生米は冷凍庫で保存したらどうなる?

米の保存方法って、常温が当たり前でしょう!と考えていたのは昔の話。
今では、冷暗所があまりない家庭では、冷蔵庫が主流といってもいいかもしれません。

であれば、冷凍庫はどうなの?長期保存できそうじゃない?
と考えるのも、自然な流れですよね。

とはいえ、気になるのは、まずくなってしまうのか、健康を害するような物体になってしまうのかというところでしょうか。
冷凍保存が効かないといえば、じゃがいもやキュウリに代表される野菜類の一部。
では、お米はどんな感じになるのでしょう。
気になる点をまとめてみました。

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お米に最適な条件とは

生米は冷凍庫で保存したらどうなる?
お米は、分類的には穀物です。
つまり、野菜類同様、植物でもあります。
植物は、収穫された後も生きていて呼吸をしています。
鮮度を保つためには、できるだけ温度が一定で、低めの温度が良いのは皆さんご存知の通りです。

それに加えて、米の場合は、お米によくつく虫がいますよね。
成虫になると羽が生えて飛んでいく、あれです。
その虫が活動したり、卵を産んだりしないよう、冬眠させるためには、低温が条件になってきます。

お米は、乾燥しているようで結構水分も含まれていますので、湿度も重要です。
乾燥しすぎると、ヒビが入ったり欠けたりする原因になります。
つまり、低めの温度(冷蔵庫など)で、適度に湿度があり、けれど酸化と臭い移りを防ぐために空気にはできるだけ触れない場所というものが、保存には最適になってきます。

じゃあ、冷凍庫ってだめなの?


最適な環境というのは、当然、美味しく保つための条件でもあります。
美味しさを確保するためには、鮮度、つまりみずみずしい状態をいかに保存するか、がポイントになってくるでしょう。

じゃがいもやキュウリは、水分量が多いため、冷凍庫に入れると、解凍したあとスカスカになってしまったり、ぐにゃぐにゃになるなど、かなりの変質をしてしまいます。
お米はどうかというと、見た目は変わりません。
ただ、水分は含まれているため、凍りつくと水の体積が大きくなり、結果として周りの細胞に影響し、食感が落ちたり、炊いたときに柔らかめになるなどの影響が出ることが懸念されます。

お米マイスターと呼ばれる、違いのわかる人々でも、この部分については意見が分かれているようで、まったく影響なく細胞も壊されている感じがしないとする人と、やはり柔らかくなってしまって味も落ちるという人がいます。

冷凍庫でも保存可能かな?

お米に関しては、「水」がポイントになってきます。

冷凍するときはペットボトルやタッパー、ジップロックなどの密閉容器に移し替えておけば、空気に触れる部分は少なくなります。
当然、それによって臭い移りもしづらいですし、冷凍ということは低い温度なのは間違いありませんから、美味しく鮮度を保つ条件的にもほぼ合致します。

お米に含まれる水分が凍って起こる細胞破壊については、水分が少ないことと、お米マイスターですら意見が分かれるところをみても、一般人にはほぼ問題ないレベルではないかと推測されます。

ただ、解凍するときや、冷凍庫から出して使うときは充分に気を使わなくては、お米が美味しくなくなるだけでなく、劣化してしまう原因になりかねません。
問題は、低い温度から室温へ出したときに起こる結露です。
空気中の水分が、お米に「水」の形でついてしまうと、それがその後、室温保存を行う場合はカビの原因にもなります。
必要量だけ出して残りをしまうとき、再冷凍してしまうと味も落ちますし、細胞がボロボロに劣化してしまうことでしょう。

そのため、冷凍庫に保存する場合は、出したときに使いきれる量に小分けにして保存する必要があります。

冷蔵庫VS冷凍庫

冷凍庫でもさほど問題なく保管できそうだとわかりました。
次に、冷蔵庫と冷凍庫で保存する場合の利点と欠点、違いについて徹底的に比較してみました。

炊飯したときの味

  • 冷凍庫
    買ったときとほぼ同じ味を保つことができるが、解凍してから炊飯してしまうと味が落ちる場合もあり
  • 冷蔵庫
    買ったときとほぼ同じ味を保つことができる

保存できる期間

【どちらも、かなりの期間保存できる】

通常、玄米なら長期保存が可能なので1〜3年経ったものでも、古米、古古米として普通に食べられます。
精米したお米は劣化が早いとはいえ、冷蔵庫や冷凍庫で低温保存し、臭い移りがなく、空気や水分をできうる限りシャットアウトできた環境で保存できるのであれば、もともと水分含有量の少ない生米は腐りにくいので、いつまで経っても食べることはできます。

おそらく、食べられないと判断するときは、目に見えて色が変わっている(カビなどの菌の繁殖)、冷凍ヤケで見るからに炊いても食べられなさそうな状態、あるいは美味しくなさそうに見える場合、なんらかの原因で臭いが移ってしまって食べたくない、などの「明らかに異常が感じられた状態」になったときでしょう。
これは、果物や野菜などと一緒ですね。
美味しい期間(賞味期限)と、腐って、食べたら体に支障が出かねないレベルまでの期間(消費期限)は違うのですが、保存状態に左右されるため、一定の期間を表示できないのと一緒です。

ただ、お米の賞味期限は一応あります。
長期間保存すると、酸化などで味や風味の劣化は防げませんので、粘りがなくなってきたり、甘みが最初程は感じられなくなるのが、夏は1か月、冬で2か月といわれています。

なので、冷凍庫も冷蔵庫もどちらにしろ保存容器がしっかりしていれば、長期間食べられる状態ではあり、さほど違いはないと思われます。

保存時の手間

【どちらも変わりなし】

これはもう、冷蔵庫と冷凍庫の容量と、一回の使う量と保存容器次第です。

お米の専用ストッカーとして、冷蔵庫専用の保存容器も売られています。
それなりに多くの量を一度に保存できるので、こういったものを使う場合はさほど手間ではありません。
ジップロックなどの保存用袋を利用する場合は、小分けにしなくてはなりませんので、手間となります。

結果、冷蔵庫でも冷凍庫でもさほど変わりない、ということになります。

炊飯するときの使い勝手

【どちらも変わりなし】

冷凍庫から出して、解凍なしで炊飯できますので、常温保存や冷蔵保存と同じく手間はほぼありません。

劣化のリスク

  • 冷凍庫
    冷凍ヤケ、臭い移り、酸化、乾燥
  • 冷蔵庫
    カビ、臭い移り、酸化、乾燥

保存容器が優れていれば、臭い移り、酸化、乾燥はほぼ防げますが、100%防げるわけではありません。
ただ、それにプラスして、温度や湿度の違いで冷蔵庫ではカビが発生する可能性も0ではありませんし、冷凍庫では冷凍ヤケを起こしてしまう可能性があります。

どちらもリスクとしては優劣をつけがたい感じです。

結局、冷凍庫、冷蔵庫のどちらで保存する方が良いのかというと、優劣つけがたいイメージになりました。
ただ、温度変化が少ない方が食品にとっては味や鮮度が保てるということもありますので、味の点では若干冷蔵庫の方に軍配があがるかもしれませんね。

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今どきの冷凍庫事情

現在では冷蔵庫も進化しており、三菱のパーシャル冷蔵庫に代表される、過冷却の原理を利用した鮮度を保てるスペースがある冷蔵庫も存在します。

また、急速冷凍できる冷凍庫を持つ冷蔵庫も、複数出てきています。

「急速冷凍」という言葉もメジャーになりつつあるので聞いたことがあるかもしれませんが、業務用では、今や急速冷凍は当たり前の時代になりつつあります。
一気に素早くカチコチに冷凍し、かなり低い温度まで持っていくことで鮮度を保てるだけでなく、食品の水分が結晶化するときに起こる細胞破壊を最小に抑えることで、解凍時にうまみ成分が流れ出てしまわないようにできるのです。

遠洋マグロ漁などでは必須のこの技術、最近では家庭用の冷蔵庫にも応用されています。

こういった高機能の冷凍機能を持つ冷蔵庫は、一般家庭用のものだと、通常のものより1.5〜3倍ほどの値段で売り出されています。

美味しさを長持ちさせたい、劣化が心配!という方は、ぜひこういった便利家電を利用してみましょう。

ちなみに、徹底的に美味しさと鮮度を持続させたいのだという方は、真空パックにできる機械も家庭用に売られています。
真空パックに詰めて急速冷凍で冷凍保存すれば、半永久的に美味しさが持続できるかも?しれません。

また、冷凍庫だけ機能を持ったストッカーと呼ばれる保存箱もありますが、こちらも、急速冷凍の機能を持ったものが売られています。
鮮度保つ冷凍庫で保存用として使うのであれば、大量の物がある場合は最適かもしれません。
大きさにもよりますが、値段も安い物なら2〜3万円からありますので、置き場所に困らないようでしたら購入も検討してみてはいかがでしょうか。

生米って食べたらどうなるの?体への影響は?

硬い生の米を、1粒2粒食べてみた経験のある人も、いらっしゃるのではないでしょうか。

昔から、下痢をすることがあるのでやめた方が良いとされているのですが、実際には、下痢をしない人もいるようです。

生米の硬い食感が、一度食べたらやめられなくなってそのまま続けてしまうという方も、中にはいらっしゃるようです。

こういった方の中には、「鉄欠乏症性貧血」という状態が隠れていて、それが原因で「異常食」を起こしてしまう原因になっていることもあるようです。

なぜか鉄不足になると、硬い物をかじりたくなるのだそうで、生米に限らず、鉛筆、本、せんべいなどが欲しくなってくるようです。

同時に、ストレスなどをかかえていると、精神的な安息を求めるため、ついつい生米を齧ることが中毒化することもあるようですので、注意が必要です。

では、問題の体への影響ですが、お米は、硬く消化がされにくいのは、皆さんご存知の通りです。
そのため、なかなか胃から先へ進まず、胃もたれが起こりやすくなります。
腸ではほとんど吸収されず、カロリーとしても効果があまり期待できないので、非常食としてはともかく、栄養としては効率が悪く、もったいない食べ方といえると思います。

また、当然硬いものなので、齧る時に歯がダメージを受けます。

若いときならまだしも、40代からは歯周病もほとんどの人が患っているといわれている現代では、あまり硬い物ばかり齧っていると歯にも歯茎にも悪い影響が出てきます。

保存状態の良い米なら、洗って食べれば胃もたれ以外にはほとんど影響は表れませんが、保存状態が悪ければ、目に見えにくいカビなどが原因でおなかを壊したり、病気になる可能性もあるでしょう。

食品は、可能な限りは美味しく効率よく吸収できる形で摂取したいものです。
生米は、できるだけ食べないようにしましょう。
ついつい癖になってしまうかもしれません。

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もし癖になってしまったとしても、体にそれほど影響が出ていないのであれば、特に気にせず、まずはストレスを減らしたり、他のことで体調を改善していくことで止める方向へ持っていくことができます。

美味しいものを美味しい状態で食べられるように、ポジティブに楽しい、新しい食べ方を研究してみても良いかもしれません。
その場合はぜひ、お米の保管方法にもこだわってみてくださいね。

参照:生米を食べることについて

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まとめ

生米は冷凍庫で保存したらどうなる?
どうしても冷凍庫に保存したいと考える人は、おそらく、大量に米があり、冷蔵庫に入りきらなくて困っている人か、なんらかの理由で虫の心配をせず、長期保存したい人ではないでしょうか。

大量にある場合は、小分けにするのは面倒なのですが、その手間を惜しんでしまうと、確かにお米は冷凍することにより劣化し、味も悪くなるでしょう。
しっかり1回で使いきれる量の容器に小分けにし、空気に触れない工夫をして冷凍すれば、長期間保存できます。

絶対に止めたいのは、買ってきた精米の袋のまま冷凍することと、ペットボトル等他の容器に移して冷凍したものを、一旦出して少し使ったあと、残りを再度冷凍する行為です。

買ってきた袋には小さな穴が開いていて、臭い移りの原因にもなりますし、再冷凍は、どんな冷凍食品でも、してほしくない注意事項ナンバーワンの勢いで説明書に書いてあります。
結露により変質してしまう一番の原因なので、その点に注意して、適切に保存できるのであれば、最近の冷凍庫はかなり高機能になってきていますので、美味しさそのままに冷凍することも可能だと思われます。

もちろん、敏感な人は、解凍後の柔らかさが違う等、異質さを感じるかもしれませんが、一度試してみるくらいの価値はあるでしょう。

大量のお米がある場合、小分けにするのは本当に手間なのですが、美味しさと安全を考えると、一日かけて分ける、くらいの心意気があっても良いのかもしれません。
そうすることにより、長期間の保存が可能になり、虫やカビによる被害を心配することがなくなります。

ただし、美味しさを追求したい方は、一般的な冷凍庫よりは冷蔵庫の方が条件には合うことを念頭に置き、とりあえず一度少ない量で冷凍保存を試してから、判断される方が良いでしょう。
高機能冷蔵庫をお持ちなら、冷凍庫の方が良いかもしれません。

人それぞれに事情は違いますので、どの保存方法が最高!と簡単にはいえませんが、いつまでも美味しいお米を食べたいという気持ちを大事にして、研究してみてはいかがでしょう。

参照:溝の口のお米マイスター・関屋精米店
お米マイスター通信
お米やご飯を冷凍庫で保存しても大丈夫?おいしさを保つ2つのコツ
きになるきにする


 

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