銀行員は年収も高いし安定していていい、なんて聞いたことはありませんか。さて、本当にそうなのでしょうか。
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銀行員の年収を調べる前に、銀行の分類を知っておこう
銀行にはいくつかの種類があります。まずは国家に属する中央銀行。ここに分類されるのは日本銀行、いわゆる日銀だけですが、これはちょっと別に考えましょう。普通は銀行といったらまず、大都市に本店を構え、広域展開している都市銀行から考えます。
都銀と言えば、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行グループ
- みずほ銀行
- 三菱東京UFJ銀行
- 三井住友銀行
- りそな銀行
- 埼玉りそな銀行
最後の埼玉りそな銀行は、しばしば次に紹介する地方銀行に入れられるときもあるので、本当の都市銀行と言ったら最初の4行でしょうか。これらの都市銀行はその規模の大きさから「メガバンク」と呼ばれることもあります。
都市銀行に続いて、全国地方銀行協会の会員である地方銀行(第一地方銀行と呼ばれることもある)、第二地方銀行協会の会員であり、金融庁の「免許・登録業者一覧」において「地域銀行 / 第二地方銀行」とされた第二地方銀行があります。
またその他に、これらの分類には当てはまらない、ネット銀行(ジャパンネット銀行、楽天銀行など)、流通系の銀行(セブン銀行など)、信託銀行(三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行など)、郵政民営化によって生まれたゆうちょ銀行などがあり、2018年1月現在、日本には全部で125行の銀行があります。
こういった銀行の平均年間給与を、東京商工リサーチがときどき調べています。2017年のデータがあるのでそちらを紹介しましょう。
銀行員の年収を各種データから調べてみると
東京商工リサーチ2017年調べのベスト10
2017年7月に公開された、2017年3月期の調査結果があります。この調査は、都市銀行、第一・第二地方銀行の中から、有価証券報告書などで従業員数、平均年間給与、平均年齢が判明した92行を対象に集計、分析してあります。
一位は都市銀行の三井住友銀行で、814万8,000円。二位に第二地方銀行の東京スター銀行が、812万2,000円で入っています。三位は第一地方銀行のスルガ銀行で810万6,000円。こうして見ると、都市銀行だから年収が上というわけでもない気がしてきます。
第四位のあおぞら銀行は、791万円。ここはその他の銀行に属します。元々は長期信用銀行という、預金の受入れに代えて債券を発行することで資金を集める銀行でした。過去に一旦破綻しかけたのが、ソフトバンク株式会社、オリックス株式会社、東京海上火災保険株式会社などに株式を譲渡し、その後、主要株主であったソフトバンクが全ての普通株式を、Cerberus NCB Acquisition, L.P., General Partner Cerberus Aozora GP L.L.C.に譲渡。ここが親会社になってからどんどん成長しているようです。そして2006年、金融機関に関する法律が変わり、普通銀行となりました。
そして第五位は、やっとまた都市銀行が出てきました。三菱東京UFJ銀行で773万8,000円です。ちなみに昨年までは第四位だったんですね。
第六位は、あおぞら銀行と同様に、かつて長期信用銀行だった新生銀行で772万5,000円。第七位は第一地方銀行の静岡銀行で763万7,000円。そして第八位に、やっと3つ目の都市銀行が出てきました。みずほの銀行員の平均年収は、744万5,000円でした。
その後、第九、十位は、第一地方銀行の千葉銀行732万7,000円、阿波銀行726万5,000円と続くのですが、4つ目の都市銀行、りそな銀行がランクインしていません…。さて、りそな銀行の平均年収はどんな感じなのでしょう。
りそな銀行の2017年平均年収を有価証券報告書から調べる
ある企業の平均年間給与は、有価証券報告書を手に入れると分かります。この書類を手に入れるには大きく2つの方法があります。
EDINETという、金融庁が運営している、上場会社の有価証券報告書を見るためのサイトがあります。http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/に行き、左の方にある「書類選択」ボタンをクリックし、「提出者/発行者/ファンド 」に「りそな銀行」と入れ、「書類種別」は有価証券報告書を選び検索すると、グループ会社が提出した書類を含む、いくつかの書類がヒットします。この中のりそな銀行が提出している、E03538の「有価証券報告書-第15期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)」が、平均給与が載っている有価証券報告書です。
EDINETでなくても、有価証券報告書は企業のホームページから通常ダウンロード可能です。
りそな銀行が属するりそなホールディングスのホームページ(http://www.resona-gr.co.jp/)に行き、ホーム>株主・投資家の皆さまへ>財務情報・IRライブラリー>有価証券報告書とたどっていくと、有価証券報告書と、それに絡んだいくつかの報告書がダウンロード可能です。
今回、管理人は、2018年の有価証券報告書はまだ出ていないし、東京商工リサーチと合わせるためにも、2017年3月期の有価証券報告書を手に入れてみました。
平均年間給与を見るには、「第一部 【企業情報】」>「第1 【企業の概況】」の「5 【従業員の状況】」を見ます。そこを見ると、りそな銀行の場合、2017年3月31日現在で従業員数が9450人、平均年齢は39.3歳、平均勤続年数15.7年、平均年間給与658万1,000円となっています。ついでに書くと、埼玉りそな銀行の平均年間給与は644万6,000円でした。
先程のベスト10の最下位が726万5,000円。結構差があります。東京商工リサーチのさらに詳しい結果を手に入れて公開してくれているサイトがあり、そこで順位を確認したところ、りそな銀行は調査対象となった92行中第24位でした。
とは言え、こういった年収は他の企業と比べるとどうなのでしょう。次は少し、一般企業の平均年間給与を調べてみましょう。
銀行員の平均年収は一般企業の平均より高いのか
東京商工リサーチ調べの「上場企業の平均年間給与」
再び東京商工リサーチに良いデータがありました。2017年3月期決算をもとに、上場企業2,172社の平均年間給与を調べた調査報告です(http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170725_01.html)。
全体の平均年間給与は628万1,000円です。業種別で見ると、一番高いのが建設業で711万8,000円。それに水産・農林・鉱業が694万6,000円、金融・保険業が694万円と続いています。銀行はこの金融・保険業に含まれるので、確かに平均年間給与が高い可能性はあります。金融・保険業という分類ではなく、銀行だけの年収が分かる資料はないのでしょうか。
こちらは先に紹介した、東京商工リサーチが2017年に調べた、さらに詳しい結果を紹介しているAERA dot.のサイトにありました。それによると、国内の調査対象となった92行の平均年間給与は615万2,000円です。
ということは、あれっ? 上場企業の平均年間給与は628万1,000円でしたよね。
なんと、それよりも低い!!!
とりあえず、銀行全体で考えると、一般企業の平均より平均年間給与が低いのです。
銀行員の年収は、大手だけならどうなるのでしょう
すべての銀行で考えると、一般企業に比べて特に年収は高くないという結論が出ました。では、主要銀行だけならどうなのでしょう。
「AERA dot.|国内92銀行 平均給与ランキング」のページに、「規模別の平均年収は、大手7行が1.5%減の742万8,000円、地銀54行が0.7%減の632万2,000円、第2地銀31行が0.8%減の556万8,000円と、いずれも前年を下回った。」という文章があります。これを見ると、大手と第一、第二地方銀行の年収との間には、かなりの格差があることが分かります。
ちなみに、この調査で「大手」としているのは、「埼玉りそな銀行」を含む都市銀行5行と、「あおぞら銀行」「新生銀行」です。
大手銀行の平均年間給与は、一般企業の中で一番平均の高い建設業の711万8,000円も上回っています。ということは、大手に限って言えば、銀行員の年収は一般と比べてかなり高いと言ってもいいのでしょう。でも、地方銀行になると、全然高いとは言えませんね。。。
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大手銀行員の年収は確かに一般企業よりも高いけれど
大手銀行、改めて列挙すると「みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、あおぞら銀行、新生銀行」の7行に勤めると、確かにかなり良い年収を稼ぐことができます。ただし細かく言えば、りそな銀行より東京スター銀行、スルガ銀行といったところの方がかなり給与を高くもらえる可能性がありますが、そこは考えないでおきましょう。
最後に、こうした大手銀行に勤めるメリットとデメリットを考えてみようと思います。
メリットは、「他業種に比べて収入が安定している」「社宅が充実している」ということでしょうか。社宅が充実している理由は、銀行員には転勤がつきものだからです。そしてこれは、逆にデメリットにもつながります。
銀行員の方々の不満は、転勤が多いことにあります。ある人は、誰かの転勤が決まると、まず有志の飲み会があって、それからオフィシャルな飲み会があるので、かなりの飲み代がかかるとこぼしています。しかもそうした転勤は、毎週のようにあるのです!
もちろん、本人があちこちに転勤して、友人関係が発展しにくいというデメリットもあります。結婚しても転勤はたくさんあるので、結婚を機に社宅を出て出費が多くなり、さらに単身赴任で出費がかさむという不満もあります。
支店長クラスになると転勤も少なくなり、年収もアップして1,000万円超えになってきます。そこまで行けば確かに、銀行員になって良かったと思える年収ですね。しかし、一般的な役職の銀行員は、一般企業に比べて、特に高い年収をもらっているとは言えないようです。