数年前にニュースになり、「駆け込み退職」という言葉も記憶に残っている方は多いのではないでしょうか。
ワークライフバランスが叫ばれ、教員も自分の生活とのバランスを考える時代になってきています。
自分の退職金がいくらくらいになるのか?今後の生活はどうすれば良いか?
気になる所はいくつもあると思いますが、ざっくりと、全国の退職金の平均ってどのくらいなのか、見てみましょう。
Contents
教員の退職金の平均額は都道府県で違う?
教員退職金の平均額は都会ほど低いかも
教員と一口に言っても、下は幼稚園、こども園教員から上は大学教員まで、様々な人がいます。
また、その立場も、校長から平教師まで、様々です。
公立と私立の違いもありますし、しかも学校の種類によってこの割合が変わります。
文部科学省が2017/5/1時点の学校の状況を調べた「学校基本調査-平成29年度結果の概要-(http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1388914.htm)」というページがあります。その資料によると、小学校の場合、国立を除いた全20,025校中19,794校が公立で、残りが私立です。割合で言うと実に99%が公立なのです。私立の小学校はかなり珍しいのですね。これが中学校だと10,254校中9,479校が公立で92%、高校は4,892校中3,571校なので73%。こういうところまで考えると、なかなか退職金の細かな平均額算出は難しいのです。
とは言え、小学校、中学校、高校と合わせると、全体の93%が公立であることを考えると、公立の退職金平均だけでもある程度状況が見えてきそうです。
公立の場合は算出方法が条例で定められているため、比較的想像しやすいのもあり、それなりに信ぴょう性の高いデータがあちこちに載っています。
興味深いのは、都会の方が給与が高そうに感じるのですが、教員に限っては、意外と低いという事です。
兵庫県、香川県あたりが高く、東京、大阪はワースト10に入るほどの低さ・・・といっても、退職金平均で2〜300万ほどの差になります。
教員の平均退職金が私立公立都道府県で違う理由
公立と私立での学力や教育の力の差が都会と地方とで違っているのも理由の一つかもしれません。
あるいは、都会の方が私立の学校の割合が多いせいもあるかもしれません。
退職金は、公立が条例で定めてあるのに対し、私立は就業規則で決まっています。
たとえば東京都であれば、「職員の退職手当に関する条例」に基づいて算出された金額で退職金が決定します。
私立の場合には、給与を高めに設定しており退職金制度がない、というところもあり、その基準はその学校の就業規則によって制定されています。
また、都道府県平均よりも、市町村の方が退職金の平均が高い、という地域も多く存在します。
これは公立といえども統一された基準がなく、都道府県や市区町村といった自治体ごとに条例で定めている自由度の結果とみることもできます。
退職金が高いから教育熱心、とは限りませんが、地域による教育への力の入れ方も少しは額に影響を与えているのかもしれませんね。
退職金平均額は実際どのくらいか
都道府県別退職金平均額の実際
総務省の「給与・定員等の調査結果等(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/teiin-kyuuyo02.html)」というページに、「退職手当の支給状況」という項目があります。そこで教育公務員の都道府県別平均退職金を見たら、2017年の都道府県別60歳定年退職者の平均支給額のベスト10はこんな風になっていました。
【60歳定年退職者の平均退職金ベスト10】
三重県 23,962,000円
静岡県 23,833,000円
福島県 23,791,000円
兵庫県 23,788,000円
大阪府 23,781,000円
神奈川県 23,780,000円
岡山県 23,730,000円
愛知県 23,727,000円
富山県 23,711,000円
京都府 23,623,000円
さて、日本の首都である東京都はいったいどこにいるのでしょう。東京都の順位は下から数えたほうが早く、下から12番目に位置していました。東京都の60歳定年退職者の平均退職金は23,125,000円です。ただ、順位こそ下なものの、1位の三重県と比べて83万7,000円しか違いません。定年退職した場合には、それほど都道府県での差がないようです。
一方、これが早期退職を含む、すべての退職者の平均退職金だと、まるっきり違う面が見えてきます。先程のベスト10の都道府県について、その順番のまま、退職者全員の平均額を並べてみましょう。
三重県 4,473,000円
静岡県 21,146,000円
福島県 5,713,000円
兵庫県 16,508,000円
大阪府 19,783,000円
神奈川県 19,858,000円
岡山県 5,506,000円
愛知県 9,156,000円
富山県 6,713,000円
京都府 4,947,000円
さて、この資料をいったいどう読めばいいのでしょう。静岡県や大阪府、兵庫県は、早期退職者に有利なのでしょうか。それともこれらの地域では、途中で辞める教員がそもそも少ないのでしょうか。都道府県ごとの平均勤務年数というデータは見つからなかったので、ここは残念ながらどちらか分かりませんでした。
教育公務員の退職金の全国平均
先程の資料から、定年で退職した場合の全国平均は23,272,5745円となりますが、早期退職まで含めた平均となると11,386,766円と、かなり下がります。ちなみにこの額は、一般的な企業と比べてどうなのでしょう。
東京都産業労働局が「中小企業の賃金・退職金事情」という資料を公開しています。2017年版の資料(http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/toukei/koyou/chingin/h28/)で、大学卒の人が東京都の中小企業に勤めた場合、定年でどれくらい退職金をもらえるか調べたら、11,389,000円でした。教育公務員の定年退職と比べてかなり低く、早期退職まで含めた平均と同じくらいです。とりあえず、教員を始めたからには、定年まで頑張ったほうが良さそうですね。
公立でも小中高の違いや役職で異なる
少し具体的な支給率を紹介してみましょう。定年退職者とすべての退職者の退職金を比べたときに興味深い内容となった、三重県からまず行きます。勤続年数が10、20、35年で、それぞれ自己都合と定年退職するときの支給率を並べてみました。
10年 5.22 8.7
20年 20.445 25.55625
35年 41.325 49.59
最大8.3%程度の違いがあります。これが他と比べてどうなのかを知るため、次に、定年退職者と退職者全員の退職金平均はそれほど変わらなかった、大阪府がどうなっているのか見てみました。しかし、その支給率は三重県と全く同じです。支給率は都道府県が違っても揃えているのでしょうか。そう思いながらも、少し遠い地域、宮城県の支給率を見てみたら、やはり同じでした。
地方公務員の退職金制度は、総務省が国家公務員退職手当法に準じるように指導しているので、すべての都道府県がそうとは言えませんが、割と支給率を揃えているようです。参考までに国立の学校に勤めている場合は、こうなります。
10年 6.0 10.0
20年 23.5 30.55
35年 47.5 59.28
国のほうが自己都合により厳しいようです。とは言っても、すべて地方公務員の支給率より高いのですね。
地方公務員の支給率は、各都道府県の条例で定められていますので、一度ご自身の行政のホームページ等で確認してみましょう。
私立の場合は、やはり残念ながらそれぞれの経営者が設定する事になりますので詳しくは聞いてみないとわからないのですが、一般企業同様と考えると、自己都合と定年退職での計算方法は変えられている可能性が高いです。
公務員にも失業手当がある?!
定年退職であればそれほど考えることもありませんが、自己都合で退職したといった場合、往々にして困るのが次の職とも言えます。
一般的なサラリーマンであれば、退職するとなれば当然次の職のことは考えますが、そうは言っても状況次第では失業手当というものに頼る必要がでてくるわけです。
私立校の教師も実態としてはサラリーマンですよね。
その場合にも失業手当というものが存在します。
しかし雇用保険の適用を受けない公立の先生たち。
彼らが定年を待たずして退職しようというときにはどうなってしまうんでしょう。
雇用保険の適用をうけないために、一般のサラリーマンなどと違い失業手当というものが存在しない、地方公務員である公立の教師という職業。
しかしそこにはキチンと救済措置があるようです。
退職時には退職金が支給される、ここまでは定年であれそれ以前の退職であれ同じこと。
ただ定年を待たずしてという場合の退職金について、その金額が雇用保険の失業手当に相当する額に満たない場合。
これは困りますよね。
その場合に関しては、退職後一定の期間失業(求職活動中)という条件はつきますが、退職金と失業手当相当額との差分が退職手当として支給されることになっています。
退職金計算はその後の生活設計を立てやすい
学校事務を経験されている方は計算方法など、すぐにわかるとは思いますが、仕事に熱心な反面、割と自分の給与については無頓着な先生方も多いようで、どのように計算するかわからない方も多いようです。
退職後の生活設計を考えるうえで、退職金計算は重要なものとなります。
それほど難しい算出方法ではありませんし、わからない場合は役所や経理担当の人に聞くという手段もあります。
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勤続年数が多いほど、たくさんもらえる事は間違いありませんが、ご自身の状態と次の生活への切り替え時期を見極めるためにも、一度はしっかりと考える時間も必要かもしれませんね。
最後に、退職金と同様、老後の生活を考える際に重要となるのが「保険」です。
私たちは、生命保険や医療保険に、自宅の火災保険など、実は、いろいろと「保険」に加入しています。
これらが、契約当初からそのままで一度も見直しをしてないようでしたら、この機会に、見直しを検討してみるのがおすすめです。時間が経てば、年齢に応じて必要なものも変わってきますので、いろいろとお得になるケースも多いようです。
最近では、FP(ファイナンシャルプランナー)と言われる保険のプロの方に、気軽に相談できます。他の家庭や同じような年代の人と比べて我が家はどうなのか?などアドバイスをもらえることもあるので、興味がある方は一度相談してみるといいでしょう。
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