ですが、調査した企業全体の大卒で「管理・事務・技術職」の1人平均の退職給付額は、1,941万円でした。
勤続年数ごとに見ると、35年以上で2,156万円、30~34年で1,856万円、25~29年で1,083万円、20~24年で826万円。
国家公務員の平成27年度の常勤職員定年退職者の平均退職手当は2,181万3千円となっているので、比較するとやや少ないものの、ほぼ同じぐらいの退職金が給付されていることが分かります。
(参照:厚生労働省「就労条件総合調査」)
(参照:内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」)
民間企業の学歴別、職種別の退職金給付額は?
それでは、もうちょっと深掘りして、学歴や職種別の退職金給付額も見ていきましょう。データはこれまでと同じ厚生労働省の「平成25年就労総合調査」です。給付額は「勤続35年以上」のデータで比較します。
- 大卒の管理・事務・技術職:2,156万円
- 高卒の管理・事務・技術職:1,965万円
- 高卒の現業職:1,484万円
- 中卒の現業職:1,445万円
引用元:厚生労働省「就労条件総合調査」
やっぱりというか、学歴によって退職金の給付額にも違いがあるんですね。
民間企業の企業規模別の退職金給付額は?
続いて、企業の規模ごとの退職金給付額も調べてみましょう。データは厚生労働省の「平成25年就労総合調査」で「大卒の管理・事務・技術職」で「勤続35年以上」のデータで比較します。
- 全企業の平均:2,156万円
- 企業規模1,000人以上:2,417万円
- 企業規模300~999人:1,985万円
- 企業規模100~299人:1,383万円
- 企業規模30~99人:1,729万円
引用元:厚生労働省「就労条件総合調査」
企業規模が大きいほど、退職金の給付額が多い傾向にありますが、企業規模100~299人よりも、企業規模30~99人の会社の方が、退職金給付額が多いということがちょっとびっくりしますね。ただし、退職給付制度がある企業を企業規模別にみると、企業規模1,000人以上が93.6%、300~999人が83.8%、100~299人が82.0%、30~99人が72.0%と、企業規模が小さくなるほど、退職金の給付制度がない企業が増えるので、給付金額だけで「いっそ小さい企業の方が退職金は良い」と考えるのは早計です。
産業別で退職金の給付に差はあるの?
それでは、次に産業別で退職金の給付に差があるのか、厚生労働省の「平成25年就労総合調査」の退職金給付制度の有無の形態別割合で見てみます。
退職金給付制度を設けている割合が90%を越えているのは、鉱業、採石業、砂利採取業(91.0%)、建設業(91.5%)、電気・ガス・熱供給・水道業(96.3%)の四つ。金融業、保険業(89.2%)、製造業(86.6%)、卸売業、小売業(82.3%)と続きます。
逆に、退職金給付制度を設けている割合が少なかったのは、医療、福祉(50.1%)、宿泊業、飲食サービス業(52.6%)、生活関連サービス業、娯楽業(53.0%)でした。
企業規模にもよりますが、産業ごとによっても退職金給付制度に関する取り組みに差があることが分かります。
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外資系企業にも退職金があるの?
外国の企業には、そもそも終身雇用制度という概念がないことから、国内にある外資系企業も退職金給付制度がないと思われがちですが、データはやや古いですが経済産業省が平成11年に公表した「外資系企業の経営方針及び事業活動の評価」で外資系企業460社にアンケートしたところ、退職金制度の採用について「管理職、一般職ともに採用している」と回答した企業が70.8%に上っており、何らかの形で退職金制度を設けている企業が多いことが分かりました。
(参照:経済産業省「外資系企業の経営方針及び事業活動の評価」)
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※シルバー人材センターで働くってどういうこと?どんな仕事ができるの?
気になるみんなの退職金の使い道は?
最後に、みんなの退職金の使い道についても覗いてしまいましょう。
2016年1月にICCパートナーズが全国の20~50代の会社員1,000人に「退職金・企業年金の用途として想定するものを複数回答で選んでもらったアンケート結果によると、1位が「老後の必要資金」で82.7%、2位が「住宅ローン等のための返済の資金」で20.7%、3位が「資産運用の元手」で17.6%、4位が「転職活動中の必要資金」で14.8%、「老後のボーナス」と回答したのは5番目で14.6%でした。
退職金は現役世代にとっても「ゆとりある生活を送るための資金」というよりも、老後の生活にとって欠かせない必要資金となっているようです。
(参照:ICCパートナーズ)